《宍塚の里山》28 田んぼの学校 12月は「かかし送り」

田んぼに立つかかし

【コラム・及川ひろみ】田んぼの学校は、稲作とそれに伴う伝統文化、食農教育、里山の自然、田んぼの環境などを学ぶ場です。同時に、稲作や行事に大人も子供も一緒に取り組む、協働の楽しさを味わう場でもあります。4月の開校式に始まり、1月の伝統行事「ならせ餅」で終了します。

春の種もみ蒔きに始まり、田植え、草取り(除草剤を使いませんから様々な草が生えます)、生き物調査、鎌を使った稲刈り、脱穀、餅つき—。その間、「さなぶり」(田植えが終わったときに、豊作を願い、手伝ってくれた人をもねぎらう行事)、「かかし作り」「かかし送り」など、年10回ほど、コメにまつわる食が楽しめる行事を行っています。

里山を訪れる方を迎えているのが、田んぼに立つ色とりどりのかかしたちです。夕暮れ時、人々が帰宅し、人気(ひとけ)がなくなった里山にたたずむ1本足のかかし。この季節になると、里山のにぎわいの余韻を残すかのようです。

このかかし、8月初め、田んぼの学校に参加する親子が、竹を十字に組んで縄で結び、稲わらで顔を作り、白い布をかぶせ、思い思いの顔を描きます。バザーで売れ残った明るい派手な服をまとい、帽子や手袋、小道具まで持たせたハイカラなかかしたち。それぞれに名前をつけて立てました。

篠竹餅をクルミ味噌で食べます

1カ月ほど前、刈り取った稲をオダに干し乾燥させました。その稲束を、子どもたちが足踏み脱穀機で、ガーコンガーコン脱穀しました。足で回転させながら稲束を入れますが、去年も参加した子どもは体が覚えているようで、実に巧み。もちろん、事故が起こらないよう、大人たちが見守る中で行います。

稲束を干したオダも片付けられ、田んぼは冬の装いになりました。稲を見守り続けたかかしたちとも別れのとき。今年の「かかし送り」(かかしを天に送る行事)は12月8日になります。

雨の日も風の日も、田んぼを見守ってくれたかかしへの感謝のことばを、子どもが大声で述べてから、かかしの焚き上げが始まります。火を囲み、皆で歌い踊り、大根、カブ、ミカン、サツマイモを焼きます。また、収穫したもち米とうるちの米の粉を蒸し、餅のようにしたものを篠竹(しのだけ)に巻いた「篠竹餅」も焼き、クルミ味噌やゆず味噌でいただきます。

合間を縫って、子どもたちは木登りやロープゲームなども楽しみ、体がすっかり温まり、日が傾いたころ、祭りは終わります。毎年、70~80人が楽しんでいます。(宍塚の自然と歴史の会代表)