バスやタクシーなどの移動手段を確保することが困難な交通空白地で、自治体が運送主体となり、一般ドライバーが自家用車を使って有償で乗客を運ぶ「公共ライドシェア」(5月29日付)について、つくば、土浦、下妻、牛久の4市長は9月30日、共同で記者会見し、10月1日からドライバーを募集し、来年1月から運行を開始すると発表した。
それぞれ公共交通の利用が困難な4市の4つのエリアで、時間帯や利用対象者を限定するなどして運行する。初年度の来年1月から3月までについては4エリア合わせて利用者600人、ドライバー登録者80人を目標にしている。運行期間は2027年3月末までの3年3カ月間。その後継続するかどうかは、結果を見ながら4市で協議する。
4市共同で、ドライバーの募集や管理、育成をするインターネット上のドライバーバンクと、AI(人工知能)を使って配車を手配するアプリを導入し、利用者の予約に合わせ、登録ドライバーによる送迎を手配する。
ドライバーバンクと配車システムはコミュニティ・モビリティ(東京都中央区、村瀬茂高社長)が開発し、同社が運営する。運行時のドライバーの点呼やアルコールチェックなどは、地元の交通事業者がリモートで実施する。2024年度の事業費はシステム開発費を含めて、国の交付金約2億5000万円と4市の負担金計約8000万円を合わせた約3億3500万円。
運行する4エリアの地域と運行時間、利用対象は①つくば市桜ニュータウンと隣接の土浦市天川団地周辺の「つくば・土浦エリア」は、平日と土曜日が午前6~8時と午後5~9時、日曜・祝日が午前6時~午後9時に実施する。エリア内出発ならだれでも利用でき、エリア外のつくばセンター、学園並木、県南病院、ジョイフル本田荒川沖店の4カ所に行くことが出来る。
②筑波山中腹のつつじケ丘、筑波山神社からふもとの筑波山口までの「筑波山エリア」は、平日、土日いずれも午後5~8時に実施する。エリア内での行き来のみ、観光客を含め誰でも利用できる。筑波山口からつくば駅方面などへはバスを利用する。
➂下妻市の国道125号から南側の「下妻エリア」は、エリア内で平日、土日いずれも午前10時~午後4時に実施する。
④牛久市の「牛久市エリア」は市全域で平日、土日いずれも午前8時~午後3時に実施する。利用対象者を、常磐線沿線などを除く市街化調整区域の住民に限定する。市内ならどこでも自由に行き来できる。
乗車料金は、距離にかかわらず①「つくば・土浦エリア」が大人1回600円②「筑波山エリア」が同1000円➂「下妻エリア」が同700円④「牛久エリア」が同700円。エリアにより子供料金や高齢者・障害者料金、直前予約料金などが設定される。支払い方法はクレジットカードによる事前決済のほか、現金でも利用できるようにする。料金設定は、タクシー料金の8割までという国が示す目安と、各地域の交通事情を加味したという。
歩合+報奨
一方、ドライバーの報酬は4エリア同額で、利用者1人当たり1回1200円の歩合に、月3回以上運行すれば1カ月当たりプラス3000円、5回以上はプラス5000円、10回以上はプラス1万円などの報奨(インセンティブ)を付ける。月3回運行すれば6600円、月5回なら1万1000円、10回なら2万2000円になり、時給2000円程度を想定したという。さらに一つの予約で利用者が複数の場合は、2人目から1人当たり半額の600円の報酬が加算される。ただし車のガソリン代、車両点検や整備費とスマートフォンの通信費などはドライバーの負担となる。
ドライバーの報酬は全エリアで利用者の利用料金を上回ることから、差額は各市が負担する。
募集条件は、普通自動車免許を取得して3年以上の21~69歳までで、過去2年以内に免許停止などの処分を受けていないことなど。エリア外からも応募できる。募集ページから、運行できるエリアと曜日、時間などを記入して登録してもらい、書類選考とオンライン面接をして選考する。
運行する自家用車にはドライブレコーターを搭載してもらい、無い場合は無償で貸し出す。車両表示ステッカーやアルコール検知器なども貸し出す。さらに登録者には講習を受講してもらい、タクシーなどが運転できる普通2種免許の取得を促すなどする。
来年1月の運行開始に向けた募集期間は10月1日から11月半ばまで。
つくば市の五十嵐市長は「2024年問題といわれるドライバー不足でコミュニティバスや路線バスが減便となっている。交通空白地の解消のため4市が連携して取り組みたい」などと話した。
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