【シルバー団地の挑戦】あうんの呼吸で夏祭り開催 高齢化配慮し独自の安全対策

元大工の団地住民が造った山車がバス通りを巡行した=つくば市森の里

サークル「森の里太鼓」がまつり気分を盛り上げた=同

【橋立多美】つくば市の森の里団地で4日、団地最大のイベント「夏まつり」が催され、住民800人が山車巡行や盆踊りなどを楽しんだ。自治会の負担が大きく高齢化のため4月時点では開催が未定だったが、役員から中止しようという声は出ず例年通り開催。高齢化を考慮し独自の安全管理計画を策定して準備にあたった。今年はとりわけ猛暑だったが、長年培った仲間意識やあうんの呼吸で乗り切った。

森の里団地は1979年に入居が開始された1300戸の住宅団地で、高齢化率は2017年5月現在で49%。つくば市全体の19%を大きく上回っている。

自治会は会員相互の親睦を目的に、引き継がれてきた夏まつりや餅つき大会、文化祭などの行事を毎年行ってきた。中でも役員の負担が大きいのが夏まつり。とりわけ今夏は命に関わるほどの猛暑の中で準備を行った。

75歳以上は高所に従事させない

6月初めに夏まつり実行委員会が始動した。総務、会計、広報、食品調達、イベント推進、模擬店管理など11の部門に分かれて準備が始まった。団地脇を流れる東谷田川の河川敷きで花火を打ち上げるため、県竜ケ崎工事事務所への申請や団地内に乗り入れているバス路線の路線変更要請、模擬店のための保健所申請、チラシやポスター作製などだ。

各種許可申請の手続きを終えた7月22日、自治会公会堂で実行委の全体会議が行われた。まつり会場の設営など、本格的な準備作業を確認し合うための最終会議で40人が集まった。会議の終盤、倉本茂樹会長(76)が高齢化を考慮した独自の「安全管理計画書」を示して、舞台や看板などの組立解体作業への注意を促した。

同書に「原則として75歳以上には高所作業は従事させない」とあるのに気づいた70代後半の男性が「俺は(作業)できないなぁ」とジョークを飛ばした。すかさず「これからは80歳以上だよ」の声が上がって笑いが広がった。

作業前に血圧測定など徹底

この会議を境に準備作業は本格化、まつり前日まで続いた。高温注意情報が出され、熱中症に対する備えが必要になったことから、作業参加者記名表を作成して作業前に血圧と緊急連絡先を記載することを徹底した。

修理が特技で音響機器の設置や電気の配線を一手に引き受けている遠藤邦明さん(84)は「子どもたちの夏の思い出作りの大義のもと、まつりの準備で顔を会わせる仲間との一体感がいい」。

みこしの組み立てや掲示物の設置を担当した副会長の渡部友吉さん(67)は「実行委には、これまでまつり運営に関わった住民が自主的に参加してくれ、あうんの呼吸で事が運ぶ。森の里独自の仲間意識がある」と話す。

会場設営は長年ゼネコンに勤めていた工藤哲也さん(72)に負うところが大きい。屋根付きで高さ1㍍だった舞台を、3年前に屋根を外して高さ70㌢にした。また今年から団地入り口に掲げていた照明付き看板の設置を止めた。「高齢化して作業は困難になる。年々改良を加えて縮小していくことになるだろう」と工藤さんは話してくれた。

今後の在り方検討へ

4月の総会で倉本会長は、住民の意向を考慮することを前提に「負担の大きい夏まつりは中止も考えている」と述べた。森の里団地と同時期に入居が始まり、高齢化が進む近隣団地が夏まつりを中止または縮小していること。また、経費が会費収入の約3割を使うことから中止を求める意見があるという。

今年の役員会で実施反対意見が出ることはなく、従来通りに最大イベントを盛り上げようと一致した。倉本さんは「高齢化が加速していく中で、6月に発足した当自治会の高齢化検討委員会の検討課題になるだろう」と話した。

日中を避け、朝8時から始まった舞台資材の運びだしと組立作業=同