金曜日, 4月 19, 2024
ホームつくば「自分の夢諦めないで」 あしなが募金つくばでスタート

「自分の夢諦めないで」 あしなが募金つくばでスタート

【崎山勝功】病気、災害、自殺などで保護者を亡くした遺児らの進学支援を訴える「第96回あしなが学生募金」が21日から県内3カ所で始まった。このうち県南地域ではつくば市吾妻のライトオン本社前であしなが奨学生やボランティアらによる街頭募金活動が行われた。

例年、県南はつくば、取手の2カ所で実施されるが、今回はボランティア不足のため取手での活動を断念した。つくばでは、県立藤代紫水高校(取手市)の高校生やアステラス製薬労働組合の組合員らがボランティアで募金を訴えた。

活動に参加したあしなが奨学生で東洋大学2年の塚本理香さん(19)=鹿嶋市出身=は「人通りが少ないと感じたけど、時間が経つにつれチラシをもらってくれる人も増えた」と手応えを感じていた。藤代紫水高3年の風間涼さんは「結構、皆優しくて、話し掛けてくれた」と話した。

28日も同所で活動が行われる。塚本さんは「進学をしたいと思っても親に迷惑を掛けないようにと自分の夢を諦める子がいる。その子どもたちのために募金活動を頑張りたい」と話した。

アルバイト漬け「グルグル回ってる感じ」

塚本さんは5歳のとき父親を亡くし、看護師の母親と兄2人の4人家族。福祉と保育を学びたいと東洋大学に進学した。

今年度から新たに導入された給付型奨学金3万円と無利子貸与型奨学金4万円の計7万円を受給し、学費に充てているという。一方で生活費のため、週6日、居酒屋でアルバイトをしている。授業のある平日は午後5時から同11時まで、土日は午前11時から午後11時までの12時間勤務だ。アルバイト収入は10万円前後だが「春と秋には教科書代が掛かり厳しい」と話す。

大学で保育の勉強をする塚本さんは、時間に余裕があるなら子育てを支援するボランティア活動をしたいというが、アルバイト漬け同然の現在の生活は「アパートと学校とバイト先をグルグル回っている感じ」だという。

あしなが学生募金事務局によると、生活状況を調査した一人暮らしの奨学生の7割以上が実家からの仕送り無しで生活しているという。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img
spot_img

注目の記事

最近のコメント

最新記事

通年議会始まる つくば市議会

つくば市議会で今年度から通年議会が始まり、19日定例会が開会した。会期を約1年とし、市長が招集しなくても、議会の判断で必要に応じて会議を開くことができる制度。ただし今定例会の会期は市議の任期と同じ11月29日まで。同議会事務局によると、通年議会の導入は常総、坂東、守谷市に次いで県内4市目になる。 これまでは市長が議会を招集し、3月、6月、9月、12月に年4回、定例会を開いてきたほか臨時会を開いてきた。通年議会の場合、同市では4月に開会し、これまでの定例会と同様の日程で年4回定例会議を開く。議案の提案や審議、一般質問や会派代表質問など実質的な日程はこれまでとほぼ変わらない見通しだ。本会議が開かれない期間は休会となる。 同市議会は、大規模災害の発生など緊急時に議会の判断で速やかに会議を開くことができるとしている。併せて常任委員会などで継続して調査や審査を行っているなど、市政への監視機能が強化され、議会がより一層市民の負託に応えていくための体制を整えるものだとしている。 五頭泰誠議長は「議会改革を継続的に議論してきた中で、東日本大震災や北条の竜巻災害などの経験から(大規模災害時などに議会の機能を継続するための)市議会業務継続計画(議会BCP)に対応しない議会はいかがなものかというのが発端になった。その中で、一番リアルに対応するには通年議会だという議論が深まった」とし「機動力ある議会にし、災害時に議会を継続して行政のチェック機能を果たすために導入したというのが経緯。1年間の会期の間は常に議会は開会している状態なので、専決処分や日程的に動かせない場合などに議員がより議論できる状態になる」と話す。 通年の会期は、既存の定例会制度の中で運用が始まり、2012年9月の地方自治法改正により創設された。全国の地方議会では、市長ではなく議長権限で本会議を招集できる、十分な審議時間が確保される、緊急案件に迅速に対応できるーなどのメリットが指摘される一方、議会が求める本会議を市長が拒否した例はない、執行部のスケジュールを縛る、実益は少ないーなどのデメリットが言われるなど、さまざまな議論がある。(鈴木宏子)

みんなで学び合うカフェ 高校生がつくばにオープン 不登校乗り越え

つくば市内の通信制高校で学ぶ高校2年の島本美帆さん(17)が5月2日、同市上広岡にカフェ「フェルミ・カフェ」をオープンする。お菓子を食べたりお茶を飲みながら科学を中心にみんなで学び合うカフェだ。 同じ建物に入るボードゲームショップ・フライヤーのプロジェクトの一環として6月末までの試験的なスタートとなり、利用状況次第でその後も延長する予定だ。島本さんは「勉強は楽しいと知ってほしい。楽しく好奇心を持って、みんなで知識をつけていれば」と年齢を問わない幅広い来店を呼び掛ける。 一緒に勉強 中学時代、不登校を経験した島本さんは「学校に馴染めない子どもにも来てほしい」とカフェへの想いを語る。 「学校に行けていない子は自宅で理科の実験はできない。科学や理科、他の分野も含めて勉強する意欲はあるけど学校に行けず、学び方もよくわからなくなっている人もいるはず。足踏みをしてしまい前に進めない人のために、カフェでは簡単な実験道具や本をそろえる。高校レベルまでなら私も教えられるので、他の教科も含めて一緒に勉強しましょう。学校の代わりにここで一緒に知識をつけられたら」と語る。 娘の活動をサポートし、カフェにも一緒に立つ予定の母親の真帆子さんは「通信制なので時間に融通を効かせることができる。学校に行きづらくて、これからどうしようかと悩んでいる子どもや親がこの活動を知ってくれたら参考になるのではと思っている」と話す。 折り紙で作った正12面体 広々とした64平方メートルの室内に並ぶ真新しい本棚は、島本さんが自分で組み立てた。オープンまであと1カ月。自分で収支計画を立てサービス内容なども考える。多くの人が参加しやすいよう、時間制で料金を決め、その間は島本さんが用意する教材を自由に使うことができ、紅茶とお菓子を自由に飲食することができる。経費を捻出するために月35人以上の利用者を確保したいという。準備に忙しくしながら「どんなお客さんが来てくれるのか楽しみ」だと笑顔を浮かべる。 「これは私の自信作です」と本棚から島本さんが手にするのは、一枚の折り紙で作った正12面体。中学時代に作ったものだ。オリガミクスの提唱者として知られる元筑波大教授の故・芳賀和夫さんの本をもとにした。芳賀さんが主催した「サイエンスキッズ」に小学1年のとき参加したことも科学にハマるきっかけになった。 現代の「適塾」目指す カフェの営業は木曜から日曜までの週4日。休業日の月・火・水の3日間で学校から出される1週間分の課題を済ます。自分のペースで学べる通信制だからこそ可能になる活動だ。島本さんにとってカフェは「大きな実験場」だ。「自分で何かを考えるのは楽しい」。得意な科学を通じて「自分で考えることの大切さ、面白さを伝えたい」と意気込む。 目指すのは、幕末の医師で蘭学者の緒方洪庵が開いた「適塾」だ。「来る人がやりたいものを持ち寄って、自由に学べる場」を作りたい。 適塾は、1838年に洪庵が大阪で始めた私塾で、全国から集まった1000人以上の若者が、医学を中心に世界情勢や語学と幅広い分野を学び合った。福沢諭吉や橋本左内、大鳥圭介など、幕末から明治の世で活躍した多くの人物を排出したことで知られている。 昨年6月に島本さんは、カフェの前身となる出張科学教室「叶えの科学教室」をつくば市でスタートさせた。初回の講座は市内の不登校支援イベントで開いた出張教室だ。野菜の色素を分離すると「おもしろい」と参加者から声が上がった。丸いケーキを7等分する方法を参加者同士で考え合うイベントも盛り上がった。地域の小学生向けに医療や科学の出張授業を開く元薬剤師の母親とも「コラボ」し、つくば市内の公民館、小・中学校で開いた講座は1年間で10数回を数える。自分が考えた企画を多くの人が面白がってくれたり、熱心に質問してくれたときに楽しさを感じ、豊かな気持ちになったと話す。 「学ぶことは楽しいことだし、人生を楽しく生きるためには知恵が必要。知っているのと知らないのでは人生の選択肢の幅が違ってくる。一人でも多くの人に、その面白さを知ってほしいし、学習の仕方を身につけて自分でゴールに行く力を身につけて欲しい」 夢は全国展開 夢はフェルミカフェの全国展開。「お店には、そこに通う人の間でコミュニティができる。各地にできれば互いに交流し合って出会いを広げることができる。私も色々な人との出会いがあって、今の自分があると思っている」。 「未就学の子どもから100歳まで、色々な人に来てほしい。私が得意なのは科学と心理学。でも、やりたいものを持ち寄って自由に学び合える場にしたい。勉強が楽しくないと思っている人を減らせたら」 カフェの名前の由来は、1938年にノーベル物理学賞を受賞したイタリアの物理学者エンリコ・フェルミだ。統計力学、量子力学、原子核物理学と多様な分野で顕著な業績を残した彼から、「沢山実行に移せる人が増えるといい」という思いを込めた。 いきいきと、やりたいことを語る島本さんが新たな一歩を踏み出す。(柴田大輔) ◆フェルミカフェはつくば市上広岡407-1、ボードゲームショプ・フライヤー1階。営業は、木・金が午前10時から午後3時、土・日・祝が午前10時から午後5時まで。月・火・水は休業。料金は1時間、大人500円、学生300円、1日利用は大人3000円、学生1800円。月間パスもあり。利用者は時間内に紅茶とお菓子を自由に飲食できる。料金に工作・実験などの利用料も含まれる。5月3日(金)は正午から軽食付きのオープニングパーティーが開催される。詳細は同店ホームページへ。

レインボーの中で、虐殺に抵抗する 《電動車いすから見た景色》53

【コラム・川端舞】毎年4月後半に開催される国内最大級のLGBTQ(性的少数者)関連イベント「東京レインボープライド」。今年も19日から3日間、予定されている。 例年、イベントにはイスラエル大使館がブースを出展していた。イスラエル政府はLGBTQフレンドリーであると世界にアピールすることで、パレスチナへの占領という負のイメージを覆い隠そうとしていると批判されてきた。「東京レインボープライド」もイスラエルのイメージ戦略に利用されているのではないかと、当事者団体などが指摘している。 今年のイベントも、パレスチナで虐殺を続けているイスラエルに製品・サービスを提供しているとして、世界中で不買運動が呼びかけられている企業が協賛しているため、イベントに参加するべきかどうか、当事者団体のなかでも激しく議論されている。 一方、毎年イベントに参加することを生きる目標にしている人もいるだろう。今の社会は、出生時に割り当てられた性別と、自認する性が一致し、異性愛である人を前提につくられ、そこから外れた人はいないことにされている。自分の性別に違和感を持ったり、同性に恋愛感情をもつことが周囲に知られた瞬間、偏見にさらされる危険性もある。 そのような社会でかろうじて生き延びるために、本当の自分を隠しながら毎日を過ごしているLGBTQ当事者がたくさんいるはずだ。過酷な状況を生きる当事者が「年に一度、本当の自分を認めてくれる仲間に会える」「東京なら、地元の知人に出くわす心配もなく、堂々といられる」などの思いで、「東京レインボープライド」に参加することを誰が責められるだろうか。 イスラエルがパレスチナでの虐殺を覆い隠すために、LGBTQを利用するのは決して許せないが、イベントでLGBTQの人権を祝うのが悪いわけではない。 LGBTQはパレスチナにもいる ……と偉そうなことを言っておきながら、私も今回のイベントに参加する予定だ。普段からLGBTQの社会問題に関心を持っているが、それを気軽に話せる場はあまりない。そんな私を気にかけてくれた高校時代の友人が、「一緒に行こう」と誘ってくれた。 しかし、イスラエルの虐殺に加担したくない。友人に相談し、イベント最終日のパレードにパレスチナの旗を持ちながら参加することにした。そもそも、LGBTQはイスラエルの専売特許ではないし、LGBTQ当事者は日本にもイスラエルにも、当然、パレスチナにもいる。LGBTQの人権と、パレスチナへの連帯を天秤にかけるべきではない。 きれいごとかもしれないが、LGBTQとパレスチナ、双方に連帯するために私は友人と一緒に歩く。(障害当事者)

元広告デザイナーとJリーガー 農業への思いつなげ地域の輪広げる つくば

20日 研究学園駅前公園で「ワニナルフェス」 広告デザイナーから転身しつくば市で新規就農した青木真矢さん(44)と、元Jリーガーの近藤直也さん(40)が、「農業×〇〇」で地域を盛り上げようと、地元農家の直売店を中心にキッチンカーなどが出店する体験型マルシェ「ワニナルフェス」を開催し地域の輪を広げている。20日、つくば市学園南、研究学園駅前公園で8回目の同フェスを開催し。およそ40店が出店する。 若者の活躍の場を提供したい 主催するのは農業を中心に地域活性化を目指す合同会社「ワニナルプロジェクト」(代表青木さん、近藤さん)。地域のコミュニティーをつくろうと2021年に立ち上げた。 青木さんが広告デザイナーだった経験を生かし、農家に取材して発信していたところ、SNSで農業に関心のある地元大学生などとつながり、取材班を結成。昨年1月、市のアイラブつくばまちづくり補助事業で活動補助を受け、クラウドファンディングでも支援金を集めて、つくばの農業の魅力を発信する季刊誌「ワニナルペーパー」を創刊した。市内を中心に1万部を約200カ所で無料配布している。セカンドキャリア、セカンドライフで異業種から新規就農した人のインタビューを掲載し、農業に参入したいと考える人の情報誌としての役割も果たしている。 取材する中で、こだわりを持って栽培する農家の思いを知り、消費者が直接、生産者の顔を見て農作物や加工品を購入できるイベントを企画。農業を核としてスポーツや音楽など地域の若い人たちがクリエイティブに活躍する場にもなればと、昨年5月「ワニナルフェス」を始めた。月1回のペースで開催し、前回はおよそ500人が来場した。 異業種の2人がタッグ 代表の青木さんは京都府出身。現在つくば市上郷でブルーベリーの観光農園「アオニサイファーム」と併設のカフェを運営する。同じく代表の近藤さんは、元Jリーガーで「DOサッカークラブ」(土浦市荒川沖)などを運営する。アスリートのセカンドキャリアとして農業分野の活動を模索している。 異業種から農業に関わろうとする2人がタッグを組んだプロジェクトは「農業×クリエイティブ」、「農業×アスリート」の掛け合わせで新しい価値を産み出し、地域の輪を着実に広げ始めている。 青木さんは「こだわりあふれる地元農家の季節の新鮮野菜を中心に、キッチンカーや飲食店、雑貨、ワークショップ、スポーツ体験など、週末を満喫できるわくわくを集めた。つくばの多彩な魅力を感じることができる、まさに『輪になる(ワニナル)フェス』。ご来場をお待ちしてます」と話す。 20日は、筑波大の理系学生2人が作る「阿吽(あうん)の焼き芋」や、ワイン用ふどうを栽培する「つくばヴィンヤード」、米と日本酒を作る「四喜佳通販」など、農家の店10店が参加する。「乗馬クラブクレイン茨城」によるポニーのお世話体験や、ボクシングジム「アイディアル スペース(ideal space)」によるキックボクシングとミット打ち体験、絵本の読み聞かせなど、体験やワークショップのブースが充実し家族連れで楽しめる。(田中めぐみ) ◆「ワニナルフェスvol.7」は、4月20日(土)午前10時~午後4時、TX研究学園駅近くのつくば市学園南2-1、研究学園駅前公園で開催。入場無料。雨天決行、荒天中止。駐車場は周辺の有料駐車場利用を。問い合わせは電話029-811-6275(ワニナルプロジェクト、受付時間/平日午前10時~午後6時)へ。