【コラム・玉置晋】4月5日、茨城大学大学院の入学式に出席しました。「理工学研究科博士後期課程複雑系システム科学専攻」という、とても複雑で難解なことができるようになりそうな所に入学します。ミッションは3つ。①博士後期課程は通常3年間で所定の単位を修得する②査読付き論文を出版する③博士論文の審査に合格する―ことです。

博士後期課程は3年間が標準修了期間ですが、仕事をしながら研究活動を行う私は「長期履修制度」を用いて、6年間でこれらに挑戦します。

フルタイムの仕事をしながらの研究は、時間のやりくりに苦労します。4月は無計画に活動してしまいました。夕方、仕事から帰って来て、「一緒にテレビを見よう」と言う妻に、「すまぬ、ちょっと研究が忙しい」と対応していまい、「家族サービスがなっとらん」とクレームが来ております。

夜は「奥様ファースト」の時間としなければ、家庭の平和が危うくなる。研究に投入できるウィンドウは朝しかないですな。「朝活」です。平日は、朝3~6時は研究の時間、6~7時は運動の時間、7~8時は家事の時間としよう。月曜と木曜、僕の住んでいる地域は燃えるゴミの日なのでちょっと忙しい。え~と、宇宙ゴミの日は?

危険な宇宙に浮かぶゴミ

3月27日、インドが、高度300キロで地球を周回する自国の人工衛星をミサイルで破壊する実験を行いました。これにより、破砕した衛星およびミサイルは、400あまりの破片となって、様々な軌道に秒速7~8キロで散乱しました。これには高度400キロを飛行する国際宇宙ステーションの軌道も含まれます。

今回のケースは高度が低いので、破片の多くは比較的早く高度を下げ、地球大気との摩擦熱で消滅すると予想されますが、一部は消滅まで時間がかかる可能性があります。2007年、中国が高度600キロで実施した衛星破壊実験で飛散した宇宙ゴミは、未だに軌道上を高速で周回。これを避けるために、日本を含め各国の人工衛星は衝突回避運用を余儀なくされています。

「使い捨てられた人工衛星、シャトルが切り離したタンク、ステーション建造時に出た廃棄物。宇宙に浮かぶたくさんのゴミ、スペースデブリは実はとても危険な存在です。2075年、これは宇宙のゴミが問題になった時代の物語」

僕が大好きなアニメ「プラネテス」(原作・幸村誠)の冒頭のナレーションです。原作の漫画は1999~2004年に連載され、アニメ放映は2003~04年でした。2007年の中国の衛星破壊実験の少し前だったので、宇宙ゴミは2070年代の問題と描かれていましたが、2019年の時点で大きな問題となっています。(宇宙天気防災研究者)

➡玉置晋さんの過去のコラムはこちら