《邑から日本を見る》3  先の衆院選で分かったこと


自民党が圧勝した総選挙が終わって3週間。選挙の経過や結果をめぐっての論調が出そろい、何がどうしてどうなった、ということがあらかた分かった。今回はそれらを読んでの私の感想を書く。

まず経過のおさらい。

電撃解散、大義なき解散。いろいろ言われているが、安倍さんは自分なりに計算しつくしての解散だった。民進党がバラバラ、小池東京都知事が国政に入り込みそうだ。北朝鮮の挑発は続いている。森加計問題は収まらない。内閣支持率は落ち込んでいる。解散を先延ばしすれば自民党の議席は確実に減る。今しかない。

しかし、小池さんと民進党の前原さんが突然希望の党を結成し、希望の党が民進党を丸呑みしようとした。そして、小池さんの排除発言で民進党は三つに分裂し、結果は枝野さんが一人で立ち上げた立憲民主党が55議席を獲得し、野党第一党になり、小池、前原の「希望」は「絶望」に変わってしまった。

自民党と公明党の与党は合わせて315議席を獲得し、前回に続いて3分の2超を確保した。「手を合わせて拝みたいくらいの数字だ。希望の党に感謝したい」と自民党の最高幹部が言ったそうだが、安倍さんの思惑通りの結果となった。

次に、今回の選挙で分かったこと。

投票率が53・68%。投票日に台風が日本を襲ったこともあるかもしれないが、とにかく低い。それは、国民の間に「議会制民主主義はもう機能していない」ということが浸透していたということであろう。安倍首相は国会でやりたい放題。総理が立法府の長だと言い、国会で野党の質問にヤジを飛ばし、詭弁を弄し、答弁をはぐらかし、ことが面倒になると強行採決をし、解散し、召集を先送りし、国会が役に立たない機関であると国民に思い込ませてきた。

立法府が「国権の最高機関」としての威信を失えば、行政府が事実上国権の最高機関となり、官邸の発令する政令が法律に代わる。最近の裁判の事例を見れば、司法ですら行政の思うままにコントロールしている。すべてが官邸の意のままに動く効率的な「株式会社」のような統治システム、社会システムとなってしまっている。

若者の多くが自民党支持という背景にも、このシステムが機能していることが挙げられる。若い人たちは「株式会社」のような制度しか経験したことがない。トップが方針を決めて、下の者はそれに従う。小池さんの都民ファーストもまったく同じだ。小池さんは希望の党もそうしようともくろんだが、残念ながら多くの有権者にその意図を見透かされてしまった。それでも「ガラスの天井は破ったけれど、鉄の天井があった」と、自分の責任は棚上げにしてそううそぶく。(先崎 千尋)