【コラム・坂本栄】このニュースサイトは今秋でスタートから7年目を迎えました。地域紙の元記者だったライターが核になり、市民記者も参加するネットメディアですが、なんとか形が整ってきました。そこで9月下旬、7周年記念の意味合いも込め、土浦の老舗料亭が保有するお宝の写真展、小説家と社会学者に土浦の歴史と文化を語ってもらうトークセッションを開きました。NPOメディア活動の延長上のイベントです。
写真展と討論会を主催
トークセッションの様子は、記事「…海軍予備学生の寄せ書き屏風…」(9月30日掲載)をご覧ください。また、写真展の内容については、記事「…霞月楼所蔵品展が開幕…」(9月24日掲載)をご覧ください。
開幕記事には、4年前の12回連載記事「霞月楼コレクション」へのリンクも張ってあります。今回の霞月楼所蔵品展は、この連載から選んだ写真を展示しようと、2020年秋に予定していたものです。ところが、コロナ禍で延期を余儀なくされ、4年後に実現しました。リンク先に飛べば、今回展示したコンテンツの数倍の写真とその解説をチェックできます。
また「グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船」(2023年7月、早川書房刊)の著者・高野史緒さんと、「『軍都』を生きる 霞ヶ浦の生活史 1919~1968」(2023年2月、岩波書店刊)の著者・清水亮さんにお願いした「ツェッペリン伯号と湖都・土浦を語る」は全て録音録画し、YouTubeにアップしました。トークセッション記事の末尾にリンク先が張ってありますので、2時間の「語り」を視聴できます。
ネットメディアの強みは、サーバー内に格納した過去記事にアクセスできることです。また、他のサイトにリンクを張り、その内容を本サイトの記事で紹介する工夫もしています。さらに、Googleニュースなどのプラットフォーム経由でも本サイトの記事を読めます。
文字(テキスト)や写真(静止画)だけでなく、動画を扱えることもネットメディアの強みです。今回のトークセッションの録音録画は、土浦市内にスタジオを構えるネットテレビ局「Vチャンネルいばらき」にお願いしました。
大戦間に飛来した飛行船
巨大な飛行船が霞ケ浦畔の旧海軍航空隊基地に飛来したのは1929年8月のことでした。第1次世界大戦と第2次世界大戦の間、第1次大戦の反省の上に立って平和の必要が叫ばれ、経済的な豊かさが追求されていた時代です。まだ飛行機が珍しいころ、旅客船並みの飛行体が飛んできたわけですから、地域の住民は大騒ぎでした。
当時の資料を駆使して書かれた清水さんの本を読むと、ツェッペリン伯号を迎えた土浦エリアの熱狂がよくわかります。高野さんのSF小説は、土浦二高パソコン部の女子学生と光量子コンピューター研究所(場所は土浦市東真鍋にあった結婚式場マニフィカ跡)に仕事でやって来た男子東大生が時空を超えて出逢い、95年前に飛んできたツェッペリン伯号を目撃するという話です。
ツェッペリン伯号の乗員は霞月楼で開かれた歓迎宴に招かれました。このため、霞月楼には当時の写真がいろいろ残っています。ここで霞月楼所蔵品展とツェッペリン伯号がドッキング、「ツェッペリン伯号と湖都・土浦を語る」が実現しました。
2つのイベントは、土浦ツェッペリン倶楽部に手伝ってもらいました。同クラブの協力がなければ実現は難しかったでしょう。また、地元の有力企業や社会奉仕団体に協賛していただき、必要経費をまかないました。その意味で、各種法人の寄付によって運営しているNPOメディアらしいイベントになったと思います。(NEWSつくば 理事長)