日曜日, 12月 7, 2025
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つくばの廃校、芸術文化創造拠点に 

旧田水山小で改修工事着工へ

廃校となったつくば市水守、旧田水山(たみやま)小学校を改修し、同市の芸術文化創造拠点にする工事が8月から始まる。だれもがアートに触れることが出来る施設として、来年度後半にオープンする計画だ。

市民が創作室を一定期間借りて趣味の作品をつくったり、備え付けの木工工作機械を使って工作に挑戦したり、音楽やダンス、演劇を練習したりできる。作品の展覧会や舞台の発表をする設備も整える。土日曜には、筑波大芸術系の関係者や市内のプロのアーティストがワークショップを開く計画もある。公募で選んだアーティストが数カ月間、教室で創作活動をするなどアーティストの育成にも取り組む。運営は当面、市直営とし、アートコーディネーターが常駐して企画展なども開催する計画だ。

完成イメージ図(つくば市提供)

同小は、秀峰筑波義務教育学校が開校したのに伴って2018年3月に閉校した。敷地面積約1.1ヘクタール、教室棟は鉄筋コンクリート造3階建て。建築面積約1000平方メートル。

教室棟は創作室などに改修する。校庭には遊歩道を整備して屋外ギャラリーをつくる。体育館は2023年3月の同基本計画策定時点では、修繕し地域のスポーツ団体が引き続き使用する予定だったが、劣化が激しいため取り壊し、跡地を駐車場にする。プールは解体し、跡地にプールの形を生かした展望デッキと屋外ギャラリースペースを整備する。駐車場は計70台、駐輪場は17台整備する。災害時の指定避難所になっていることから、引き続き地域住民が避難所として利用できるようにする。

教室棟の1階は、職員室を改修しだれでも利用できる地域利用スペースにする。だれでもふらっと立ち寄って休憩したり、中高生などが勉強したり、アーティストと交流できるスペースにする。家庭科室と理科室をそれぞれ改修した創作室は、個人やグループが創作活動に利用できるようにする。

2階は、教室3室を改修して創作室をつくる。プロを目指すアーティストが滞在しながら創作活動を行ったり、作品展示などする。元コンピューター室は、自在に間仕切りができる展示パネルや可動式スポットライトなどを設置し、さまざまな企画展示を開催などする。

3階は、教室を改修して創作室を3室つくる。木工工作機械などを備えた部屋をつくり、市民が工具を使ってDIYなどにも挑戦できるようにする。音楽室は音楽の練習に使えるよう防音壁などを整備したり、図工室はダンスや演劇の練習ができるスペースにする。図書室は本棚をそのまま利用し芸術を専門とするライブラリーに改修する。

各創作室の使用料金などはこれから検討するという。職員室を改修した1階の地域利用スペースと、図書室を改修した3階のライブラリーはだれでも無料で利用できるようにする。

「人、モノ、情報が出会い、つながりが生まれ、新たな価値観やつくば独自の芸術文化を育む」をコンセプトに、アーティストの育成、市民が文化芸術に触れる機会の創出、地域交流の場の形成などに取り組む方針だ。

改修工事費は約8億8000万円。改修工事期間は8月から来年7月まで。2023年3月の試算では概算工事費は約4億4000万円だったが2倍になる。1995年の教室棟建築から30年経ち、改修や修繕だけでなく施設の長寿命化工事を実施する必要が生じたためと市は説明する。

同基本計画によると、年間約2万8000人の利用者を想定している。完成後の施設の維持管理費は概算で年間約4700万円の見通し。

市民説明会の様子

改修を前に同小でこのほど市民説明会が開かれ約30人が参加した。集まった市民からは「多額の費用をかけるのだから計画通りに進めてほしい」「野外の芸術にも力をいれてほしい」「災害時の避難場所としての機能はどうなるのか」「周辺の道路が狭いので対策をしてほしい」「工事の騒音が心配」「地元の(伝統芸能の)田中ばやしも芸術なのだから練習場所として使わせてほしい」など意見が出た。

市民部芸術文化推進課の矢口治重課長は「市民みんなが気軽に集えるような場所になるように努力していきたい」と話す。(榎田智司)

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