《地域包括ケア》25 健診による生活習慣病予防が大切


【コラム・室生勝】私たち高齢者の公園での朝のラジオ体操は、寒さによる血圧上昇に配慮して、12月から3月末まで休みに入る。私は63歳で高血圧に気づき、それ以来、高血圧の薬を服用しているが、寒い季節になってくると、毎朝測る血圧は高くなり、薬は暑い季節の3倍の量になる。82歳ともなれば動脈硬化が進んでいるので、寒さによる血圧の上がり方が大きい。血圧は加齢とともに上がってくる。

若いころ血圧は正常だったという人が、65歳の退職後に健診(健康診査)を受けたところ、高血圧を指摘されたが、他の検査は異常がなかったので、気にせずゴルフを楽しんでいた。健診を受けて6カ月後の冬の寒い朝、ゴルフ場でめまいが起きて倒れ、緊急入院した。

診断は脳梗塞で、右半身の麻痺があった。歩行はできず、ADL(日常生活動作)は排尿・排便、着替え、入浴などで一部介助が必要であった。入院3日目からリハビリが始まり、3週間後には歩行器を使って歩けるようになった。回復期リハビリテーション病院に転院し、3カ月間でADLは自立、右手つえ歩行が可能となり退院した。

彼は現役中、欠勤したことはなかった。会社の毎年の健診を数年間受けていなかった。たまに風邪で近所のクリニックにかかっても血圧は正常だった。退社前の空腹時によく栄養ドリンクを飲んだが、喫煙習慣は無かった。帰宅はいつも9時近くで、入浴後に晩酌を楽しみながら夕食を取った。就寝は10時半ごろ、朝5時までぐっすり眠った。身長165㌢、体重67㌔は40歳ごろから徐々に太り、20年間で18㌔増え、退職時には85㌔であった。

2の人生の明暗を分ける鍵

退院時の介護認定で要介護1と判定された。デイケア(通所リハビリ)を週2回利用したが、老人ばかりでリハビリに熱心に取り組む人はおらず、ひとり頑張って励んだ。1カ月間、デイケアに通ったが、リハビリ以外のレクリエーションが幼稚でばからしく通所を止め、訪問リハビリを週1回に切り替えた。4カ月間の入院で体重は8㌔減り、右上下肢筋力は幾分回復し、右手につえを持って右足先をやや引きずるように歩けるようになった。

彼は脳梗塞について担当医から説明を受けた。仕事のストレスによる高血圧、脂質異常症(LDLコレステロールは高くなかったが中性脂肪が高値)、高血糖(前糖尿病状態)、肥満などの動脈硬化促進因子が原因で、喫煙していなかったことから軽症脳梗塞で済んだと慰められた。

動脈硬化促進因子が重なって発病する心血管疾患(心筋梗塞や脳梗塞)は、食生活の欧米化や運動不足による肥満症の増加に比例して30歳代から発症している。現役世代からの健診による生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病、高尿酸血症など)予防や治療が大切である。それが第2の人生の明暗を分ける鍵となる。(高齢者サロン主宰)