市民団体が高校審議会に要望書
2027年度以降の県立高校の統合や学科の再編など高校教育改革の方向性を検討する「県高校審議会」(委員長・笹島律夫常陽銀行会長)が7月29日にスタートしたのを受けて、つくば市やTX沿線に県立高校の学級増や新設を求めている市民団体「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」(片岡英明代表)は26日、同審議会の笹島委員長と同専門部会の中村麻子部会長(茨城大副学長)などに、つくばエリアの子供増に見合った県立高校の学級増の答申を出すなど改善を行うよう求める要望書を出した。
同審議会は県教育委員長(柳橋常喜委員長)の諮問機関で、2027年度以降の県立高校の適正配置や適正規模、学校や学科の魅力づくりなどについて審議する。今年12月に答申を出す予定で、県教育委員会は答申に基づいて2027~33年度の次期県立高校改革プランを策定する。
人口増加が続くつくば市やTX沿線地域の生徒数の見通しについて、県教育庁が7月29日に同審議会に示したエリア別中学校卒業者見込み数によると、2038年3月の中学卒業者見込みは、県全体では1万7826人と今年3月の2万5192人より7366人(29%)減少するのに対し、つくば市の2038年3月の中学卒業見込み数は3392人と、すでに県立高校不足が問題になっている今年3月の2652人よりさらに740人(28%)増える。今後も児童生徒数の増加が続くつくば市1市のみの2038年の3392人は、今後児童生徒数が減少する「県北臨海エリア」(日立市など3市)と「水戸近郊エリア」(水戸市など4市)の2038年3月の中学卒業見込み数を合わせた3429人に匹敵すると推計されている。
考える会の片岡代表は「県が高校審議会に出した資料で、2038年のつくば市1市の中学卒業見込み者数が、水戸近郊エリア(水戸市など)と県北臨海エリ(日立市など)の卒業見込み者数の合計に匹敵することが推計されている。水戸と日立の2つのエリアには全日制の県立高校が合わせて18校103学級ある。これまで改善してこなかったツケが、県の資料からも明らかになっている」と指摘し、つくばエリアの県立高校を県平均水準に改善することなどを改めて要望した。
26日要望書を受け取った、県教育庁高校教育改革推進室の片見徳太郎室長は「要望書はお預かりしたので、きちんと委員長と専門部会会長、専門部会の委員の方々にお渡ししたい」と述べるにとどまった。(鈴木宏子)
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