【コラム・入沢弘子】日脚(ひあし)が伸び、図書館の中は光にあふれ、春の訪れを感じます。土浦市立図書館は、開館387日目の本日7日、70万人の来館者をお迎えします。

図書館では、いつまでも多くの方にお越しいただけるように、開館以来、毎日、利用者アンケートを実施してきました。項目は、利用者プロフィール、利用状況、来館目的の達成度、施設やサービスへの満足度、そして自由なご意見です。

これまでの回答数は950通にのぼりますが、職員全員が回覧し、改善に反映させています。すぐにできるものは翌日に、費用が伴うものは少し時間がかかりますが、必ず改善の方向に向かわせます。

回答で一番気になるのが、不満事項の記述と満足度評価です。CS(顧客満足度)の向上は一般企業では当たり前のことですが、図書館においてもCSを上げていかないと継続的な利用者確保につながりません。

利用者プロフィールの把握も重要です。利用者の年齢、職業や住まい、来館手段や滞在時間を把握することで、企画立案の参考になるからです。

生活者発想利用者発想

前職の広告会社では、「生活者発想」を企業理念に掲げていました(今では一般的に使われている「生活者」という言葉は、前職の会社が生み出したものです)。この発想は、図書館では「利用者」に置き換えられます。利用者をよく知ることは、利用者に適したよりよい図書館サービスの創造につながります。

アンケートを記入した方は改善を望んでいるために、意見が反映されると今後も利用します。損失につながるのは、不満を感じてもアンケートに記入せずに、二度と利用しなくなる方です。このため、当館ではカウンターに立つ職員が利用者から口頭で注意されたこともカードに記入し、全員で情報を共有しています。

来館者の多さや駅前立地の新しさ、まちづくりに貢献する図書館などの各報道をご覧になった方々が、全国各地から相次いで当館に視察にみえています。好意的な報道を知り、利用者の方々も当市や当館に誇りや愛着を感じて喜んでくださいます。

皆さんのよいイメージや期待に応えられるよう、これからも「CSの高い図書館づくり」を目指します。(土浦市立図書館 館長)

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