《ご飯は世界を救う》10 「ビストロ・シェ・レノン」

ビストロ・シェ・レノン

【コラム・川浪せつ子】我が家から歩いて行ける「ビストロ・シェ・レノン」さん(つくば市松野木)。今の場所には数年前に、一軒家のレストランとして開店しました。以前、洞峰公園北駐車場横の美味しいお店がなくなってしまい、残念に思っていたら、移転していたのでした。

名前が変わっていたので、始め分かりませんでした。それからは時々お伺いして、ランチの絵をたくさん描かせていただきました。それから超人気店になり、予約しないと入れないようになってから、ご無沙汰していました。

私は小さな水彩画教室をやっていて、たまに生徒の皆さんとランチ会をします。「次はどこにしましょう?」と話していたら、リクエストがあったのは「ビストロ・シェ・レノン」さん。久々のランチはすごく美味しくて。オマケにお店の方がふと、「今日は描かないのかなぁ~?」。直ぐに予約して、今度は連れ合いと行きました。

彩画教室から見える世相

そして今回は、小さな水彩画教室からでさえ、世相が見える、というお話です。

<その1> 今回のランチ会には、数カ月前に辞められたAさんもいらっしゃいました。Aさんの長野県で1人暮らしのお母様(93才)が、今年になって倒れてしまい、緊急入院。その後、リハビリ、転院、施設探し…と、絵を描いているどころではなくなってしまいました。

<その2> 数年前、Bさん(70才過ぎ)宅で教室をやっていたことがあります。2年過ぎたころ、Cさんのお嬢さん(独身同居)が重たい病気になり、Cさんは絵を続けるのが難しくなりました。その時Aさんは、お母様の介護で時々大阪まで通っていました。Aさん自身高齢者です。またDさん(70才過ぎ)の同居の義母さん(90才半ば)も、介護負担が増えてきました。そんなことが重なり、この教室は解散となりました。

<その3> 2年少し前、水彩画教室に入られたEさん。「東京の両親が高齢なので続けられるかなぁ」と。そして、とうとうお父様が要介護4になってしまい、「水彩画が楽しくてしかたがない」と言っていたにもかかわらず、「まったく集中できません」とリタイアです。

<その4> Fさんは、北海道のご両親が高齢化したので、こちらのケアマンションに転居。お父様は認知症ですので、妻(Fさんのお母様)が見ていましたが、お母様も高齢でかなり厳しくなってきました。またFさんのお嬢様が、昨年赤ちゃんを産みましたが、4月から職場復帰です。60才少しのFさんは、ご両親、お嬢さんの子供のケアをすることに。Fさんもお絵かきどころではなくなりました。

今の日本の抱えている様々なこと。小さな集団からでさえ、肌身に感じる日々です。絵が描けることの幸せをしみじみ感じます。絵を描くという時間を持つことで、皆さんのストレスの解消にならないだろうか。いろいろな方のシンドイ気持ちを、できることならひと時でも、絵で癒すことはできないかと思案する毎日です。(イラストレーター)

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