【コラム・坂本栄】昨年12月のつくば市議会でおかしなことが起きました。市が慎重に選んだ市施設の指定管理者(案)を、議会が「地元の業者ではない」と否決したというのです。そして、近く開く臨時議会で、次点だった地元の業者を管理者に選ぶそうです。

どうやら、市民は、余計な費用(否決された業者の委託料の方が安い)を負担、そして、より良くないサービス(市の判定は否決された業者が最高点)を受けることになりそうです。

冒頭「おかしなこと」と言ったのは、市民が納めた税金をムダ使いし、より良いサービスを敬遠するという議決を、市議会が堂々としたからです。研究学園市の議会は、目線が市民(納税者)ではなく、アサッテ(受注業者)の方を向いているようです。

こういった議会の行状は、本サイトの記事「市長提案の事業者を否決 つくば市議会 ウエルネスパークの指定管理者」(12月21日掲載)で知りました。

詳しくはクリックしていただくとして、ポイントは①市の選定委員会が1位に選んだのは東京の業者だった②その受託料は他業者より年300万円ぐらい安かった③議会は1位の業者に代えて点数も下位だった市内の業者を選ぶらしい―です。

市の仕事はどうしても地元の業者にやらせたいと、議会は考えているのでしょう。「つくばファースト」ということでしょうか。米大統領のトランプさんが流行らせたコピー「アメリカファースト」のもじりですが、なにか不健全なものを感じます。

「世界のあしたが見えるまち」はどこに

これと似た傾向は、市の新しい入札制度にも見られます。昨年秋、市がクレオ問題への市の関与策を議会で説明した際、この問題に興味があった私も傍聴しました。このとき、一緒に公表された入札制度運用方針に、私は強い違和感を覚えました。

市は、一般競争入札が原則と断りながらも、「指名競争入札や随意契約による調達が例外的な取り扱いとして認められている」として、「地域活性化の観点からは、地元企業が受注し地域経済に貢献することも求められており…」と、地域活性化を黄門様の印籠にして「つくばファースト」を掲げていたからです。

こういった排外的な施策は、長い目で見ると域内企業の競争力を弱めます。企業は競争を促すオープンな市場で鍛えられるからです。域外の企業をソフトに閉め出す議決や施策が、地域の経営力を弱めることにならないか心配しています。

つくば市長の五十嵐さんの看板「世界のあしたが見えるまち。TSUKUBA」は、つくばを世界のモデルにしたいという意気込みのコピーと聞いています。でも、トランプ流の「つくばファースト」が世界のお手本になるでしょうか? 真似してはいけないお手本(反面教師)なら分かりますが…。(経済ジャーナリスト)