【コラム・奥井登美子】世界湖沼会議サテライト土浦メイン大会と同じ日に、環境展も行うことになった。環境展は13回目。土浦の自然を守る会は「秋を楽しむ」という大きなテーマを掲げて、松ぼっくりやどんぐりで、子供たちを対象に木の実を使ってアクセサリーづくりをやってきた。

今の子供たちはスマホのゲームに象徴されるように、春夏秋冬の季節の変化、まして木の実などにはあまり目を向けてくれない。

子供たちが木の実、草の実、落ち葉などにも目を向けてほしいと願って、女の子の欲しそうなどんぐりのネックレス、松ぼっくりでつくった鳥のキツツキなどを展示して、その場で、皆でわいわい言いながら作品づくりをやってきた。木の実の楽しさと面白さを、若い世代の人たちに知ってほしい。

私は犬の散歩をかねて亀城公園へ行き、環境展で使うどんぐりを拾ってくる。特に天然記念物の椎の木の下に落ちている小さな小さなどんぐりは、私の宝物だ。何しろ樹齢500年の老木が、子孫を残す目的で、ほんの少しだけ実を落とすのだからすごいと思う。

野獣が変わる 野鳥が変わる 魚も変わる

今年も10月20日、材料にする木の実を拾いに公園に行ってみた。椎の巨木の下に、どんぐりは2~3粒しか落ちていなかったけれど、鳥の巣がブランコの脇のところに落ちていた。モズかカワラヒワか、子供たちでにぎわう所だけに、子供が来ればすぐに踏まれてしまうに違いない。

私はそれを拾って、眺めて、仰天してしまった。口径6㌢、外口径12㌢、厚さ6~8㌢。小さな鳥の巣の材料が、わずかに箒(ほうき)の材料のような繊維が使われているが、それ以外はビニールの紐(ひも)、紐、紐。人工の紐ばかりでできている。

「野鳥の巣が、こんなに人工的になってしまったのですか」「今の若い人たちと、話が合わないけれど、鳥の世界も同じですね」「野獣が変わる。野鳥が変わる。魚も変わる。怖いですね」

たまたま私の所で会合を開いた日本山岳会の人、水郷水都全国会議の人たちに巣を見てもらった。みな口々に、小さな鳥の巣に象徴された野鳥の世界の変わり方をこわがっていた。(随筆家)