《続・気軽にSOS》42 嘘をつくということ


【コラム・浅井和幸】やることなすこと上手(うま)くいかず、空回りをする。どんどん余裕がなくなり悪循環をしていると、周りの人は器用に、ずるく、上手く生きているなと感じてしまうものです。

きっと人というものは、卑怯(ひきょう)な方法をとった方が、上手い生き方ができるんだ。だから、真面目で、一生懸命で、嘘(うそ)をつかない自分は、上手くかないと考えてしまうものです。

さて、この「正直に思ったことを言うと上手くいかない」とか「適当な嘘をついていた方が上手くいく」という考え方が、今回の主題です。

確かに、全てのことを正確に正直に話すことが、日常生活で求められることはありませんから、少々の嘘も、その嘘を受け流すことも必要になる場面は多々あります。

あまり親しくない相手から「今日は暑いですね」と言われた場面は、単なるあいさつ程度の意味しかありませんから、「この程度で暑いなんて言っていたら生きていけない」とか、「暑いと言って楽になれるわけないから、つまらない話をしてくるな」と思っても、それを言ったら、相手を怒らせ不快な気分にさせるだけです。

これは正直に思ったことを言ったから、相手を怒らせたわけではありませんよね。嘘をついても怒らせることはできます。「いやいや、寒いよ」と言って、相手がよい気分になるはずもありません。

嘘つきか正直かではなく、相手の話題に対する思い入れの程度の違いを無視するのか、コミュニケーションで埋めていくのかがカギになります。

目的に反する手段を選んでいる?

天気の話はさらっと流して、もっと話したい別の話を深めるのか、それとも、今日のところは、あまり会話をせずに別れるのかで対応は変わってくるでしょう。

また、思っていることを、即(そく)、全て言わないことが、嘘つきであるということではありませんよね。仕事の真面目な話をしているときに、部屋が暑いと感じたからといって「暑い」と言葉にする必要があるかどうかを考えてみると分かりやすいですね。このとき、「暑い」と口にするのが正直者だということではないはずです。

今回は、「嘘」という言葉で話をしてみました。しかし、上手くいっていないときに、何か自分に対する褒(ほ)め言葉が原因で上手くいかないのだという考えに陥っていたら、危険ですよということをお伝えしたかったのです。

「仕事ができるから、周りがねたんで悪口を言っている」とか、「自分が正しいことばかり言うから、周りが受け入れてくれない」とかですね。

あまりにも周りの人がボンクラで、上記なようなことが起こることも稀(まれ)にあるでしょう。しかし、ほとんどの場合は、別のことで、目的に反している手段を選んでいる可能性が高いものです。(精神保健福祉士)

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