木曜日, 1月 30, 2025
ホームつくばやさしい日本語で外国人にも分かりやすく 防災イベント 28日つくばで

やさしい日本語で外国人にも分かりやすく 防災イベント 28日つくばで

9月商品化の「防災かるた」も登場

やさしい日本語を使ったゲームを通じて外国人に防災意識を高めてもらおうと、つくば市の市民団体「にほんごでおしゃべりプロジェクトチーム」(山口寛子代表)が28日、同市吾妻、つくばセンタービル内の市民活動拠点コリドイオと同センター広場で「やさしいにほんごで にげろ!たすけろ!防災脱出ゲーム」を開く。参加者は、施設各所に置かれた防災がテーマの課題を解きながら、施設からの脱出を目指す。今年で4回目で、昨年は筑波大で開かれ約80人が参加した。

イベントでは、市内在住の防災士で主催団体にも関わる水谷寛子さん(64)が、イラストや文面を自作し、9月に商品化された防災かるた「やさしいにほんごで ぼうさいかるた」(白泉社製作)も使われる。水谷さんは第1回から企画に参加する中で、防災についてどうしたら外国人により分かりやすく伝えられるか考えたのが、かるた製作につながった。「災害の多い日本で安心して暮らすためには、自分の防災力を上げることが大切。かるたはルールが簡単。大人も子どもも楽しみながらできる」と話す。

水谷さんが考案し9月に販売された「防災かるた」

やさしい日本語で月2回おしゃべり会

主催する同チームは、外国人を対象とするおしゃべり会を2021年から月2回開催し、8月で91回を数えた。ベトナムやスリランカなどつくば在住の外国人や日本人らが参加し、外国人が日々の暮らしで感じる疑問を語り合う。代表の山口さん(40)は「『やさしい日本語』というのがあることを、外国の方だけでなく日本人にも知ってもらえたら、英語ができなくても、いざという時に、必要なことを外国の方に伝えるのに役立つ」と話す。

今年1月の能登半島地震では、避難所に身を寄せた外国人が、言葉がわからないことから「勝手に手をつけたら怒られるのでは」と思い込み、支援物資の食糧や毛布を手にできなかったことが報道された。防災かるたを制作した水谷さんは「決してそこにいた人が冷たかったり、意地悪だったりしたわけでない。混乱の中でも外国人に分かりやすい言葉で伝えられたなら状況が違っていたはず」と言う。

同チームで活動する日本語教師の鬼木尚子さん(56)は「一つの文を短くすることで伝わりやすくなる。『備蓄』といっても難しいので『ようい(用意)』にするなど、難しい日本語や漢語を使わないのが大切」だと言い、発音が日本語読みになってしまった「カタカナ語」も通じにくいと話す。

身を守る方法 楽しみながら知って

山口さんは「過去のイベントには子どもから大人まで、家族連れや1人での参加もあったし、日本人も参加している。防災のことは、災害がないと忘れるし、見直しを怠ってしまいがち。ジャッキを使った救出や模擬消火器体験、本物の消防士とのやりとりなど、普段はなかなかできない体験ができるので、是非、多くの方に参加していただければ」と言い、共催する市国際交流協会の中村貴之さん(52)は、「災害時に必要な情報をどのように外国の方に伝えられるか考えてきた。身を守る方法を楽しみながら知ってもらえたら」と参加を呼び掛ける。

イベントでは、屋外のつくばセンター広場で、つくば中央消防署の協力を得て水を使った模擬消火器を使ったり、施設内では車の車体を持ち上げるジャッキを使って障害物の下敷きになった人形を助け出したりする。その他に、会場にいる消防士に電話を架け、火事、病気、けがの3パターンの状況を日本語で的確に伝えたり、防災バッグの中身を当てたりする。調理室では非常食のアルファ米を実際に調理して試食体験もできる。

各所には、消防士の意見をもとに作った、緊急時の電話の会話例文や、けがや病気の症状を伝える際に必要になる体の部位名などを、外国人にも分かるように配慮した「やさしい日本語」で記した冊子が用意され、参加者は持ち帰ることができる。(柴田大輔)

◆「やさしいにほんごで にげろ!たすけろ!防災脱出ゲーム」は、9月28日(土)午後1時から4時まで、つくばセンタービル内コリドイオとつくばセンター広場で開催される。参加費は無料。事前申込制。申し込みは専用サイトへ。問い合わせはメール(oshaberinihongo@gmail.com)へ。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

5 コメント

コメントをメールに通知
次のコメントを通知:
guest
最近NEWSつくばのコメント欄が荒れていると指摘を受けます。NEWSつくばはプライバシーポリシーで基準を明示した上で、誹謗中傷によって個人の名誉を侵害したり、営業を妨害したり、差別を助長する投稿を削除して参りました。
今回、削除機能をより強化するため、誹謗中傷等を繰り返した投稿者に対しては、NEWSつくばにコメントを投稿できないようにします。さらにコメント欄が荒れるのを防ぐため、1つの記事に投稿できる回数を1人3回までに制限します。ご協力をお願いします。

NEWSつくばは誹謗中傷等を防ぐためコメント投稿を1記事当たり3回までに制限して参りましたが、2月1日から新たに「認定コメンテーター」制度を創設し、登録者を募集します。認定コメンテーターには氏名と顔写真を表示してコメントしていただき、投稿の回数制限は設けません。希望者は氏名、住所を記載し、顔写真を添付の上、info@newstsukuba.jp宛て登録をお願いします。

5 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img
spot_img

最近のコメント

最新記事

ロボッツ最下位脱出、連敗11で止める

男子プロバスケットボールBリーグ1部(B1)の茨城ロボッツは29日、水戸市緑町のアダストリアみとアリーナで仙台89ersと対戦、93-76で勝利し連敗を11で止めた。これで茨城の通算成績は8勝25敗。仙台とは勝率で並んだが得失点差で1ポイント上回り、東地区7位に浮上した。この日は「つくば市PRデー」と位置付けられた。 2024-25 B1リーグ戦(1月29日、アダストリアみとアリーナ)茨城ロボッツ 93-76 仙台89ers茨城|30|27|19|17|=93仙台|15|23|15|23|=76 茨城は立ち上がりこそ仙台に5点の得点を許したが、久岡幸太郎の連続得点や中村功平の3点シュートなどですぐさま追い付く。第1クオーター(Q)後半には平尾充庸の3点シュートやエリック・ジェイコブセンのバスケットカウントなどでみるみる点差を広げ、第2Q以降はおおむね20点差程度を保ったまま試合を支配した。 「選手たちがゲームプランをしっかり遂行してくれた」とクリス・ホルムヘッドコーチ(HC)。特に守備は、失点を75点以下に抑える目標をほぼクリア。ロバート・フランクスやジェハイブ・フロイドらがゴール下で相手のビッグマンにボールを渡さず、攻撃でも試合のリズムを支えた。平尾らガード陣はターンオーバーを4に抑えながらアシスト数は18と奮闘した。 特に大きかったのはジェイコブセンのけがからの復帰だ。この日は19得点10リバウンドと攻守にわたる活躍。第3Q終盤にはフロイドへのアリウープパスも決めてみせた。ホルムHCは「コート上で選手に声を掛けられることも重要。小さいことだがチームの穴を埋めてくれた」と、精神的支柱になったことも讃えた。 平尾もこの日は出場時間を23分25秒に伸ばし、切れ味良いパスやドリブルを披露。3点シュートは8本中4本を決めている。「少しずつコンディションも上がり、そろそろ本来の力を発揮しなくてはと積極的にプレーし、シュートも思い切り打つことができた」と振り返り、今後に向けては「今日は勝った上で反省できたことが一番の収穫。これからも変化を恐れずにプレーしていきたい」とコメントした。 市長と観光大使がつくばをPR 「つくば市PRデー」の催しとして、試合前のオープニングセレモニーで五十嵐立青市長とつくば観光大使の宮本真理子さんがコートに立ち、2月8日から始まる筑波山梅まつりを観客にPRした。1階コンコースには同市のPRブースが設けられ、梅まつり期間中に登場する期間限定スイーツなどが販売された。ブースを訪れた水戸市から来た家族連れは「水戸の梅も有名だけど、つくばの梅まつりも面白そう。行ってみたい」と興味を示していた。 観光大使の宮本さんは、ロボッツダンスチームRDTの元メンバーでもあり、初代キャプテンも務めていた。「久しぶりにコートに立つのがうれしく、すごく楽しみにして来た。新しいアリーナになって、ダンスや衣裳もますます華やかになったようだ」とこの日の印象を話し、「梅まつりでは毎週土日に、私たち観光大使のお出迎えもあるので、ぜひいらして下さい」と呼び掛けた。特に初日の2月8日は、6人の大使全員が勢ぞろいするそうだ。(池田充雄)

障がいのある子のアート展《令和楽学ラボ》33

【コラム・川上美智子】ロータリークラブに入会して15年目を迎えた。まだ、大学の教育や研究、そして学部や大学院の改革で忙しい最中だったころ、ほんの気楽な気持ちで新たに水戸市内に誕生する女性会員だけのクラブに入会した。国際ロータリーが運営する厳しい基準やルールに縛られることも知らずにスタートしたロータリーの奉仕活動であったが、女性が活動しやすい形に少しずつ改善し、今に至っている。 女性だけのクラブという特色を生かし、身近な子どもの育ち、子育て、女性をテーマに、奉仕活動を行ってきた。 水戸市子育て支援・多世代交流センター「わんぱーく・みと」の玩具の清掃と寄付、水戸日赤乳児院や小児がんなど難病の子どもとその家族のための総合支援センター「アフラックペアレンツハウス」への物資などの寄付、「水戸市こどもフードパントリー」ではお子様がいる準要保護家庭の希望者に食品・食材や生活用品を配布している。 クラブ奉仕活動の中心になってきたのが「障がいのある子のアート展」である。水戸市内には盲学校、聾(ろう)学校を含め6つの茨城県特別支援学校があり、そこに通う幼児・小中高校生を対象に年1回、作品の展覧会を開催してきた。茨城県、県教育委員会、水戸市、市教育委員会、水戸芸術館、NHK、茨城新聞社などの後援と企業の協賛をいただき、子どもたちの学びの励みになればと数多くの賞を出している。 2月下旬、水戸京成百貨店 県教育委員や市教育委員を拝命しているころには、数多くの特別支援学校を視察し、児童生徒の美術の取り組みを見る機会があった。指導される先生方は、さまざまな障がいをもつ子どもたちに、その子がやりたいと思うアートの手法を選び、マンツーマンの体制で、子どもの感性のままの一筆ひとふでをサポートし、共に喜び、子どもの満足する表情や姿を確認し対応されている。 それが、一つの大きな作品となり、応募されるのだと思うと、託され受け取る側も選定や展示の仕方に力が入る。美術や担任の先生には、子どもたちのそれぞれの作品への取り組みの思いや背景を書いていただき、脇に展示している。毎年、本当に見応えがある力作が集まり、我々も楽しませてもらっている。 今年は2月21日~27日、水戸京成百貨店8階に30点余りが展示される予定で、多くの皆様に見てほしいと思っている。負担が多くかかる会員からは準備が大変で、見直しの声もあるが、意義ある活動として今後も継続して行きたいと考えている。後期高齢者の自分にとって、ロータリー活動は、社会と接点をもち、社会に小さな貢献する大事な機会になっている。(茨城キリスト教大学名誉教授、関彰商事アドバイザー)

延伸計画には慎重姿勢 TX 8月に開業20周年

つくばエクスプレス(TX)を運営する首都圏新都市鉄道(本社・東京都千代田区)の渡邊良社長は28日、つくば市内で記者会見し、今年8月24日に迎える開業20周年記念の特別企画について発表した。安全・安定・安心の運行で沿線価値を高めてきたと20年間を総括。秋葉原から東京駅、つくばから土浦の両方向で立ち上る延伸論議には慎重な姿勢を崩さなかった。 利用者増も借入返済道半ば TXは2005年8月に開業、20年間で累計21億人を運んだ。1日当たり利用者数は2023年度で38万人超、24年度は40万人を超えると見られ、コロナ禍で27万人台にまで減少した20年度から立ち直った。 渡邊社長は、沿線の人口増もあったが、自治体や企業・法人、利用者と鉄道事業者との「共創」によって沿線価値を高めてきた結果で、「今後も地域と情報交流、意見交換をするコラボレーション型での発展の方向をめざしたい」とした。 「TXは開業時こそ最新鋭の高速鉄道だったが、20年も経つと経年劣化から設備の更新、車両の更新が求められる。特に混雑緩和のため車両を6両から8両編成にする計画で北千住駅のホーム改修などに取り組んでいる」のを優先課題に挙げた。 順調な利用者増で当初計画より早く単年度黒字を実現したが、資金状況を依然険しくしているのが借入金の返済負担だ。同社によればTXは総事業費約8000億円で建設され、うち6000億円は借入金。無利子だが、毎年200億円を鉄道・運輸機構に返済している。今後20年以上続く見通しという。 このため新たな投資には慎重だ。秋葉原駅から東京駅まで延伸させる「臨海地下鉄」の構想があり、沿線11区市が参加する事業化促進期成同盟会も設立されている。具体化は国の運輸政策審議会の結論次第だが、渡邊社長は進展を見極める必要があるとした。「資金的に債務過剰にならないか、株主である沿線1都3県の自治体としっかり検討していきたい」 また茨城県で検討されているつくば駅からJR常磐線土浦駅(土浦市)への延伸については「茨城県が交通体系をどうされるのか、その検討結果を受けてTXは対応を考えるという立場だ」と述べるにとどまった。 ロゴマークと新キャラ発表 開業20周年の特別企画としては記念のロゴマークと新マスコットキャラクターが発表された。ロゴマークは都心部や緑の多い地域、マンションが立ち並ぶ居住区などのさまざまな場所と、走り抜けていくTXを組み合わせ、沿線の街や人々と共に成長してきた20年をイメージしたビジュアルに仕上げた。 新マスコットキャラクターは、力強く純粋で幸運を呼ぶと言われているユニコーンをモチーフにした。未来につながる鉄道であるTXを体現し、共に駆けていく思いを込めた。3月にもネーミング投票を開始する予定だ。(相澤冬樹) ◆開業20周年記念特設サイトはこちら ➡渡邊良社長の記者会見の様子 https://www.youtube.com/watch?v=55wXZoof-l0

冬の洗濯物と器《続・平熱日記》174

【コラム・斉藤裕之】嫌いなこと。そのひとつが冬の洗濯物の長袖下着の袖に手を突っ込んで引っ張り出すこと。冷たい袖に手を入れると、やり場のない(誰の仕業かは明らかだけど)怒りがこみ上げてくる。寒さや冷たい水が年々苦手になってくるのは、歳(とし)と共に脂っ気が抜けてきたからかもしれない。 「氷河期を生き延びたのはポッチャリらしいわよ」とは、永遠のダイエッターである友人のマヨねえさんの言い分。ポッチャリかどうかは関係なく、人間が氷河期を生き延びたというのは本当だろうか。どう考えても、氷の世界をダウンジャケットも暖房もない人間が生き延びたとは私には考えられない。 そこまで遡(さかのぼ)らずとも、例えば、ちょっと昔の日本の家屋で冬を過ごすことさえ私には耐えられそうもない。そんなことを思いながら朝、薪(まき)ストーブに火を入れる。 さて昨年の春のこと。ある若い女性が古い家を買ってご主人と直して住むというので、その庭木の伐採と処理を引き受けた。その家は私の住まいからほど近いところにあって、大きな石の配してある庭に平屋の母屋が建っていた。敷地には槙(マキ)、ヒバ、モッコク、山茶花、カエデ、サルスベリなどの庭木が植わっている。 女性はその数本を残してほとんどを伐(き)ってほしいという。庭木程度と軽い気持ちで引き受けてしまったが、軽トラの荷台に山積みの枝を何度も運ぶことになった。結局、春から始めて、終えたのは夏前のこと。 「さいとうさんちで絵と器」展? 今、この家を暖めてくれているのはその庭木たちだ。普通は薪などにしない種類の木もあって、例えば金木犀(キンモクセイ)は意外に火の付きがよかったり、ゴツゴツ・クネクネの梅は火持ちがいい。月桂樹は乾くと軽かった。ストーブの中で揺らぐ火を見ていると、あの暑い中、汗をかいてヘトヘトになったことを思い出す。 そして、あのとき体から出て行った体温が回りまわって、今ストーブの中で燃えて体を温めてくれているような気がする。 先日、まだ置きっぱなしの残りの薪を取りにうかがうと、ご夫婦で風呂場の造作中。実はこの女性、大学の後輩の陶芸家で、今年はこの界隈(かいわい)で作品を発表したいという。そういえば…。10年以上前に我が家で自分の絵を展示したことを思い出して、「我が家でいかが?」と誘ってみたところ、まんざらでもなさそうだ。我が家の枯れ具合は器を並べる器として悪くないらしい。 ちなみに、器という字の真ん中はもともと「犬」という字だそうで、ご存じのように我が家には名(迷)犬パクもいるし、私の絵も飾って「さいとうさんちで絵と器」展なんてやってみようかという気になっている。 最近、家族内のグループメールを作った。その昔、洗濯機のふたに「袖出せ!」と殴り書きして貼ったことを思い出すが、メールには「袖はきちんと出して洗濯機へ」と書いてみた。 全く器の小さい人間だと自分でも思うが、そんな憂鬱(ゆううつ)も、苦手なパーカーのフードもカラッと乾かしてくれる薪ストーブの包容力に助けられている。(画家)