【コラム・室生勝】つくば市社協の「地域の絆フォーラム・見守りで紡ぐ地域の安心~広げよう!見守り活動~」が2月21日開催され、私も地域アドバイザーとして出席した。東京都市大学の板倉杏介准教授の基調講演「つながりがつくる地域、つながりをつくる地域」のあと、2地区と民生委員の見守り活動についてシンポジウムが行われた。参加者は250名、うち76名が民生委員であった。その様子をお伝えしよう。

つくばみらい市と常総市に接する真瀬地区の「真瀬見守る会」では、15区会のうち6区長が「ふれあい相談員」を引き受け、熱心に活動している。本来ならば15区会が共同で実施すべき大地震を想定した避難訓練を、見守る会が率先して行ったのには驚いた。まさしく究極の見守り活動訓練である。

下妻市と隣接した吉沼新地下の見守り活動は、ふれあいサロン「花の会」から始まった。2009年、女性会員27名とボランティア5名から始まったサロンで、13年、見守りが必要と思われる会員4人に対し、同じサロン仲間のふれあい相談員2人が個別訪問する活動を始めた。これから見守り活動を始める地区には、よいモデルである。

3人目のシンポジスト、つくば市民生委員連絡協議会の飯泉孝司会長は「見守り合い、支え合う地域づくりのためにできること」を民生委員の立場から次のように話された。

つくば市民生委員連絡協会長の話

活動上の課題としては、支援を要する人たちの中に民生委員の訪問や関わりを強く拒否する人がいるのは、個人情報保護への関心が高まっていることが背景にあり、民生委員活動に影響を及ぼしている。

高齢者世帯への訪問で、80歳代の親が50歳代の引きこもりの子どもと同居している「8050問題」世帯に遭遇することもある。また、単一ではなく複数の問題を抱えている人たちもいる。民生委員には福祉・医療制度について、最新の知見や情報が求められる。

民生委員活動のために行政に望むこととして、住民の安心安全のために、必要な情報を適切に提供してほしい。行政が民生委員の相談に対応した事例について、可能な範囲で報告してほしい。

民生委員に対応が求められている課題は、孤立や孤独、貧困、虐待、認知症高齢者、悪徳商法被害、災害時要支援など、年々増えている。そのために、さまざまな研修会・勉強会にも参加し、介護・医療の多職種の人たちと緊密に連携したい。

「市役所から来た保健婦です」

飯泉会長の話を聞き、民生委員の訪問を拒否する人に対して、私は保健師の訪問を勧めたい。高齢者は40~50歳代のころ、健診の事後指導を「保健婦」から受けていた。「市役所から来た保健婦です」と声を掛ければ、会ってくれるのではないだろうか。うまくいけば、2~3回は民生委員に保健師が同行すればいい。

多職種の職能団体の研修会・勉強会の中には、民生委員に参考になるプログラムもある。各職能団体に交流を申し入れ、ともに学習してほしい。圏域ケア会議・事例検討会に、同じ圏域の民生委員も出席できれば、多職種の高齢者や障がい者への関わり方、多職種同士の連携を学ぶいい機会になる。つくば市に要請されることをお勧めする。(高齢者サロン主宰)

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