【コラム・及川ひろみ】いよいよタケノコのシーズン。茨城県南、秋からこの冬にかけて大変雨が少なかったことと、春になってもいつになく寒い日が続いたためか、今年は極端にタケノコの出が遅れ、ここにきてようやく地面に顔を出し始めています。例年なら今ごろにはすくすく伸びた青竹が見られるころなのですが。

竹の成長、伸び盛りの時期は1日で1メートル以上、2カ月もすると20メートルもの高さになります。成長の早さの秘密は、竹の先端にある生長点の成長だけでなく、節ごとにある生長点すべてが同時に伸びることで急成長します。

短期間で成長できるのは、地下茎から大量に養分、水分が送られてくるからです。地下茎でつながる竹は、どれも同じ遺伝子を持つクローンです。そこで花を咲かせた竹は一斉に枯れます。

さて、この時期、短期間に大量に養分を使う竹、その後地下茎は一休み状態になり、前年までに成長した竹は一斉に葉を落とし、次の新しい葉の成長を待ちます。竹が一斉に黄色く色づく光景が「竹の秋」、俳句の季語(春)にもなっています。

静けさの中、ハラハラ散る竹、いつもは真っ暗な竹林、この時ばかりは見上げると青空が見えます。そして間もなく若葉を広げ、目にも鮮やかな新緑の竹林になります。

地下茎の成長もすさまじい

竹、地下茎の成長もすさまじいものがあり、条件によっては年間7~8メートルも成長、その結果、竹林の拡大、雑木や杉林を飲み込む勢いで広がり、地域の自然環境の脅威になっています。特に西日本では、竹林対策に取り組み県市町村も多くあるほどです。

広がる孟宗竹(モウソウチク)林の勢力を抑えるやり方として、根元から切るのではなく1メートルくらいの高さに切る「竹の1メートル切り」が成果を上げています。これには切る時期が重要で、タケノコが5~6メートルに育ったところで1メートル切る方法、そのころ前年までに育った竹を1メートルに切るやり方と、冬季切ることを組み合わせて行うのが効果的だそうです。

若い竹が育つころ、タケノコだけでなくほかの竹にも養分が大量に送られます。1メートルに切った竹にも、あたかも立派に育った竹に送り込むように養分が送られます。その結果、竹の切り口からは養分を含んだ水が大量にしみ出し、間もなく切り口はオレンジに染まり、液があふれます。養分を無駄に使わせ、竹を弱らせる作戦で勢力を抑えると考えられています。

西日本では、竹林問題、ほとんどが孟宗竹ですが、関東では真竹も問題になっています。孟宗竹と真竹では葉や枝も違いますが、孟宗竹の先端は葉の重み頭を垂れ、真竹はスクッと伸びて立つことから、遠くからも見分けることができます。

さて、つくば・土浦あたりで食べておいしいタケノコは、孟宗竹とハチク、それに続くのが真竹です。孟宗竹のタケノコはえぐみがありますが、ハチク、真竹は孟宗竹ほどのえぐみはなく、湯でこぼさないで、料理に使えます。(宍塚の自然と歴史の会代表)

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