水曜日, 6月 25, 2025
ホームスポーツ【土浦つくばエリア深堀り高校野球展望’18】5 継投でしのぐ湖北 小技絡め得点する土浦一

【土浦つくばエリア深堀り高校野球展望’18】5 継投でしのぐ湖北 小技絡め得点する土浦一

今年も鍛え上げられた守備 土浦湖北

【伊達康】土浦湖北は秋季県大会1回戦で科技学園日立に敗戦。春季県大会は準決勝まで進んだ水戸商に2対3と惜敗してDシードとなった。シード権を獲得したものの、常磐大高や東風、下妻二、水戸癸陵など、今大会で最も有力校がひしめく激戦必至の第2シード明秀学園日立ゾーンに入った。初戦は13日午前10時から、ひたちなか市民球場で日立商と科技学園日立の勝者と対戦する。

春季大会で主戦登板した左腕の坪井優翔(2年)は最速120㎞と速度はないが、コントロール良く低めに集めて打たせて取るタイプだ。春の江戸崎総合戦では5回2/3を無失点に、茨城キリスト戦では6回を投げて被安打7で2失点に抑えた。しかし直前になって調子を落としているのが気になるところだ。

背番号1の右腕・川下颯真(3年)は最速125㎞のストレートとスライダーで組み立てる。夏は川下が主戦登板することになりそうだが、そのほかに左腕の富田昂紀(3年)や右腕の野口亮太(3年)、郡司翔琉(3年)などのマウンド経験者が控えており、目先を変えながら多数の投手の継投でしのぐことができるのが強みだ。

3番ショートで主将の大﨑凌輔(3年)がチームの精神的支柱だ。打線は5番の吉野哲平(3年)がけん引する。吉野は茨城キリスト戦で3安打2打点と躍動した。右打ちながらライト方向に力強く打ち返せる長打力が魅力だ。下位打線を打つ小野佳祐(3年)は打力を買われて1年夏にスタメンに抜てきされた実力派。好不調の波が激しいので下位打線に据えられているが、182㎝84㎏の恵まれた体格でツボにはまると一発がある怖い打者だ。

土浦湖北は今年も守備がよく鍛え上げられている。打たせて取るタイプの投手陣が低めにしっかりと集めて守りからリズムを作り、ロースコアの接戦に持ち込めば上位進出の可能性は十分にある。

投手は2枚看板誇る 土浦一

土浦一は秋季地区予選代表決定戦で取手一に1対2で敗退、春季地区予選代表決定戦はつくば国際・福島に4安打に抑えられて1対3で敗退した。県大会出場ができなかったためノーシードで夏の大会を迎える。

初戦は9日午前10時からJ:COMスタジアム土浦で神栖と対戦。これに勝てば2回戦でいきなり山場を迎える。待ち受けるのはBシードの日立一だ。難敵である上に会場が日立一の地元・日立市民球場であるため日立一ファンで埋め尽くされることは間違いない。まずはホームで行われる神栖戦に全力で勝利し、アウェイの戦いに備えることが肝要だ。

打線は小柄な選手が並ぶが小技を絡めて得点に結びつける。下級生のときから出場経験豊富で確実な打撃が持ち味の3番・矢追駿介主将(3年)はセンター方向中心に弾き返す。4番の阿由葉光(3年)は170㎝81㎏でチーム一の長打力がある。5番の佐野翔(2年)は春のつくば国際戦で高めのストレートを強振してセンターに特大のホームランを放った。

投手は左腕の大松崎智也(3年)と右の本格派・古宮学樹(2年)の2枚看板を誇る。大松崎は最速130㎞の球威でぐいぐい押していく。気持ちの強さを全面に出す熱い投球スタイルだ。古宮は曲がりの大きな緩いカーブを武器とする。角度を生かしたストレートと組み合わせて凡打を打たせる。

4番ファーストの阿由葉光(土浦一)

 

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

運転手不足の減便影響 つくバス利用者減少 つくば市

バス運転手不足や運転手の時間外労働規制などにより2024年4月から実施されたバス減便の影響で(23年11月8日付、24年1月19日付)、つくば市のコミュニティバス「つくバス」の24年度1年間の利用者数が前年度と比べて減少した。一方減便は平均で平日が13.6%減、休日は32.8%だったのに対し、利用者数は全体で1%の減少にとどまった。 つくバスの利用者数は年々増加傾向にあったが、コロナ禍の20年度に前年度比35%減と大きく落ち込んだ。その後は徐々に回復し、23年度はコロナ前を上回り過去最高の113万2827人になった。しかし減便があった24年度は前年度より約7006人(1%)減り112万5821人になった。一方、路線によっては減便により混雑した。1便当たりの利用者数は23年度が平均9.5人だったのに対し、24年度は11.8人になった。 10路線(24年10月からは11路線)のうち24年度の利用者が減ったのは、つくば駅前から大穂地区などを通って筑波山方面に向かう「北部シャトル」(前年度比0.26%、年1041人減)、つくば駅前からテクノパーク桜などを通って小田方面に向かう「小田シャトル」(25%、1万7851人減)、つくば駅前から研究学園駅前、豊里地区などを通って上郷方面に向かう「上郷シャトル」(10%、8559人減)の3路線。他の7路線は前年度比1~13%(483~4798人)増加したが、小田と上郷の減少が大きく全体として減少した。 北部シャトルは年間利用客数が39万4089人と最も利用が多い。減少が0.26%にとどまったのは、通勤通学時間帯の便数を極力確保したため利用客の減少を抑えられたとしている。同路線は減便により混雑し乗車できない利用客がいたことから、今年4月から夕方4時台に1往復(上り下り各1便)増便した。 小田シャトルが25%減と大幅な減少となったのは、減便数が平日27%減、休日47%減と大きかったためとしている。 一方減便により、つくバスの運行経費は23年度の約5億3890万円から24年度は4億7640万円に約6260円減少した。運賃収入は2億2290万円から2億2230万円に約55万円減少し、運行経費における運賃収入の割合を示す収支率は41.4%から46.7%に上昇した。 つくばね号、目標達成 筑波地区を運行する支線バス「つくばね号」の24年度の利用者数は前年度比17%増の年7171人となった。1便当たりの利用者は1.2人となり、目標の1.0人以上を上回った。 乗り合いタクシー「つくタク」の24年度の利用者数は4万8019人で前年度と比べ0.1%減少した。つくタクの予約は今年4月から、電話とインターネットの両方で予約できるようになり、さらにAI(人工知能)で運行を最適化するAIオンデマンドシステムが導入された。システム導入後の今年4月と5月の利用者は前年同期と比べ5.4%増えた。運行の最適化により乗り合い率が高まる一方、遠回りしたり、遅延が発生しているため、市は今後、乗り合いと遠回りの度合いの計算方法などについてさらに検討するとしている。 筑波山の公共ライドシェア、振るわず 今年1月27日、つくば、土浦、下妻、牛久4市の交通空白地区4エリアでスタートした、一般ドライバーが自家用車を使って有償で乗客を送迎する公共ライドシェア(24年10月1日付、25年1月26日付)について、5月末まで約4カ月間の利用実績は、つくば市桜ニュータウンと隣接の土浦市天川団地周辺の「つくば・土浦エリア」の運行回数は104回、利用人数は116人だった。下妻市の国道125号から南側の「下妻エリア」が148回、182人、市街化調整区域住民が市全域で利用できる「牛久エリア」は36回、42人だった。つくば・土浦エリアの利用者については30~50代が最も多く、主に通勤で利用されているとみられるという。 これに対し、筑波山中腹のつつじケ丘や筑波山神社からふもとの筑波山口まで、観光客を含めだれでも、午後5~8時に利用できる「筑波山エリア」の運行回数は約4カ月間で5回、利用人数は6人にとどまった。4月下旬から5月上旬はゴールデンウイークの利用を見込みSNSに広告を出すなど周知活動をしたが、振るわなかった。運行は事業期間の2027年3月末まで続ける。今後は秋の行楽シーズンに向け、新たな周知活動に取り組むとしている。(鈴木宏子)

コメの需給と値段は安定させられるか?《文京町便り》41

【コラム・原田博夫】2024年秋からコメの値段が上昇し始めた。最初、新米(2024年産米)が出回ればそのうち値段は下がる、と江藤拓農水相(当時)は説明していた。ところが、2025年になっても下がるどころか値上がり傾向が顕著になり、備蓄の古米(2023年産米)を競争入札で放出した。 しかし、消費者の支払う値段は下がらないどころか、値上がりする一方だった。そのうち、備蓄倉庫から小売店に並んで消費者の手元に届くには数カ月かかる、という説明も追加されるに至った。事ここに至って、石破茂首相は農水相を小泉進次郎氏に交代させた。本人もコメ担当相を自認して、備蓄米を随意契約で放出すると明言した。小泉農相の登場以来、コメをめぐる政策・値段・在庫状況は日々変動している。 農産物・畜産品の需給・価格に関しては、経済学に有名な理論がある。定期的に(2年サイクルで)上下変動する豚肉価格と産出量の関係から抽出されたホッグ・サイクル(豚の循環)だ。年次ごとの需給量と価格の変動状況をトレースしたグラフがクモの巣状のことから、「クモの巣理論」とも言われている。 要するに、農産物・畜産品の産出・供給は、前期の価格に反応して増産するけれども、今期はその結果、(相対的に)過剰供給になり、価格は下がる。しかし次期は、再び供給が抑制され、(相対的に)供給不足になり、価格が上昇する-というサイクルである。 この仮説には前提が少なくとも2つある。⑴価格変動に対応して供給量を調整するには少なくとも2期程度の準備期間が必要である、⑵この農産物は備蓄・保存が難しく収穫・出荷から販売まで時間差を置けない-という想定である。 安定的価格の実現を阻む要因 しかし、「令和のコメ騒動」で判明したことは、コメには、新米だけでなく、古米(2023年産)、古古米(2022年産)、古古古米(2021年産)、古古古古米(2020年産)…がある。要するに、保存・備蓄が制度的に認められていて、それを可能にしているのは近年の長期保管・冷蔵の技術でもある。したがって、在庫・備蓄はある。しかし、供給を安定的に維持するには難点が目白押しである。 難点1:保管米を消費者に渡すには、実は、数段階を経なくてはならない。収穫米あるいは備蓄米は、そもそも玄米(籾殻付き)である。それを消費者が食するには、精米が必要だが、これを集中的・大規模に行える精米・保管業者は実は限られている。急な需給調整には対応が難しい。 難点2:コメの生産者から消費者に渡るまでには、集荷業者(大手は当然JA)もいるが、従来は数次の卸業者がスポット取引で(入札制下では)需給調整を行い、流通ルートを確立していた。随意契約はこうした取引実態を超越している。 難点3:コメは、国民が主食として消費しているだけではなく、飼料用米や酒米もある。 難点4:日本のコメの産出量は、(事実上の)減反政策や転作奨励策のゆえに、最大可能量以下に抑えられている。 難点5:農業人口は減退傾向で、60歳以上のコメ農家が9割を占めている。 要するに、コメの生産・販売・流通を取り巻く現行制度は、安定的なコメ価格の実現を阻む要因で満ちあふれているのである。くれぐれも小泉農相には、短期的な事態鎮静化ではなく、農政と国民生活の中長期的な安定化のための対策に取り組んでもらいたい。(専修大学名誉教授)

新たに1人、免許失効したまま公用車など運転 つくば市 全職員を調査

つくば市の教育局職員が約7カ月間にわたって運転免許証の有効期限が切れ、免許証を失効したまま公用車や自家用車を運転していた問題(6月9日付)を受けて、同市が全職員約4000人を対象に運転免許証の原本の有効期限を確認したところ、新たにこども部の職員1人が運転免許証を失効していたことが分かった。23日、同市が発表した。 市人事課によると、こども部の職員の運転免許証は昨年2月29日までが有効期限だったが、今年6月17日に失効が発覚するまで約1年4カ月間にわたって、自家用車で通勤していたほか、公用車を2回運転していた。 今月13日から20日まで、各部局の所属長が、非正規の会計年度職員などを含む全職員の運転免許証の原本の有効期限を確認して判明した。失効が分かった職員は直ちに運転免許証再取得の手続きをとるという。 再発防止策として市は、各部局の所属長が今後、半年に1回、定期的に職員の運転免許証原本の有効期限を確認するほか、公用車使用時に作成する運転記録表に新たに運転免許証の有効期限を記載する欄を設けるなど運転前の再確認を徹底するとしている。

暗やみ坂《短いお話し》40

【ノベル・伊東葎花】 家の近くに、暗やみ坂と呼ばれる坂があった。鬱蒼(うっそう)とした樹木が空を隠し、昼でも真っ暗だ。「暗やみ坂は、一気に駆け上がれ。途中で止まれば闇に取り込まれてしまう」そんな言い伝えがあった。体力があり余った小学生の僕にとっては何でもないことだ。毎日一気に駆け上がった。暗闇などまるで怖くなかった。 ある日、転校生がやってきた。青白い顔の痩せた女の子で、梢子という名前だった。方向が一緒だったので、何となく一緒に帰ることになった。いつものように暗やみ坂を通ろうとしたら、梢子が立ち止まった。 「真っ暗で怖い」 「大丈夫。短い坂だし、一気に駆け上がろう」 僕は、梢子の腕をつかんで走った。僕にとっては易しい坂だけど、梢子は半分の辺りで立ち止まった。 「吉田君、待って。苦しい。走れない」 「だめだ。止まったらだめなんだ」 僕は梢子の手を放して、一気に駆け上がった。しばらく経っても、梢子は上がってこない。おーいと呼んでも返事はない。きっと怖くて下りたんだ。少し心配だったけど、僕はそのまま家に帰った。翌日、梢子は何でもないように登校した。 「きのう大丈夫だった?」 「全然平気よ」 梢子は笑った。昨日よりもずいぶん元気だ。そして驚いたことに、あれほど怖がっていた暗やみ坂を、止まらず一気に駆け上がった。 「吉田君、競争しよう」 梢子は活発な女の子に変わり、僕たちは毎日一緒に帰った。最高の友達になった。 その後、暗やみ坂は閉鎖された。隣に整備された道が出来て誰も通らなくなり「通行止め」の看板が立てられた。僕は高校生になっていた。 「あれ、吉田君?」 駅で、女子高に通う梢子に声をかけられた。久しぶりの再会だった。 「暗やみ坂を通って帰ろうよ」と梢子が言った。 「あそこは通行止めだろ」 「平気よ。看板があるだけで、何も変わってないわ。私、たまに通るのよ」 梢子は躊躇(ちゅうちょ)なく暗やみ坂に入って行き「競争だよ」と、走り出した。僕も走った。久し振りの暗やみ坂は、不気味だった。途中で、飛び出した木の枝に足を取られた。しまった。動けない。 「待って」 梢子は構わず駆け上がる。あの日の僕みたいに。僕の体は、何かに引きずられてどんどん林の奥に入っていく。声も出せない。深い闇の中に、僕の体は放り込まれた。 ふと、柔らかいものに触れた。小さな子供の手だ。 「やっと来てくれたね。吉田君」 青白い顔の子供は、幼いころの梢子だった。あの日僕が置き去りにした梢子だ。 「どうして? 梢子はずっと一緒にいたじゃないか」 「あれはニセモノだよ。これからは、吉田君のニセモノが代わりに学校へ行くの。だから大丈夫。何も変わらない」 闇が僕を呑み込んでいく。もう動けない。「おーい、吉田君」 ニセモノの梢子が、僕の名を呼んでいる。本物の僕と、本物の梢子が、闇の中でそれを聞いていた。 (作家)