【コラム・浦本弘海】今回は前回から引き続き著作権のお話しです。法律的な難しいところは、「そんなものか」と読み流してくだされば幸いです。

前回は「著作権ってなに?」を著作権法の(難しい)用語で説明しました。ごく大ざっぱにまとめれば、「著作物を著作権者に無断でコピー等して使っちゃダメ!」ということでした。

今回は「著作物ってなに?」ということを解説します。ただ、結論的にいえば、他人が撮った写真や住宅地図は、著作物と考えた方が無難です。

と、前置きをして本題です。

著作権法は「著作物」を「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」と定義しています(著作権法2条1項1号)。

これは「著作権法における著作物とはなにか」ということですので、「著作物に音楽の範囲に属するものは含まれないから、音楽のコピーは自由だ!」と主張しても、その考えは(現行の著作権法上)裁判所に受け入れられる余地はありません。

またこの定義は、①「思想又は感情」、②「創作的」、③「表現したもの」、④「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」という4つの要件に分解できます。

AIの創作活動は?

要件④は法的にはあまり問題となることがないので省略します(「この映画は文芸か美術なのか、それが問題だ」というようなことは、著作権法上はありません)。

要件①は、基本的にヒトが何かを創作すれば満たされます。一方で単なるデータは除かれますし、自然や動植物が生み出したものは美しくとも著作物たりえません。将来AIが創作活動を行うようになった場合にどうなるかは興味のあるところです。

要件②は、ヒトが何かを作っても、ありふれた表現であれば「創作的」ではありません。「こんにちは」という5文字のあいさつ文はありふれており、「創作的」と認められません。日本には俳句という文芸があるので、文字数的には17文字くらいから「創作的」と認められる可能性があります。

ある表現が著作物か否かが争われるのは、ほぼこの創作性についてです。

要件③は、表現されていないもの(たとえば著者の頭の中にだけある小説)は著作物となりません。表現されていないものまで保護することは現実的でも必要でもないと考えられたのでしょう。

ちなみに日本の著作権法は無方式主義です。特許権のように登録をしなくても、またかつてのアメリカのように著作権表示(マルシー)をしなくても、著作権は発生します。

写真や地図は?

要件②との関係で問題になりやすい創作物に写真や地図があります。

写真は対象をカメラで機械的に撮影するため、小説や絵画などと比べると一般的に創作性が感じにくいようです。

また、地図は実際の地形などを平面上に表現した図ですので、実用性の観点から正確性を重視すればするほど似たようなものになり、創作的でなくなる傾向があります(個性的な地図はかえって使いにくい)。

写真や地図に創作性が認められるか否はケースバイケースであり、一概には言えませんし、法律の専門家でも判断が分かれる境界的なものもあります。

ただし、リスク回避の点からすれば、他人が撮った写真や地図は、著作物と考えた方が無難です。マナーの点からも、その方がトラブルになりにくいです。(弁護士)

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