《食う寝る宇宙》33 宇宙天気が社会インフラに与える影響


【コラム・玉置晋】2019年2月下旬、放送大学大学院卒業式の案内が届きました。僕は宇宙天気災害を研究するために、17年4月研究をスタートしました。実際は15年4月から科目履修生として入学し、単位を取得していましたから、実質4年間を費やしました。費用は約50万円です。

大学での研究発表やら、学会発表で月に1~2日の有給休暇を取得しましたので、職場の理解が必要でしたし、早朝コソコソ研究して安眠を妨害し、奥さんに怒られることもありました。この場を借りて周囲の皆様には御礼申し上げます。

社会人が大学院で研究するとなると、何だかんだで、周囲の応援が必要となります。周囲の人を巻き込む以上、遊びでは済みません。4年の時間+周囲の応援+学費50万円 < 大学院の成果、である必要があります。

研究テーマは「宇宙天気が社会インフラに与える影響に関する研究」とし、2003年以降に発生した宇宙天気災害を調べました。どのような宇宙天気のときに、どのような宇宙天気災害が発生したかという研究です。

宇宙天気災害に関するニュースなんて聞きませんが、調べてみると、最近15年間だけでも、人工衛星の故障、航空機が宇宙放射線の侵入しやすい北極域航路を回避した事例が見つかり、大体どれくらいの嵐だと災害が起きるのかを自分なりに把握できました。今後、この情報が必要とされる時代が来るでしょう。

社会人が大学院に通うとチャンスが

この研究を博士後期課程で継続し、実務で使えるレベルに昇華させていくのが目標です。この件は、無事に奥さんの了承を得ることができました。

放送大学の授業は多彩です。人文科学、社会科学、自然科学から幅広く学ぶことができます。宇宙・地球システムから、精神医学や人的資源管理まで学べました。大学院という所は学問を深く追求する場所ですが、幅広い知見を得ることもできます。

社会人が大学院に通うとチャンスが生まれます。それまでは会社と家庭で閉じた世界から、様々な人たちと交流する機会を得ます。そして研究テーマが名刺代わりとなります。挨拶で、「最近、僕、こういうことやっています」とね。

このコラムを書かせていただいているのも、その一つ。「最近、大学院で宇宙天気を研究しております」と実家のお隣さんと話をしていたら、『NEWSつくば』の理事長さんを紹介していただいた、というのがきっかけ。

少なくとも人生の新たな扉が開いたかな、と思います。奥さんには、成果はもうちょっと待ってくれと頼み込んでいます。(宇宙天気防災研究者)

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