【コラム・冠木新市】1月25日、つくば市北条にある宮清大蔵での詩劇コンサート「北条芸者ロマンの唄が聞こえる」を無事終了することができた。当日は晴天だったものの警報級の大寒波が襲った。参加者が集まるか心配したが、開場前から参加者が来場され、74人が観劇する「満員御礼」となった。
参加はつくば市からが多かったが、埼玉県8人、土浦市5人、常総市2人、東京都2人、小美玉、桜川、北茨城市が各1人と、遠方からも見に来てくれた。年齢も20~70代と幅広く、女性が半数以上だった。
うれしかったのは、地元・北条から4人の参加があったことだ。たかが4人と思う人がいるかもしれないが、これまで「北条芸者ロマン/筑波節を歌う女」「北条芸者ロマン/三代目襲名」「北条芸者ロマン/二代目の恋」と3度公演したが、地元の参加者はほぼゼロだった。
今回は北条街づくり振興会会長に、地元の人からの問い合わせが数多くあったという。スタッフも会場前を通りがかった北条の人から「今日ですね」と声を掛けられたそうだ。シリーズ4作目にして、ようやく地元に浸透してきた。
異口同音に「なぜか懐かしい」
お話は95年前の1930(昭和5)年の出来事だから、北条の人は生まれていないはずなのに、「なぜか懐かしい」と異口同音に連発するのだ。プロローグで、昭和初期の筑波・北条のスライドにかぶせて、カ一ペンタ一ズの「イエスタデイ ワンスモア」を流したせいだ。知らない世界なのに、名曲の力で懐かしさを感じられる。
北条の人は、劇中に出てくる地名にいたく反応し、感動していた。これは予想外でびっくりした。終了後、劇中に出てくる料亭で結婚のお祝いをしたと、うれしそうに語り掛けられた。自分の思い出を重ね合わせて見ていたのだろう。もっと地元の人に見ていただければ、さらに世界観が深まると思った。
岡本喜八監督の「殺人狂時代」
翌日、急に岡本喜八監督のアクションコメディ「殺人狂時代」(1967)が見たくなった。この作品は1966年に東宝で作られたが、理由なくお蔵入りとなった。翌年2月4日に公開されるが、東宝始まって以来の不入りとなり、短期間で打ち切りとなる。その後、名画座で上映されると、だんだん人気が出てきてカルトム一ビ一化する。私は公開時に見たが、名画座でも度々見て夢中になった。
水虫に悩む、さえない大学講師・桔梗信治(仲代達矢)は、「不要な人間は殺せ」という思想の精神病院院長・溝呂木省吾(天本英世)が育てた精神病患者の殺し屋に狙われる。しかし、桔梗は次々と殺し屋たちを返り討ちにする。話が進むうち、溝呂木は、ナチスドイツの残党が桔梗の知る宝石「クレオパトラの涙」を狙っていると分かる。
物語はいつしか宝石をめぐる話へと変わる。さらに、桔梗は殺し屋たちに襲われるふりをして、逆に殺し屋組織の壊滅を図っていく。仲代演じるぬぼーっとした桔梗が、どんどん格好よく変貌を遂げるのだ。
なぜ、北条でのイベントが終わって「殺人狂時代」を見たくなったのか? 多分、さえない桔梗が変化する姿と北条の街に共通するものを感じたからかも知れない。北条の街はこれから変化していくのではなかろうか。次の「北条芸者ロマン・完全版」では、北条の街の歴史を組み込むつもりである。「北条芸者ロマン」が、少しでも街の発展のお役に立てればと願っている。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)
<お知らせ>特別試写会『北条芸者ロマンの唄が聞こえる』
・日時:2月28日(土)午後1時~
・場所:つくばカピオ(つくば市竹園)中会議室
・参加費:無料
・対象:まちづくりに興味がある方






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