《食う寝る宇宙》42 パソコンが故障 亡き愛犬のイタズラ?


【コラム・玉置晋】先日、わが家の愛犬「のび太」が他界し、私と妻は悲しみに打ちひしがれております。2週間、ほぼ寝ずの看病で疲労困憊(ひろうこんぱい)。火葬が終わり、パソコンを開くと、‥‥ん? 青い。

僕が使っているパソコンはWindowsというオペレーティングシステム(OS)で動いています。このOSは深刻な問題が発生した場合、画面背景が青色になり、白文字で障害の診断状況などが示されます。私の顔面も青くなりました。

パソコンに、僕の全作業ファイル、研究データが保存されているからです。「NEWSつくば」のコラム原稿も含まれています。データのバックアップは毎月定期的にやっていますが、最後にやったのはひと月前。

疲労困憊の中、僕ができる対処はすべてやりました。本来ならば、静寂の中で「のび太」のことを想いながら眠りにつくはずが、別な意味で泣きながら一夜を明かしました。「のび太」め、よりによって、大事なパソコンを連れていきやがった!

翌日、お店に持っていったら、ハードディスク(データを記憶する部品)の障害と診断されました。戻ってくるのに1週間、部品交換とデータ復旧に約10万円かかりました。データが戻ってくれないと、本当にマズイの!

宇宙開発は官主導から民主導に

 わが家の近くにはパソコンの修理屋さんがあり、今回のようにレスキューをお願いすることができましたが、宇宙にいる人工衛星には修理に行けません。機器が壊れたらミッションはおしまい。

だから開発においては、放射線や熱の変化に強く、細かな宇宙ゴミがぶつかっても壊れないように頑丈(がんじょう)に作り、地上からは24時間体制で衛星運用者が張り付き、異常が発生していないか見守ります。とても、お金がかかってきました。おかげで、僕も人工衛星の運用という仕事でこの15年、ご飯を食べて来られました。

50年前の1969年7月、人類は月面に立ちました。米ソ冷戦下、米国が国家的威信をかけて実現させました。この50年、官需によって民間企業が宇宙機を開発し、それを国が運用してきましたが、すでにこういった関係は「オールド・スペース」時代と呼ばれています。

いま、宇宙ベンチャー企業が宇宙開発の主役になり、地球周辺の宇宙サービスは民間に委ねられています。月の開発も民間で行おうと、世界中でチャレンジが始まっています。「ニュー・スペース」時代の到来です。

さながら宇宙は、米国西部開拓時代のゴールドラッシュの様相。僕もアイデアと勇気を持って立ち向かわないとね。「のび太」よ、応援してくれ。(宇宙天気防災研究者)

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