【コラム・浅井和幸】私は、高齢者入所施設と児童通所施設に、毎月1回ずつ訪問をしています。ギターを弾きながら歌を、参加者と一緒に歌います。中には踊ってくれる人、ジャンプしてくれる人、泣いてくれる人までいます。高齢者施設は童謡や演歌が中心で、児童施設は童謡やアニメなどが多いでしょうか。

毎回、楽しく歌っていますが、出来るだけリクエストに応えたい、季節の歌を入れたいと欲張ると、練習不足がたたり、ギター演奏か歌が崩れます。気を抜いたときや、余裕を持ち過ぎて気が散った時も、ミスすることが多いですね。

そして、言い慣れない言い回しや、難しい漢字、難しいギターコードなどが出てくると、ミスをすることも多いです。ギターだけ、あるいは歌詞を読むだけならば問題ないのに、それが重なるとミスをします。ミスするだけでなく、演奏や歌が微妙に遅くなるということが起こります。

それはまるで、パソコンやスマートフォンで作業をしているときに、複数の作業を並行で行っていると、それらの動きが遅くなるのと似ています。

使い慣れない歌い方や難しい漢字が重なることで、情報量が多過ぎてパソコンやスマートフォンのように、私の頭の情報処理速度が間に合わずに歌のテンポを保てなくなるのです。簡単に言うと、頭の中が忙しいということですね。

運転中の頭の中は大忙し

頭の中が忙しいというと、自動車の運転です。オートマチック車がほとんどで、簡単だろうと思われていますが、刻々と変わる道路状況、余裕を見せてのギリギリの運転、これからの約束の待ち合わせのことなど、頭の中は大忙しなのです。

運転中、人が変わる人がいると聞くことは多いでしょう。これは、頭の中が忙しいから、理性で自分の感情を抑える機能に能力を割り当てられなくなっているのです。普段のストレスがたまっていて、抑える力にまで能力を割けないのかもしれませんね。

だから、ちょっとした周りの自動車の運転の仕方や、歩行者の予期せぬ行動に腹が立ってしまうのです。繰り返しますが、普段ならば処理できている情報が処理しきれず、感情を抑える処理に回すことが出来ないのです。

ここからも分かるように、その人の本性は、ちょっとしたパニック状態のときに出るものと言えます。忙しさや、急展開の状況、初めての状況という混乱状態のときの対処が、その人の能力を見るのにうってつけなのです。

もちろん、自分を見つめ、反省して成長するにも、ちょっと忙しいときの自分を顧みるとよいですね。人に当たり散らすでしょうか? 自分を傷つけるでしょうか? 泣きわめく? 黙り込む? 笑う? 泣く?

ま、ちょっとした混乱に対して、ワクワクする冒険心を持てというのは、とても難しいものです。だから、泣いてもいい、怒ってもいい。それを受け止めて、どのような自分になりたいかを考える。そこから始めましょう。(精神保健福祉士)

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