《食う寝る宇宙》34 宇宙で腰痛は治るのか?


【コラム・玉置晋】大学院も一段落し、仕事もどういうわけか長期休暇だし、「さあ、どうしたものか?」と思った矢先、腰をやられました。これまで、基本、パソコンの前での座り仕事で、トイレに行く以外は立たない生活でした。さらに、最近は修士論文の作成にかまけて、ジムに行くのもサボっておりました。僕の腹筋、背筋は弱っていたのですね。

「ぐうぁ!」という何だかよくわからない、うめき声を上げて、崩れ落ちる僕。修士論文では、宇宙天気に対する社会インフラの脆弱性を訴えていたのですが、脆弱なのは僕の腰でした。

奥さんは出勤してしまったし、家には僕とワンコ2匹。ワンコたちは主人の窮地に何をしたかというと、顔をベロベロなめてくれました。「お願い、今はヤメテ!」。トイレに行くにもはっていく有様で、手すりに寄りかかりどうにか立ち上がると、「ああ、僕の質量に重力加速度=9.8m/s2がかかっているのね」と、重力に魂を縛られていることを痛感します。

僕は今週のコラムのネタを考えようにも、頭の中には腰痛しか思い浮かばない有様です。重力がなければ、僕は幸せなのだろうか。調べてみると、そうでもないらしいです。JAXAのホームページによると、「宇宙では椎間板が膨らみ座高が伸びるため脊椎や馬尾が伸展され腰痛が発生する」(古川聡宇宙飛行士の「宇宙医学にチャレンジ!」)とあります。

さらに骨や筋肉が衰えますので、地球に帰還したときは腰痛がさらに悪化するそうで、宇宙に逃げても僕は幸せにはなれないらしいです。

宇宙天気データをみるのが僕の日課

仕方がないので、布団に寝ながら日課である宇宙天気のデータをみていると、久しぶりに太陽フレアが起きていることに気づきました。3月8日のお昼ごろ、爆発の規模は小さかったのですが、ガスの塊「CME:コロナ質量放出」が地球に飛んでくる厄介なタイプ。

念のため、近しい衛星運用の関係者に知らせしました。とはいっても、彼らにできることはほとんどないことも知っています。でも、トラブルが発生した場合の要因分析のためには重要な情報となります。

ガスの塊は3月12日の夕方、地球周辺に到達しました。幸い、今回は嵐にはならなかったようです。ガスの塊がやってくるまで、影響が大きいのか小さいのかよくわからないし、腰痛も簡単には治らないのが、21世紀初頭の脆(ぜい)弱な人類のレベルなのです。とりあえず、腰痛が落ち着いたら、またジムに通おうと思います。(宇宙天気防災研究者)

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