《ON THE ROAD》1 春の雨と風の音 ゆったりとした時間


石井康之さん

【コラム・石井康之】夜中に聞こえる雨音と風の音は、ゆっくりと春の訪れを感じさせる。2年ほど前から何度となく来ている荒川沖の知人の家は、居心地がよく、気が付くと月に何度か来るようになっている。東京の生活とは違い、ゆっくりと過ごせる時間は、何年か前まで、朝方までデザインをしていた私には考えられない自由な時間だ。

朝は鳥の声で目が覚め、竹林もあり、星もきれいだ。たまにはヤモリやフクロウも来る。最近もいろんなところを探索しているが、今回は土浦の駅前のことを私的な感想で話したい。

最近、最も気に入っているのが、土浦駅前の図書館である。1階の広々としたエントランスと圧迫感がまるでない各階の空間。ウッドデッキ風の階段は足にも優しく、とても歩きやすい。ちょっとしたコミュニティースペースといえる。

駅からは雨に当たらず、2階の入り口から出入りもできる。ギャラリーもあるし、晴れた日には小さなイベントが出来そうな屋上まである。先日まで、20世紀を代表する戦場カメラマン、ロバート・キャパの写真展もしていた。

この空間は待ち合わせ場所や打ち合わせ場所としても利用出来るだろう。白で統一され透明感があり、死角部分が少ないのもとてもよい。夕日もきれいだ。

土浦駅周辺のこと いろいろな提案

たまに旅行に行き、東京と同じような店や建物を見ると、見る気が薄れるときがある。仕事や休暇で海外に行ったときなども、同じように感じることがある。どこにいっても変わらない街並み。そこにはワクワクした気持ちが薄い。

図書館にプラスするとしたら、食事が出来るレストランやお茶が飲める場所があればよいと思う。地元で取れた地産地消的なものが並んだらどうだろうか? 牛久にあるワイナリーのようなレストランや、古くからある街で有名なレストランとか。

駅の1階部分にある大きなロードバイクショップも、素晴らしい空間だと思う。上の階には、ロードバイクも持ち込めるホテルも出来る予定だとか。

逆側の駅出口の先には、霞ケ浦のマリーナがある。毎週土曜日、マリーナ側の通路をマルシェにするのはどうだろうか? 地元直産の市場。霞ケ浦でのナイトクルーズはどうだろうか? 屋形船ぐらいの船の中で食事ができたらばと、妄想が進んでしまう。

駅前を見て必要だと感じるのは、案内標識の充実と主要経路のエスコートゾーン設置だ。誰が見てもわかりやすくすることは、とても大切ではないだろうか? ほかにも、駅前の壁に省エネを利用したプロジェクションマッピングを設置して案内表示するとか。(ファッションデザイナー)

【いしい やすゆき】ファッションデザイナー、オブジェアーティスト。桑沢デザイン研究所卒。1987年、パルコオブジェ展で「やまもと寛斎賞」受賞。97年より、東京コレクションのほか、パリ、ミラノ、ニューヨークで作品を発表。内外有名アーチストの衣装も手掛ける。東京デザイナーズウイークでオブジェ製作。建築雑誌で特集が組まれる。東京在住。