【コラム・坂本栄】前回のコラム「つくばファースト? 研究学園の変な議会」(1月7日掲載)で、つくば市の指定管理者選定問題を取り上げました。要約すると、市がきちんとした手続きで選んだ「東京の業者」を議会がひっくり返し、議会は地元の会社にやらせたい―という話です。

問題になっているのは「つくばウェルネスパーク」(スポーツ施設)の管理者ですが、市当局と市議会のズレ、「議会の勝ち」というわけにはいかず、もう一波乱ありそうです。

というのは、透明性の高い選定を否決されたことにカチンと来たのか、市長の五十嵐さんが「ゼロベースで選び直したい」と言っているからです。市の選定委員会に再度諮り、選び直した業者を議会に再提案する―こういったシナリオを考えているようです。

この辺の経緯については、本サイトの記事「公募からやり直し 議会否決のつくば市指定管理者」(1月15日掲載)をご覧ください。市案に反対した議員の名前も出ています。

市当局vs市議会、大歓迎です。税金の使い方(東京の業者の受託費の方が安い)、提供されるサービスの質(東京の業者がベスト)、地域活性化策(地元業者へ優先発注)の是非などの議論が、市民の前に晒(さら)されるからです。再選定のプロセスで、市長、各市議がどう演じるか、楽しみにしています。

喜劇「医科大男子ファースト事件」

市の再提案を前に、展開が気になっています。「ゼロベースで」と言いながら、議会との衝突を避けるため、市は選定基準を変え、議会が受け入れる業者を選び直す―こういった筋書きになるのではないかと。

選定といえば、大学受験の合否判定で事件がありました。東京医大の不正入試です。報道によると、総合点を計算する際、女子は減点され、男子が有利に扱われていたそうです。この男子ファースト採点式はマル秘にされ、女子はバカを見ることになりました。

事件には続編もありました。合否判定基準がブラックであることをいいことに、受験ブローカー(なんと元国会議員)が暗躍、「サクラ散る」レベルの受験生を大学に押し込んでいたというのです。受験者―仲介者―大学の間で、おカネが動いたのかどうか知りませんが、同大卒の質が心配です。

元へ。とにかく、指定管理者選び直しのプロセスで、選定式を地元有利(女子受験生減点を真似て市外業者減点)に書き換えるようなことはないか、気になります。世界の自治体のモデルを目指す、研究学園つくば市ですから、そんな笑える話にはならないと思いますが。(経済ジャーナリスト)