水曜日, 9月 17, 2025
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「刻の太鼓」打ち鳴らす 土浦の櫓門

【谷島英里子】「時の記念日」の10日、土浦市中央一丁目の亀城公園内の土浦城址櫓門(やぐらもん)=県文化財=で、江戸時代に太鼓を打って時刻を知らせた「刻(とき)の太鼓」が打ち鳴らされた。12日まで朝夕2回打ち鳴らす。

時の記念日は、671年に天智天皇が水時計を置いて、日本で初めて時刻制度を取り入れたとされる日。

土浦の刻の太鼓は、市制60周年の2000年に復活し、07年から有志の「刻の太鼓保存会」(須田義之会長)が伝承した。櫓門は太鼓櫓とも呼ばれている。

午前6時と午後6時に櫓の上で、はっぴを身につけた同会メンバーが、「土浦に伝わることわざに 土浦に過ぎたるものが二つある 刻の太鼓と関の鉄炮というのである」と口上した後、時を知らせる太鼓を約20分間打ち鳴らした。太鼓は1770年に制作されたもので市文化財に指定されている。

保存会副会長の前田祐一さん(57)は「刻の太鼓の場となる櫓門と太鼓がどちらも文化財に指定されているのは珍しいと思うので、この伝統を継承して長く続けていきたい」と話した。

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洞峰公園などが「自然共生サイト」に NPOとつくば市が共同申請

市内7カ所目 民間の取り組みなどによって生物多様性の保全が図られている区域や活動を認定する環境省の「自然共生サイト」に、つくば市の洞峰公園とその近接公園が16日認定された。同日つくば市が発表した。認定区域は洞峰公園(同市二の宮、17.4ヘクタール)と、近接する二の宮公園(同市二の宮、2.7ヘクタール)、まつぼっくり公園(同市千現、0.6ヘクタール)の3公園で、面積は計20.7ヘクタール。 市環境保全課によると、洞峰公園などで動植物調査や希少種の保護などを実施しているNPOつくばいきものSDGs(木下潔代表)から昨年秋ごろ、つくば市に提案があり、今年4月、同NPOとつくば市が共同で申請した。 市内では奥村組技術研究所内のビオトープ(同市大砂)も同日、自然共生サイトに認定された。市内の自然共生サイトは計7カ所となり、認定数としては全国の市町村で4番目に多くなった。認定サイトのほとんどは国際データベースのOECM(保護地域以外で生物多様性保全に資する区域)にも登録される予定。 認定制度は2023年度から始まり、25年4月に認定の仕組みを法制化した地域生物多様性増進法が施行された。法律に基づく認定は今回が初めて。同法に基づいて民間が作成・実施する増進活動実施計画と、市町村が取りまとめ役となって地域の多様な主体と連携して行う連携増進活動実施計画が認定され、二つの計画の活動実施区域が自然共生サイトとなる。 ゾーニングし緑地管理 市によると、洞峰公園とその近隣公園サイトの活動計画は、800メートルの距離を置く3つの公園の状況について①隣接する複数の研究所の樹林地、草地と共に100ヘクタールを超える緑地を形成し、絶滅危惧種を含むつくばの里地里山、沼・湿地に特徴的な動植物が生息生育している②通勤、通学など日常生活の傍ら、多様な生き物の活動に触れることができる—などが特徴だとしている。 活動計画の目標については①日常生活の中で生物多様性を実感できる市街地ならではの環境を次世代につなぐことを目指す②自然観察会などの環境教育活動を通じて身近な公園の生物多様性の価値に対する認知を高め、市民参加による調査モニタリング活動や保全活動を推進する―の二つを掲げている。 主な活動内容は、植生の特性に応じて園内をゾーニングし緑地管理するというもので①希少動植物生息生育エリアでは保全対象動植物に適した手刈りの草刈り、落ち葉かき、播種、樹木剪定を行い、対象植物の生態系を侵害する動植物は防除する②通常管理エリアは機械刈りや樹木剪定など一般的な公園緑地の管理手法を行う➂希少種エリアと通常管理エリアの間の緩衝的役割を担う緩衝ゾーンは主として背丈が高めの高刈りにより草地管理を行う—としている。 モニタリング計画として①植物、鳥類、昆虫、菌類を対象に年1~2回、有識者の指導の下、市民参加型調査・モニタリングを行う②希少植物種については開花期に生育状況を同NPOが中心となって調査する—とし、実施体制として①市と同NPOは専門家の意見を交えて保全計画を立案し実行する②つくば市は対象サイトの運営管理を統括し、希少動植物の生息生育エリア以外の緑地管理、沼管理を行う➂同NPOは希少動植物の生息生育エリアを管理し、調査・モニタリング活動、環境教育、市民参加型生物多様性保全活動を計画・実施する—となっている。計画期間は今年9月から2030年8月までの5年間。 一方、洞峰公園をめぐっては、2024年2月に県から市に無償譲渡された経緯などを受けて、今年4月、同公園の管理・運営方法などを市に提言する「洞峰公園管理・運営協議会」(委員長・藤田直子筑波大芸術系環境デザイン領域教授)が4月にスタートしたばかり。一般市民が参加してこれからの維持管理について話し合う分科会は1回目が7月に2日間開かれたのみで、本格的な議論はこれからになる。 洞峰公園を管理する市公園・施設課は、今回認定された活動計画は、県が管理していた時を含め、すでに取り組まれてきた活動を継続するものだなどとしている。(鈴木宏子)

歴代入賞作品約100点を一堂に 土浦で「世界児童画展セレクション」 

児童画展の一大イベント「世界児童画展」の歴代入賞作品約100点を一堂に展示した企画展「世界児童画展 超半世紀セレクション こどもの絵から見る世界」が16日、土浦駅前の土浦市民ギャラリー(同市大和町)で始まった。 世界児童画展は1970年に開催された大阪万博を機に公益財団法人美育文化協会が始め、世界の約40の国や地域から毎年約8万点もの作品が集まる。土浦市民ギャラリーでは2017年の開館以来毎年「世界児童画展 茨城県展」を開催してきた。今年は2回目の大阪万博が開催されている記念の年であることから、第1回から55年分の歴代受賞作品を同協会から借り受け展示する。 展示作品は3歳から15歳の子供たちが描いた計106点で、日本の最高賞である内閣総理大臣賞受賞作品が14点、海外の最高賞である外務大臣賞が25点、ほかに特別賞受賞作品など。国内の作品が63点、海外は43点となっている。 第20回内閣総理大臣賞を受賞した日本の小学6年生(当時)小森翠さんの「うにをむく人」は、赤いブラウスに緑のエプロンを付けた女性がうにをむく姿を正面から大きく描いている。大胆な筆づかいながら、ひとつひとつのウニの形は異なっているなど、細かく観察した描写になっている。 第22回同賞を受賞した日本の小学6年生(当時)水野聡英さんの「高層ビル街に現れたヒョウ」は版画で、赤と黒と白の3色しか使ってない。画用紙の左側にタワーの脚部だけが大きく描かれ、高層ビルの上に乗ったヒョウとの対比と彫刻刀の荒い削りあとにインパクトがある。 第19回外務大臣賞を受賞したオーストリアの13歳(当時)マルクス・ヴァイセンンベルガーさんの「おしゃべりな女」は、人の肌も洋服も背景も緑と黄色だけを使って描かれており、緑の濃淡で表情や服の柄、背景を生き生きと描いている点が印象的だ。 会場では、描かれている情景や使われている色をもとに「家族」「物語・ファンタジー」「生活・文化」など7つのテーマに分けて紹介している。「家族」は3点で、子どもたちの家族を描いた作品を展示している。「物語・ファンタジー」は20点で、子どもたちが考えた物語や空想の世界が思い思いに描かれている。「生活・文化」は23点で、地域や国ごとの子どもたちを取り巻く生活や文化を絵から読み解くことができる。「生き物」は13点で、虫や猫、牛など子どものそばにいる生き物が生き生きと描かれている。「乗り物」は7点で、各国の身近な乗り物が描写されている。 ほかに「構図・空間」がテーマの作品は19点展示され、子どもならではのユニークな構図の作品が描かれている。「色彩」は21点で、シンプルだったりカラフルだったりと色使いに注目したい絵がそろっている。 同市民ギャラリー主任の若田部哲さんは「賞を取った絵を展示しているが、賞は優劣や巧拙(こうせつ)を問うものではなく、あくまでも子どもならではの感性に対する驚きや喜びから選んでいる」とし「子どもたちの素直な表現のすばらしさを見ていただきたい。昨今、未来への閉塞感があるが、子どもたちの絵から伝わる今の喜びや未来への希望や夢という明るい感情を感じてほしい」と来場を呼び掛ける。(伊藤悦子) ◆同展は9月16日(火)から10月19日(日)まで、土浦市大和町1-1、アルカス土浦(市立図書館)1階、土浦市民ギャラリーで開催。入場無料。開館時間は午前10時~午後6時。月曜など休館。問い合わせは電話029-846-2950(同ギャラリー)へ。