《邑から日本を見る》33 東海第2の避難計画など要らない

飯野農夫也氏の版画「憩い」

【コラム・先﨑千尋】県主催で、日本原子力発電東海第2発電所の安全対策に関する説明会が先月13日から開かれている。東海村を皮切りに今月17日の水戸市まで、同発電所の30キロ圏内の在住者を対象にしているが、県内に住んでいれば会場に入れる。

説明会では、日本原電が原子力規制庁に出した新規制基準への審査が昨年秋に合格したことを受けて、規制庁がその結果を説明し、会場から質問を受けた。今回は、規制委員会の審査結果だけを議題とし、避難計画や国のエネルギー政策、再稼働などに関する質問は受け付けず、県は別に県民の意見を聞く機会を設ける方針だと説明した。

説明会では、規制委の担当者が審査の技術的内容を解説したが、スライドで90枚もあり、専門用語ばかりで1時間半も続き、素人にはわかりにくい内容だった。私は東海、那珂両会場の説明会に参加したので、主な質疑と感想を報告する。

私は「今回の審査結果は、新規制基準に合格したということだけであって、東海第2原発を再稼働させ、100%事故が起きない、起こらないことを保証するものではない。これまでのチェルノブイリ、スリーマイル島、JCO、東京電力福島第1原発などの事故はすべて想定外。基準を超えた何かが起きて、誰が責任を取るのか。100%事故が起きないという保証ができるのか」と聞いた。

それに対する規制庁の答えは、「今回の基準は福島の事故を踏まえて策定された。しかし、これを満たしたからといって、絶対的な安全が保証されるものではない」。

原発は絶対に安全ではない

私の質問と同じように、「東海第2は運転から40年経ち、金属疲労、劣化が起きている初期の老朽原発だ。これまでにも何度も小さな事故を起こしている。劣化したものは後から改良してもダメだ。事故に対処するマニュアルがあっても、実際に事故が起きればその通りに対処できない。国の担当部署は再稼働方針、安全対策、避難計画などまちまちで、全体について責任を持つ体制になっていない」など、絶対的な安全性が保証されないのに再稼働を認めるのはおかしいという声が数多く上がった。

これに対して規制庁の担当者は「絶対的安全性を追い求め、歩みを止めることなく基準を見直し、事業者に対応を求めていく」と答えただけだった。

この他に、「今回の審査基準は原子力等規制法に基づいているが、これは法律の最上位である憲法のどの条文に基づくのか」という質問があったが、担当者は、質問に憲法が出てくることは想定外だとみえ、答えられなかった。原子力等規制法や原子力災害対策特別措置法にはその目的に「国民の生命、健康及び財産の保護」がうたわれている。

憲法第25条は国民の生存権、第29条は財産権を保障している。原発がひとたび事故を起こせば、この条文を脅かすことになるのではないかと私は考える。2つの法律の目的もこの条文に合致する。規制委は憲法と法の目的に合った審査をしていない。

私は今回の説明会で、原発は絶対に安全ではないという言質を取った。審査基準の技術的なことを聞いても、それは些末(さまつ)なこと。避難計画も同様だ。ものごとはマニュアル通りにいかないし、計画通りの避難など出来っこない。規制委の審査は不十分だと思うが、一番安全なのは原発を動かさないこと。それに尽きるのではないか。(元瓜連町長)

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