10月下旬、大学時代のゼミ同窓の懇親会があった。1970年卒だから皆70歳を超えている。でもメンバー14人のうち死んだのは弁護士をやっていた1人だけ。中学や高校の同窓会をやると、クラスの10%程度は死去と記されているから、平均よりも生存率が高いのではないか。近況報告では病気や旅行の話が多いが、現役で活躍している奴もいる。

学生を地方に派遣

大手電機会社を退職した後、世田谷区にある私立大の学長をやっているU君。在京大学生の80~90%は首都圏出身という話をしていた。われわれの時代は地方出身が多かった。80~90%が地方出であったような気がする。このシェア逆転は何を意味するのか。首都圏に富が集まり高学歴の再生産が進んでいるということではないか。地方を元気にしないと首都と地方の格差がますます拡がる。

U君の大学は面白い取り組みをしている。学生を地方に派遣し、地域の「いいもの」を探させ、大学に近い自由が丘商店街(目黒区)で販売している。派遣先は函館から石垣島まで全国10数カ所。茨城のかすみがうら市もその一つという。この「産」と「学」の結びつきを応援しているのが筑波銀行。彼は「地方創生には産・学・銀(行)連携が大事」と言う。

この試みは学生にとっても好ましい。首都圏生まれの学生が地方に「いいもの」探しにいくことで田舎のよさを知るきっかけになるからだ。もちろんビジネスセンスを磨くこともできる。

大学がモールも経営

国立大を定年退職したあとも近代史研究を続けているY君。最近、米カリフォルニア州にあるスタンフォード大学に資料探しに行った。「大学の経済学部がショッピングモールを経営しているのには驚いた。日本では大学の店舗経営などありえない。私立大ということもあるのだろうが…」。国立一筋の彼にはショックだったようだ。

歴史資料探しでも、米国の大学の取り組みには驚いたという。彼が訪れたのはスタンフォード大の中にある「フーバー・インスティチュート」。この組織は終戦直後東京にオフィスを置き、戦前戦中のナマ文書を精力的に収集した。その集積が同大の「売り」になっている。

そこで彼が探したのは、満鉄上海事務所が集めた中国共産党情報。結局発見できなかったそうだが、好奇心はまだ旺盛だ。彼の話で感心したのは、大学運営の一環として大型ショッピングセンターも経営しながら、戦争相手国に乗り込んで戦時情報を徹底的に収集する米大学のスタンスだ。

大手商社OBが幹事をした飲み会は、仏料理コース、出席11人でシャンパン、白ワイン、赤ワイン各2本、会費1万3,000円。首都と地方ではこの辺の感覚にも格差があるようだ。(坂本 栄)