つくばエクスプレス(TX)の駅構内などで目にする、痴漢や盗撮の注意を呼び掛けるポスターの問題点、改善点について話し合い、新たにオリジナルのポスターを制作するイベント「ちかん、盗撮 誰のせい?」を、筑波大学の学生有志が8月10日、つくば駅前のつくばセンタービル1階 co-en(コーエン)で開催する。県内在住の高校生、大学生、社会人などと、痴漢・盗撮被害について考える。
主催者代表を務めるのは、筑波大学社会・国際学群、社会学類3年の上田咲希乃さん(21)。同大生、院生、卒業生9人が集まり、今年6月、「ちかん、盗撮 誰のせい?」プロジェクトを立ち上げた。
上田さんは、TX駅構内に掲示されている痴漢・盗撮被害防止ポスターを見て「被害者がスカートを履いている、夜道に1人で歩いているなどの状況で被害に遭いやすいと書かれており、被害者の側が特定の服装を控えるよう受け取れることや、被害者に自衛を求める姿勢に違和感がある」と感じ、同じ問題意識を持った仲間に呼び掛けた。
今回のイベントは、痴漢・盗撮被害防止ポスターの提供元であるつくば警察署の協力や、市ダイバーシティ推進室と連携し実現することができた。
参加者はA4の紙を用いて、1人一枚ずつポスターを制作する。参加者のアイデアや意見を参考に、同団体が新たにポスターを作成する予定で、TXの駅構内や、同警察署が管轄するショッピングモールに掲示してもらう予定だ。
ほかに、臨床心理学や犯罪心理学が専門の同大の原田隆之教授、社会学やジェンダー問題が専門の鈴木彩加准教授によるトークセッションを開いたり、性暴力や性差別をなくすために活動する慶應義塾大学の学生団体などが出展する痴漢・盗撮被害に関するブースを通して、参加者は必要な知識や情報を集め、ポスター作成に取り組む。
会場の全員が安心して参加するためのルールを定め、参加者のプライバシーを守り、過去にトラウマを抱えた参加者なども心理的に安心して参加できるよう環境づくりをする。
上田さんは「現状のポスターに違和感を感じない人がいるのも事実。被害者の責任、過失とも受け取れるような現在のポスターや、社会でこれまで形成されてきた痴漢・盗撮被害を軽視する風潮などの問題点を、参加者が認識し見つめ直す機会になれば」と話し、「この問題に本気で取り組み、最終的には注意を呼び掛けるポスターなしでも、痴漢・盗撮犯罪やその予兆が起こらない社会を目指したい」とした。(上田侑子)
◆イベント「ちかん、盗撮 誰のせい?」は、つくばセンタービル1階 co-enのcoイベントスペースで、8月10日(土)午後2時〜4時半まで開催。参加費無料。参加者は先着20人。申し込みは、同団体申込フォームへ。詳しくは同団体公式インスタグラムへ。