米トランプ政権がハーバード大の留学生受け入れ資格認定を取り消したことを受けて、筑波大学(つくば市天王台)の永田恭介学長は26日、ハーバード大を含む米国の大学で学業を続けられなくなった留学生らを受け入れると表明した。同日の定例会見で永田学長は「(学生にとって)研究ができなくなることは極めて大きな問題。米国留学を予定している日本人とその他の国の人に、アカデミアの仲間として学べる環境を提供したいと考えた」と述べた。
受け入れの対象となるのは、米国の大学に正規生として在籍している学生、または入学許可書がある入学予定者。日本のビザ申請の手続きを必要としない学生に対しては、9月、10月入学に間に合うよう、希望者と日程調整をした上で書類選考、面接等で選抜を行い、受け入れを始めていくとしている。筆記試験は行わない。学位取得を希望する正規生のほか、学位取得を希望しない科目履修生や研究生も受け入れる。入学に際しては入学金、授業料は必要になるが、試験を受けるための検定料は徴収しない方針だ。希望者は宿舎の入居も可能。
文科省は5月27日、日本国内全ての大学に対してハーバート大の留学生受け入れなど支援策を検討するよう求める事務連絡を出した。日本学生支援機構によると6月26日現在、国公立大76校を含む121の大学が学生受け入れを表明している。
米トランプ政権は今年に入り、学生の取り締まり強化などをハーバード大に要求、これを拒否した大学側に対して助成金の一部凍結を決定した。5月22日にはハーバード大に対して留学生の受け入れ資格認定の取り消しを通告すると、ハーバード大は政権を提訴し、連邦地裁が認定取り消しに対する差し止め命令を出していた。6月4日にはトランプ大統領が、ハーバード大の留学生ビザ発行を禁止する大統領令に署名したことを受け、大学側は違憲だとして提訴し、連邦地裁は23日、この大統領令に対して差し止め命令を出している。(柴田大輔)