【コラム・坂本栄】NEWSつくばが朝日新聞の全国版で取り上げられました。7月13日朝刊のMedia Times欄(第3社会面)で、茨城県南の地域紙・常陽新聞の流れを組む本サイトと新潟県の地域紙・上越タイムスの「生き残りへの選択」がリポートされています。

同欄では毎回、内外のメディアの話題が紹介されていますが、この回は、部数減や広告減で苦戦する地域紙の存続モデルがテーマになりました。水戸総局とつくば支局の2記者による取材には、私と編集担当が対応。さすが朝日、なかなか緻密(ちみつ)なインタビューでした。

読まれていない方は目を通していただくとして、記事のポイントは明快です。ペーパー媒体を止め、ネット媒体で復活し、権力も監視するNEWSつくば。政治など硬めの記事は載せず、地域団体紹介などを主に扱う紙面づくりに転換した上越タイムス。伝える手段である媒体(ネット:ペーパー)も、伝える情報の中身(政治重視:政治軽視)も、対照的な生き残りのモデルというわけです。

記事では「坂本さんは米国の新潮流を参考にしてNEWSつくばを立ち上げた。日本では先駆的な試みだ」と持ち上げられており、恥ずかしい限りです。

日本には寄付文化が根付かない?

ネットでもペーパーでもメディアを維持するにはおカネがかかります。朝日の記事では、当サイトの「経営」に関する部分が上越タイムスに比べ少なめでしたので、少し補足しておきます。

上越さんは紙面刷新による部数増=売上増という経営モデルを選択したそうですが、われわれは特定非営利法人(NPO)による運営モデルを採用しました。サイト運営の経費は基本的に寄付や会費でまかなうという形です。実験的な試みといえます。

2017年秋の立ち上げは「企業の大口寄付」で経費をまかないました。その後、大口寄付のほか、「個人や企業の会費(小口寄付)」「企業のバナー広告」「他メディアへのニュース提供」へと収入ソースを拡げてきました。これらの柱を太くしながら新しい柱も探すというのが、われわれの「経営」の基本です。

寄付集めの過程で、寄付によって(首都スミソニアン博物館などの)文化活動を支援する米国モデルを日本に広めるのは難しいのではないか、と思ったこともあります。日本の税務当局は企業による寄付行為があまり好きでないらしく、寄付をすると税逃れではないかと詮索(せんさく)されると、あるオーナー経営者から聞いたからです。

このことを元財務省キャリアに話したところ、それは日本の税務署が優秀であることの証明だと、笑っていました。寄付する余裕があるなら税金で納めろというわけです。(おカネの流れを国が仕切りたい)日本には(文化事業に直接おカネを流す)寄付文化はなかなか根付かない? NPOメディア定着のためにも改めさせましょう。(NEWSつくば理事長)

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