《宍塚の里山》32 農業県の脅威「アライグマ」学習会

現在の宍塚大池

【コラム・及川ひろみ】宍塚の会では発足以来、自然の環境、里山の生き物など様々なテーマで各分野の専門家を招き、学習会を行ってきました。守山弘さん(テーマ=谷津田が守ってきた生き物たち)、鷲谷いづみさん(同=絶滅の危機にある日本の植物)、大河内勇さん(同=人里の両生類)などです。

1993~94年は、毎月のように学習会を開き、発足10年を経たころからは「日本の水田・世界の水田」「都市の緑と都市計画」「地形を見る目」などについても学びました。

2007年9月には、宍塚の里山で、アライグマが初めて確認されました。この動物は果実、農作物への被害をもたらし、生態系の頂点に立つ特定外来生物であることから、農業県茨城にとって脅威となる獣で、当時、他の都道府県ではその被害が顕著になっていました。

そこで、現状把握のために、県内のアライグマ情報を集めました。その結果、すでに県北や県西では確認され、広がりが懸念されました。そこで2008年、私たちの会は、研究者と共同で「アライグマ防除に関する請願」を県議会に提出しました。同時に、この獣について理解することが大切であると、09年2月にアライグマ学習会を開催しました。

日本のアライグマ問題の第一人者・池田透さん(北海道大学大学院教授)、宍塚で捕獲を指導してもらった山崎晃司さん(県自然博物館主席学芸員)、千葉県で捕獲・駆除に苦慮していた篠原栄里子さん(千葉県自然保護課)に講演いただき、この獣について学びました。

県・市町村の職員も参加

そして、アライグマ問題を解決するには、行政と市民が一体になって行動することが大切であることを学び、生息が疑われる県内市町村の担当者を紹介してもらいたいと、県環境政策課に依頼しました。

その結果、大勢の市民、市町村担当者が集う学習会になりました。2010年、県のアライグマ防除計画が策定され、市町村と連携して捕獲に努めています。しかし、現在も、ほぼ県全域でアライグマが確認され、捕獲数も増加しています。

また、2000年からは、土浦市や県の職員にも参加を呼びかけ、生物多様性などを学ぶ「保全学習会」を開催、25回にもなりました。1月13日には、増子勝男さん(元県自然博物館)を講師に「宍塚大池の学習会」を開き、これまでの大池生物調査・駆除活動記録を基に、今後の活動についても話し合いました。(宍塚の自然と歴史の会代表 及川ひろみ)

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