木曜日, 8月 7, 2025
ホーム暮らし上曽トンネル9月27日開通へ 一般道で県内最長

上曽トンネル9月27日開通へ 一般道で県内最長

筑波山北側の石岡市上曽(うわそ)と桜川市真壁町山尾を結ぶ上曽峠に、全長3538メートルの「(仮称)上曽トンネル」が9月27日に開通する。一般道としては県内最長となる。

上曽峠は道路幅が狭く、急傾斜や急カーブが連続する。豪雨時や冬期の積雪・凍結時は道路封鎖が行われるなど、交通難所の解消が期待される。

上空から見た石岡側トンネル入り口(同)

想像を絶する硬さ

トンネル整備は県事業で2001年に着工したものの、取付道路の用地取得などで難航し、財政難による見直しで停滞していた。その後石岡市と桜川市が「合併市町村幹線道路緊急整備支援事業」の指定を受け事業主体となり、18年から新たに工事が開始された。両市の取り付け道路も併せ全体で約5.6キロのバイパスが整備される。

石岡市上曽地区の取付道路

上曽トンネルが掘削されている筑波山、加波山、足尾山一帯は、約6000万年前に形成された山塊が連なり、主な地質は花崗岩だ。岩質は、掘削当時の工事現場で「想像を絶する硬さ」といわれた。

石岡市側のトンネル入り口付近は唯一、土石流堆積物の軟弱地層。桜川市の地山は良質な「真壁の御影石」が産出する花崗岩帯。工事は石岡市側、桜川市側の両方から掘り進められ、石岡側は崩落防止のための補助工法が併用された。一方、真壁側の坑口付近では一日あたり1メートル程度しか掘削できないほどの硬さだったという。

掘削用機械(同)

トンネル区間の90%はダイナマイトによる発破掘削が採用され、岩盤に発破のための穴を空けるドリルジャンボなどを駆使して岩盤を砕き、2023年7月にルートを貫通させた。石岡市道路建設課によると、「現在はトンネル内の照明や消火設備設置、トンネルに至る取り付け道路の仕上げ工事も終盤で、いよいよ待望の路線開通となる」と展望する。

開通すれば、2012年11月に開通した全長1784メートルの朝日トンネルを超える超大トンネルとなる。これまで最短時間でも15分を必要としていた峠越えが、約7分に短縮される見通し。時間短縮以上に、通年の通行に対する安全性の向上が期待される。つくば市や土浦市側からアクセスして利活用するにはなじみが薄いが、筑波山麓でこれだけの規模の道路整備が進んだこと、太古の地層を貫いたトンネルであることは、今後話題を集めるかもしれない。(鴨志田隆之)

上曽トンネル周辺の地図(同)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

5 コメント

コメントをメールに通知
次のコメントを通知:
guest
最近NEWSつくばのコメント欄が荒れていると指摘を受けます。NEWSつくばはプライバシーポリシーで基準を明示した上で、誹謗中傷によって個人の名誉を侵害したり、営業を妨害したり、差別を助長する投稿を削除して参りました。
今回、削除機能をより強化するため、誹謗中傷等を繰り返した投稿者に対しては、NEWSつくばにコメントを投稿できないようにします。さらにコメント欄が荒れるのを防ぐため、1つの記事に投稿できる回数を1人3回までに制限します。ご協力をお願いします。

NEWSつくばは誹謗中傷等を防ぐためコメント投稿を1記事当たり3回までに制限して参りましたが、2月1日から新たに「認定コメンテーター」制度を創設し、登録者を募集します。認定コメンテーターには氏名と顔写真を表示してコメントしていただき、投稿の回数制限は設けません。希望者は氏名、住所を記載し、顔写真を添付の上、info@newstsukuba.jp宛て登録をお願いします。

5 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

持ち味はミルキーな甘い香気 ナシ新品種お披露目

農研機構育成 炎天下のナシ園、樹齢17年の原木がたわわな実をつけている。農研機構果樹茶業研究部門(つくば市藤本)で育成された極早生の青ナシだ。苗木になっての市場デビューを来年に見据え、「蒼月(そうげつ)」の名をもらって、5日、報道関係者にお披露目された。 「蒼月」は果実重370グラム程度、主力ナシの「幸水」とほぼ同じ大きさで、極早生品種としては大きい果実といえる。「幸水」より果肉が軟らかく、糖度と酸味はほぼ同程度で、ミルキーな甘い香りと優れた食味を備えている。香りを特色とする二ホンナシは珍しい。 農研機構が極早生で果実品質良好な青ナシ品種の育成を目的として、育成に取り組んだのは2007年。早生の青ナシの「なつしずく」に極早生の赤ナシの「はつまる」を交雑して得られた実生から選抜して、つくばのナシ園に植えた。 15年からは全国35カ所の公立研究機関での特性検討に入った。21年に農林水産省に品種登録申請出願、今年3月に種苗法に基づき「蒼月」として品種登録された。 消費者の口まであと10年 ニホンナシは果面のコルク層が発達する赤ナシと、発達しにくい青ナシに大別される。2022年時点で国内栽培の90%以上が赤ナシで、青ナシ品種としては「二十世紀」が知られる程度。収穫時期は中生で、労力分散の観点から熟期の異なる新品種の育成が求められていた。 ニホンナシの需要は7月下旬から8月中旬にかけて高まるが、その時期に露地栽培で収穫できる主力の品種は見当たらず、早生の「幸水」で対応する場合、多くの産地でトンネル栽培を必要とするため、資材費や被覆労力の負担が課題となっていた。このため露地栽培でも8月上旬に収穫可能な極早生品種の育成が求められた。 ナシの主産地の1つである本県でも、温暖化のせいで、収穫・販売できる時期は年々早まってきたが、書き入れのお盆前の出荷は難しかった。逆に西日本では「幸水」に花芽不良がみられるようになって、「蒼月」は温暖化耐性品種ではないものの栽培転換の有力候補になりそうだ。 育成地のつくば市における「蒼月」の開花期は「幸水」と同時期だが、成熟は約20日早く、7月下旬から8月上旬に収穫可能な、早生の「幸水」より20日程度早く収穫できる極早生の品種といえる。また促成栽培が不要なため、導入すれば資材費や被覆労力の軽減が期待できる。 原木から採られた苗木は、今後許諾契約を締結した果樹苗木業者から販売される予定。2026年秋以降の販売開始を目指す。研究担当者の果樹茶業研究部門、髙田教臣落葉果樹品種育成グループ長によれば「苗木からは3年程度で実を採れるが、まずは産地の産直店あたりで扱われることに。一般の消費者に口に入るまでには10年ほどかかるだろう」と見通している。(相澤冬樹)

バイオものづくり研究棟開所 産総研つくばセンター

研究から実装まで一体 産業技術総合研究所(産総研)は5日、つくば市東の産総研つくばセンター内に整備した「バイオものづくり研究棟」の開所式を行った。産総研の総合力を生かし、研究開発から社会実装までを一体的に進める産学官連携の拠点として活用するという。 バイオものづくりは、微生物からつくる物質の生産を増やしたり、新しい物質の生産に遺伝子技術を利用するテクノロジーで、国が推進するバイオエコノミー戦略の中核に位置付けられる。開所式には経産省や産業界、自治体などの関係者を集めた。 北海道との2拠点で 研究棟は同センター中央事業所6群にあった既存の地上2階建て2棟を改装し、3月までに完成させた。企業が占有して使用できる居室と実験室を4セット整備した。すでにコニカミノルタ(本社・東京)が研究ラボを設けたほか、企業や大学など多様な研究者が集い、活発な議論ができるようオープンなコミュニケーションスペースが複数設置された。分析機器室には微生物培養リアクタ―装置や質量分析装置などが設置されている。 産総研では4月に、これまでの微生物や植物を利用したバイオものづくり研究を集約化し、北海道札幌市の拠点と結び、バイオものづくり研究センター(油谷幸代センター長)を発足させている。10の研究チームに約70人の研究員が所属している。 北海道センターには、バイオリソース解析プラットフォームが設けられている。国内最高速レベルのゲノム解析用クラスタマシンや各種分析装置などを保有しており、つくばのバイオ拠点と連携することで、圧倒的な速さと精度でゲノムやDNA、遺伝子発現情報の解析を実現できるという。これらの迅速で正確な情報解析によって、最終的にバイオ製品のコスト削減への寄与などが期待される。 産総研の総合力を生かした研究開発の社会実装までの取り組みについて、生命工学領域の千葉靖典領域長が示したのは、微細藻類のミドリムシからつくる高性能の接着剤開発の例。この接着剤には、石油由来の代表的な自動車構造材用接着剤であるエポキシ系接着剤に匹敵する接着強度があり、他のバイオベース接着剤の接着強度も上回ることが突き止められた。 従来の構造材用接着剤は、接着力が高い反面、解体が容易でない短所もあった。ところがミドリムシ接着剤で接着したアルミニウム板は加熱により容易に解体できる特質をもつ。この易解体性により使用済み自動車の解体や部品の再利用が簡略化できる。さらにミドリムシは二酸化炭素や糖を栄養源にしていることから、カーボンリサイクルの面でも貢献ができるとされ研究開発が進められている。 産総研の量子・AI 融合技術ビジネス開発グローバル研究センター(GQuAT)、AI 橋渡しクラウド(ABCI)、マテリアル・プロセスイノベーション(MPI)プラットフォーム、計量標準総合センター、知財・標準化推進部などとの協働によって産総研の総合力を生かした革新的な次世代バイオものづくり技術の開発と実証、バイオものづくり製品の評価方法に関する標準化・認証スキームの整備などを目指すとしている。(相澤冬樹)

何を批判したか《続・気軽にSOS》163

【コラム・浅井和幸】参議院選挙は、盛り上がったでしょうか。いつもと同じだったでしょうか。それとも、いつもより関係のないイベントだったでしょうか。私は転換期を推測できるような盛り上がりがあったと感じています。 まあ、梅雨入り・梅雨明けが判定されるのは秋頃になるのと同じように、今回の選挙戦が本当に転換期なのかどうかは、10年後にならなければ分からないかもしれません。けれど、間違いなく私個人は盛り上がっていました。どちらが勝つか負けるかではなく、今回の選挙を取り巻く人たちがどのような心の動きをしたかという観点で、です。 自分や自分の仲間が不利益を得ているのではないか、排除されるのではないかという怖さから、差別するなと声を大きくする場面は、この選挙中に新聞やテレビ、SNSなどで多く見られたのではないでしょうか。もしこれが防衛機制で言う投影だとすると、排除される怖さではなく、自分の中にある排除したいという気持ちを、相手への批判につなげることで自己防衛をしているのかもしれません。 そうです。学校の保健体育で習ったであろう防衛機制で、この盛り上がりを見るという楽しみ方を私はしていました。インターネットで防衛機制を検索してみてください。面白いですよ。ただ、ちょっとした楽しみ程度にしないと、人の言動を、自分を守っているからそうしてるんだろうと論破したくなり、はてはケンカになり誰も得をしないので、そこそこにしたほうがよいのは頭に入れておいてください。 他の心理学的な概念も同じです。マウントをとるために使ってもしこりが残るだけなので、楽しみに使うか、相手と仲良く調和していくために使うことをおすすめします。 話は選挙に戻して、耳にしたくない、受け入れがたい言動に対して「否認」をし、相手の言動を邪魔するために「行動化」をする。自分の応援する対象を「理想化」し、選挙運動をすることにより日常でのストレス対処として「置き換え」をする、などなど。 過剰な防衛機制は目標達成を困難にしたり、人間関係を悪化させたりするので注意が必要です。しかし防衛機制の中で、成熟した防衛機制、ポジティブな建設的な方法があるとされています。それは、「ユーモア」や「利他主義」などです。「昇華」もその一つで、イライラや苦しい体験などをスポーツや芸術をすることで、より社会的に認められることで自己実現に向かうというものです。 今回の選挙で盛り上がって興奮冷めやらぬならば、批判や悪い行動化ではなく、敵と思える人ですら和して、社会的に認められるような振る舞いとは何かを考えてみるとよいでしょう。さらには、存在するもの全てが支え合えるような社会は何かを夢見てみるのも楽しいかもしれません。人には器というものがあります。抱えきれぬものを抱えすぎて苦しみ、自分を見失わないようにしてくださいね。(精神保健福祉士)

450万円! 返礼品に「貸し切りナイトプール」 土浦市

ふるさと納税 ふるさと納税の返礼品に、土浦市が「夜間貸し切りナイトプール」を出品している。霞ケ浦総合公園にあるヒューナックアクアパーク水郷(水郷プール)を夜6時30分~9時まで、一夜貸し切りできる利用券で、450万円の寄付金で利用できる。同市の返礼品の中で最高額になる。 借り切りできるのは、一周270メートルの「流水プール」と「ちびっ子プール」。対象期間は7月28日~8月8日までと8月25~29日まで計17日間。仮設の夜間照明を設置し、プール監視員が配置される。飲食物や椅子などの持ち込みもできる。個人でもグループでも利用でき、グループ利用の場合、利用人数を100人までとする。 ふるさと納税を増やす取り組みの一環で今年新たに実施した。市によると、4日時点で寄付者はまだいないという。 同プールは公営の屋外レジャープールで、敷地面積約1.7ヘクタール、流水プール、ちびっこプールのほか、スライダープール、多目的プールがある。水面面積は約2600平方メートル。2016年にリニューアルオープンした。 今年は、昨年の同時期と比べ来場者が5000人増えるなど日中は大変にぎわっている。厳しい暑さに加え、県内や近県で屋外レジャープールの閉鎖が増えている影響とみられている。(鈴木宏子)