【コラム・坂本栄】これまで、つくば市と議会の笑える話を何度か取り上げましたが、その類のニュースがまた飛び込んで来ました。つくば市は有力大学や研究機関が集まる学園市ですから、洗練された先進的な市と思われています。ところが、いなかの要素も色濃く残すまちでもあるという話です。

その記事の見出しは「公募はなじまない? 市民委員を削除 つくば市倫理審査会」=6月8日掲載=と「新たな政治倫理審査会委員決まる 公募市民は含まず つくば市」=6月28日掲載=です。靑字のところをクリックして読んでみてください。

ポイントはこういうことです。市当局が、市議の資産報告を審査する委員会に、市民から公募した方を入れようとしたところ、議会が反発。結果、審査委から公募市民を外し、同委は委員の経験がある市民だけで構成されることになった――。つまり、報告の真偽を判断する元資料(預金通帳、納税証明、借用証書など)は一般市民には見せず、チェックできるのは気心の知れた旧知の人たちだけになったそうです。

どうやら、つくばの市議さんは通帳などを一般市民にチェックされるのが怖いようです。何か不都合なことでもあるのでしょうか? 守谷市ではすでに公募市民が資産報告の審査に参加しており、つくばみらい市も近く同じ方式を採用するそうですから、県内TX沿線市の市政透明度を比較すると、つくば市の濁(にご)りが目立ちます。

スマートさに欠ける 看板と現実のズレ

資産審査も含め、各種の検討委員会に公募委員を入れるという考え方は、五十嵐立青市長の選挙公約でした。それが議会にダメと言われたわけで、市民参加型の市政を進める五十嵐さんのショックは大きいと思います。

市と議会のドタバタはこれまでにもありました。西武百貨店閉店後の空きビル活用問題、市施設の指定管理者選定問題などですが、笑える事例がもう一つ追加されたことになります。空きビル問題については「クレオ問題 そして祭りは終わった?」=昨年11月5日掲載=、指定管理者問題については「面白い形で決着 つくばの市施設問題」=3月4日掲載=をご覧ください。

つくば市は広報キャッチコピーに「世界のあしたが見えるまち。 TSUKUBA」を掲げ、世界のモデル市になることを目指しています。ところが、垢(あか)抜けない議会、手際がイマイチの市当局……と、スマートさに欠ける話が多出。この看板と現実のミスマッチ、これも結構笑えます。(経済ジャーナリスト)

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