《地域包括ケア》27 知り合いがいるデイサービスは安心


【コラム・室生勝】最近、近所の高齢者夫婦世帯の男たちが集まると、自分が倒れて要介護になったとき、連れ合い1人で介護できるのか心配だという話がよく出てくる。特に、80歳代の男たちにとっては近い将来の問題である。

私が高齢者サロンで、高血圧、喫煙、糖尿病、脂質異常症などの動脈硬化の促進因子のことをよく話すので、現在それらを治療中か過去にあった人は、心筋梗塞や脳梗塞を発症しやすいことを心配している。

約20年前に脳梗塞に罹(かか)った80代後半の男性は、奧さんが4年前発症した認知症が1年前から明らかに悪化し、秋には要介護1となった。1日中、彼女の介護で疲れるとよく愚痴っている。

彼は、介護ストレスが原因なのか、血圧が高くなってきたと言う。脳梗塞の再発を思わせる自覚症状があれば、かかりつけ医を受診するが、強い症状であれば救急車を頼むと言っている。救急隊員の目に付くよう、日記帳の表紙に入院希望の病院名を大きく書き、健康保険証と一緒に玄関に置いている。

彼は携帯電話のワンタッチダイヤルの1に119番、2にかかりつけ医の番号、3に市内にいる息子の番号を入れ、入浴時もトイレの中でも手元に置いている。

彼は彼女の認知症が進んできたことを知って、自分が脳梗塞の再発や他の病気で入院する場合のことを考え、彼女がショートステイできる施設を探していた。彼女はデイサービスを一緒に利用していた近所の女性Aさんが秋に転居したからか、デイサービスに行くのを嫌がるようになった。

そこで、比較的近い特別養護老人ホーム(特養)併設のデイサービスを見つけた。幸いにも、同じマンションに住む女性Bさんがそのデイサービスに通っており、同じシニアクラブでよく会話する仲だ。そこで、Bさんと同じ利用日を要望したところ、施設は受け入れてくれた。

迎えの車、施設のゲームも一緒

認知症の人が通所サービスやショートステイを利用する場合は、知人や友人が利用しているか、いい話し相手になってくれる職員がいる施設を選んだほうが適応しやすい。

一般に、デイサービス先で同じ地区の顔見知りの人、同郷の人、同趣味の人がいると、ほっとするらしい。特に認知症の人にとっては安心できる環境であり、記憶力や理解力の低下による不安感を癒す効果もある。地域のシニアクラブや高齢者サロンでの交流は、近くの介護施設を利用する場合にも続いているのだ。

認知症の人が利用したことがない施設でショートステイすることは、大きなストレスとなり不安感をあおる。ショートステイを始める日、施設の夕食まで家族や友人が付き添い、本人が施設に少しなじんでから職員に引き継ぐという話を聞いた。

特養併設のデイサービスを利用している場合は、デイサービスで馴染みになった職員が付き添ってショートステイへ案内してくれれば、本人は安心してショートステイを受け入れてくれるだろう。

新年早々、彼女はデイサービスの迎えの車にBさんと一緒に乗り、施設でもBさんから離れず、ゲームや合唱をしたようだ。帰宅後、彼に笑顔で話したと私に電話があった。その声はいつになく明るかった。(高齢者サロン主宰)