土曜日, 4月 12, 2025
ホームつくば台風24号 つくば、土浦で2人軽傷 倒木、建物損壊など各地に爪痕

台風24号 つくば、土浦で2人軽傷 倒木、建物損壊など各地に爪痕

【鈴木宏子】9月30日から10月1日にかけて本州を縦断した台風24号により、つくば、土浦市では女性2人が軽傷を負ったほか、倒木や建物の一部損壊など、両市内各地で強風による被害が相次いだ。

つくば市では1日午前1時52分、最大瞬間風速32.7㍍、土浦市では同2時37分、28.8㍍を観測した。つくば市の最大瞬間風速は1950年からの観測史上5位、土浦市は2008年からの観測史上1位の記録となった。

つくば市では午前1時30分ごろ、同市梅園のコンビニ店で、入り口のガラス扉が強風で急に閉まり、仕事中の女性従業員(52)が胸部打撲の軽傷を負った。土浦市では午前7時15分ごろ、停電により90代女性が自宅で転倒し軽傷を負った。

土浦で建物被害41件

建物の被害は、土浦市で住宅の屋根の一部が壊れたり、倉庫や物置、カーポートの屋根が飛ばされるなどの被害が41件発生した。

倒木は、つくば市で65件、土浦市で27件発生し、つくば市高野台、国道408号では倒木により午前4時20分から6時まで片側通行止めとなった。

各地で停電が発生、つくば市では約1万5000件、土浦市では1619件が停電となった。

暴風警報や大雨土砂災害警報が発令されたのを受けて、つくば市は9月30日夕方、同市沼田に避難所を開設したが避難者は無かった。土浦市は3カ所に開設し、このうち同市新治、新治公民館に70代女性1人が避難した。

強風が大木と屋根を直撃

屋根が壊れ撤去中に電線に接触した現場=土浦市真鍋

土浦市大岩田、霞ケ浦総合公園のポプラの大木が根こそぎ倒壊した。歩道フェンスを破って隣に設置されている太陽光発電のパネルを一撃した。同公園管理事務所の大川さんによると、周辺でほかにも2本大木が倒されたとのことだ。

土浦市真鍋5丁目の2階建てビルは強風で屋根が壊れ、撤去作業中に屋根が電線に触れて一部が燃えだし、土浦市消防が出動した。この騒ぎで道路が一時通行止めとなり、近くの住民は心配そうに見つめていた。

洞峰公園内、片付け作業に追われる

つくば市二の宮、洞峰公園では、園内あちこちに折れた枝が散乱した。根元から倒れた樹木もあり、作業員が片付け作業に追われた。作業員の男性は「今回の台風は風が強くて、枝折れの被害が大きかった」と話し「ここは粘土質で根が深く張らず横に張るため、根元から倒れた木が30本ぐらいあった。枝が途中で折れる枝折れがたくさん発生し、子どもたちがよく遊ぶ場所から優先して落ちた枝を片付けている。地面に落ちないで途中で引っ掛かっている枝もあり危険なので、高所作業をして引っ掛かった取り除かなければならない。片付けるのに1週間以上掛かるのではないか」と話していた。

折れて散乱した枝を子供たちがよく遊ぶ場所から優先して片付ける作業員=つくば市二の宮、洞峰公園

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

協議会スタート 洞峰公園の管理・運営方針など提言へ つくば市

2024年2月、県からつくば市に無償譲渡された洞峰公園(つくば市二の宮、約20ヘクタール)の今後の管理・運営方針などを市に提言する同市の「洞峰公園管理・運営協議会」(委員長・藤田直子筑波大芸術系環境デザイン領域教授)が11日スタートした。同日、第1回協議会が市役所で開かれ、昨年6月に同公園で開催した市営化スターティングイベントのような協議会のスターティングイベントを、今年6月ごろに開催することなどを決めた。 当初予定より1年遅れの設置となった(1月3日付)。委員は16人で、生物多様性や環境教育、まちづくりなどの学識経験者5人、洞峰公園などで活動する住民団体の関係者2人、公園を管理する委託事業者1人、造園会社の団体関係者1人、県と市の行政関係者7人で構成する。委員の任期は2年。 都市公園法の規定に基づき公園利用者の利便の向上を図るため必要な協議を行う協議会で、同公園の生物多様性の保全方針、公園施設の維持管理と更新方針、公園施設の運営方針などを、市長に随時、提言する。 協議会の組織の構成は、16人の委員による「委員会」と、公募市民がテーマごとに各テーブルに分かれて意見を出し合う「分科会」の2層構造となり、分科会で出た市民の意見をもとに委員会が協議して市長に提言する。 分科会は①生態系保全など「環境」②施設の維持管理と更新など「施設管理・運営」➂子育てと子どもの遊び場など「教育」の3つの分科会をつくる案が事務局案として出されている。6月ごろのイベント開催後、各分科会ごとに市民の公募を開始する予定で、応募があった市内外の市民全員が参加できるようにする。 分科会の運営方法は、テーマ別に市民が各テーブルに分かれて意見を出し合う。各テーブルでは筑波大の学生が司会者役となるほか、学識経験者の協議会委員1~2人が各分科会全体のまとめ役となる。今年度のスケジュールは、各分科会をそれぞれ1回、計3回程度開催する予定だ。 議会の2025年度予算は委員の謝礼などが計240万円。一方、分科会に応募する市民には無償で参加してもらう。 11日の協議会では併せて、公募で参加する市民が分科会に参加できなくなった場合などに意見を書き込める場などとして、筑波大発ベンチャー企業が開発した意見交換プラットフォームを活用することなども報告された。 協議会の設置に向けては昨年3月に、市長や議会議員、学識経験者など9人による準備会を設置して、3月、4月、12月の計3回準備会を開き、協議会の組織や運営方法などについて非公開で協議してきた。 市が県から洞峰公園の無償譲渡を受けるにあたってはこれまで、県が負担していた公園の維持管理費が新たに市の負担になることから維持管理費の負担軽減ほか、体育館・プール、新都市記念館など施設の長寿命化費用の負担軽減などが、市議会や市民説明会などで指摘されてきた。(鈴木宏子)

霞ケ浦用水のパイプラインはずれ水が流出 川の土手が一部崩落 つくば市北条

市発注の河川改修工事中 つくば市北条、八幡(はちまん)川の川岸で7日午後1時ごろ、工事受注業者が同市発注の河川改修工事を行っていたところ、土の中に埋まっていた霞ケ浦用水の農業用パイプラインの接続部分がはずれ、パイプラインの中にたまっていた水が流出して、川の土手の斜面の一部が長さ約10メートル、高さ3~4メートルにわたって崩落した。9日、同市が発表した。 霞ケ浦用水は霞ケ浦から水を取水し、農業用水などを県南西に供給している。事故があったパイプラインは霞ケ浦用水土地改良区が管理し、筑波土地改良区が用水を利用して、同市北条と小田地区に農業用水を供給している。事故時は田植え前だったため水は供給されておらず、今月21日から田んぼに水を張るため通水する予定だった。現場では9日からパイプラインの復旧工事が始まり、21日の通水開始までには復旧する見込みという。 八幡川は桜川の支流。市道路整備課によると、八幡川では昨年9月から今年6月までの工期で、川の氾濫を防ぐため川幅を広げる工事を行っていた。7日は同市北条、大池公園野球場近くの右岸で、川の土手の土を斜めに削ってコンクリートブロックを敷設する工事を行っていたところ、川岸の土手の土の中に埋まっていた霞ケ浦用水のパイプラインの接続部分がはずれ、水が流出した。流出した水の量は不明。 埋設されているパイプライン近くの土を削ったことから、パイプラインにかかっていた土の圧力が減り、接続部分がはずれたとみられるという。パイプラインの埋設位置について市と工事業者はあらかじめ把握しており、市は、なぜはずれたのかについて原因を調べるとしている。川の改修工事の再開は現時点で未定という。 崩落した八幡川の土手に隣接している大池公園野球場について、市は7日から、野球場の利用を制限している。安全が確認され次第、早急に利用を再開できるようにする。 再発防止策として市は、市と受注業者の双方で周辺状況を把握し安全管理を徹底した上で、施工にあたっては細心の注意を払って作業を進めるとし、市発注工事を受注している全業者に注意喚起を徹底するとしている。

湖岸線日本一 霞ケ浦沿岸15市町村の魅力を一堂に 土浦市職員がイラスト展

若田部哲さん 土浦市職員、若田部哲さん(49)のイラスト展「日本一の湖の ほとりにある 街の話」が8日から、土浦駅前の土浦市民ギャラリーで開かれている。土浦市やつくば市など湖岸線の長さ日本一の霞ケ浦沿岸と筑波山周辺15市町村の名所や特産品、祭りなど地域の魅力を、計150点のイラストで紹介している。 若田部さんはNEWSつくばのコラム欄で2022年7月から毎月1回、「日本一の湖のほとりにある街の話」と題して、霞ケ浦沿岸地域の魅力をイラストと記事で紹介し今年3月までに計32回連載している。今回はNEWSつくばに掲載されたイラストも含め一堂に展示している。 展示作品は、稲敷市の大杉神社、阿見町の予科練平和記念館、つくば市のペデストリアンデッキ(遊歩道)など。大杉神社はかつて、巨大な杉の木が霞ケ浦のどこからでも見えて航路標識の役割を果たしたと言われていることから、空を覆うように杉の木を描いている。予科練は「戦争を経験した方々がおり、今という平和な時代がある」という同館学芸員の言葉をイラストに添えている。ペデストリアンデッキは松見公園、つくばセンタービル、洞峰公園それぞれの風景を描いている。大学時代に都市計画を学んだ経験からペデストリアンデッキは、「歩く」という人間の基本的な行為を安全に楽しめて人と人が交わるところという思いを込めている。 休日などに土浦市内や霞ケ浦周辺を巡り、実際に足を運んで、現地で話を聞いて感じた魅力を、各市町村それぞれ10点ずつ紹介している。いずれも色鮮やかな版画のような作品で、現地で撮った写真をもとに手描きで輪郭線を描き、パソコンに取り込んで着色している。イラストの大きさはいずれも縦横18センチ×27センチ、色合いはグレーをベースに、いずれも2色の濃淡で表現している。グレーは全作品に統一して用い、15市町村のつながりを感じられるようになっている。 若田部さんは筑波大大学院芸術研究科修了後、建築設計事務所に勤務し、2009年に土浦市職員になった。これまで土浦市内の昭和レトロな老舗を紹介するイラストと記事を常陽新聞(2017年に休刊)に連載などしてきた。霞ケ浦沿岸地域に着目したのは2017年に滋賀県の琵琶湖のほとりで開催された全国市町村職員研修会に参加したことがきっかけ。各地の自治体職員に霞ケ浦を紹介したところ、琵琶湖に次いで2番目の大きさなのに霞ケ浦を知らない職員が多かった。アピールするなら日本一のものと考え、霞ケ浦の湖岸線の長さが日本一であることから「日本一の湖のほとりにある街の話」と題するホームページを2019年に開設した。すでに300点以上のイラストを描き、発信している。 若田部さんは「自身が住む街を振り返ることはなかなかなかったり、見過ごしている場所もあると思うので、こんな場所があるということをご覧いただければ」と話し、「イラストで巡る霞ケ浦、筑波山の旅という展示なので、改めて行ってみたいというところがあったらぜひ実際に訪れていただければ」と語る。(鈴木宏子) ◆イラスト展「日本一の湖の ほとりにある 街の話」は8日(火)~20日(日)、土浦市大和町1-1 アルカス土浦1階 土浦市民ギャラリーで開催。入場無料。若田部さんのホームぺージはこちら。NEWSつくばのコラムはこちら。

尾道 坂の街にて《続・平熱日記》179

【コラム・斉藤裕之】愛犬パクと故郷山口に帰って来て1週間。明日は弟夫婦と日本海側に行っておいしい魚でも買ってこようかと…。「尾道はどう?」。義妹の一言で行き先変更。翌日、3月も後半になるというのに広島では雪が舞って、遠くの山々は山水画のよう(日本海側に行かずによかった)。 尾道までそれほど遠くはないのに、訪れるのは初めて。まずは千光寺のロープウェイに乗って、尾道の街を見下ろす。川の幅のような向島との間の尾道水道には、渡し舟が行き交う(3月末で廃止と後日知る)。寒風が身に染みるが、そのおかげで空気は澄んでいて尾道大橋や西に続く島々までよく見える。戸艮(うしとら)神社の樹齢千年と言われる大楠を眼下に、ロープウェイで下りて日本有数の長さで知られるアーケード街へ。 他の地方都市の多くと同じくシャッターを下ろした店舗も目立つが、なんとか踏ん張っているようにみえる商店街。平日にもかかわらず、外国からの観光客も多く見かけた。義妹は金物屋で取っ手の長いトタンのチリトリを買い、私は少々値が張ったが晩のおかずに焼きアナゴを買った。 坂の街と知られる尾道。せっかくなので、少し坂を登ってみようということになった。登り始めてすぐに、かわいらしい薄緑色の木製のドアが気になった。ローマ字で「KAPPAN…」。どうやら活版印刷の店のようだが、あいにく閉まっている。 それから少し上まで行ってみたが、すぐに息が上がってしまい、早々に引き返す。おや、さっきの店に明かりがついているような気がして、ドアに手をやったら開いた。すると、女性が出てきて中に招き入れてくれた。店内には手動の印刷機が2台とその奥に活字の並んだ棚がある。 がんす、タコのてんぷら、… 「懐かしいなあ。実は実家が印刷をやっていて…」と、私と弟はかって活版印刷を生業(なりわい)としていた実家のことなどについて話し始めた。 「そうなんですか。この機材は北海道から船で運んできたんですよ…」。店の方と話が弾む。私は実家から唯一運び出して、弟の家に置きっ放しにしてあるものを思い出した。「うちに電動の立派な活版印刷機があるんですけど、いりますか? ちゃんと動きますよ」。店の方は意外な提案に少し戸惑った様子だったが、それならばと責任者の方の連絡先を教えてくれた。 帰宅して連絡をとると、すぐに返信が届いた。だれかに使ってもらえればと思って取っておいた活版印刷機。残念ながら、弟も私も使い方を知らず鉄くずになりかけていた。願わくば、尾道の街で鉄製の精巧な歯車が力強い印字を刻む雄姿を再び見せてほしい。きっと、インクの匂いとガッチャン、ガッチャンというレトロな響きはこの坂の街に似合うだろう。 その夜の食卓には、がんす(魚のすり身にパン粉をつけて揚げた広島の郷土料理)、タコのてんぷら、焼きアナゴが並んだ。また尾道を尋ねて、今度は別の坂を登ってみようと話し合った。(画家)