土浦市出身の作家、高野史緒さんが、新作「ビブリフォリア・ラプソディ あるいは本と本の間の旅」(講談社、税込1870円)の発売を記念して21日、土浦市上高津、イオンモール土浦の未来屋書店土浦店でサイン会を催した。発売は23日だが、今回2日前に購入できるという特典が付いた。高野さんは昨年、土浦を舞台にしたSF小説「グラーフツェッペリンあの夏の飛行船」を書き、SF読書ガイドブック「SFが読みたい!2024年盤」国内篇第1位に輝いている(2月25日付)。
今回の作品は「消えてゆく本」「書けなくなった詩人」「本の魔窟に暮らす青年」が登場する架空の世界を描いた作品。新刊の帯には「本であふれた世界に希望はあるか?」とある。
サイン会会場には32人が並び、一人一人、著者の高野さんと話をしながら、購入した本にサインをもらっていた。高野さんと写真撮影をするファンの姿も見られた。
同市摩利山新田から来店しサインをもらった遠藤康裕さん(62)は「(1929年に巨大飛行船の)ツェッペリン伯号が飛来した(旧霞ケ浦海軍航空隊 格納庫の)すぐ近くに生家があり、とても身近に感じた。高野先生の文章はわかりやすく、てきぱきしていてとても好きだ。本日はていねいに対応してもらって感激している。これからも頑張って良い本を書いてほしい」と話した。
高野さんは1966年土浦市生まれ、土浦二高を経て90年に茨城大学人文学部を卒業、94年にお茶の水女子大学人文科学研究科修士課程を修了、95年「ムジカ・マキーナ」(新潮社)で作家デビューした。2012年には「カラマーゾフの妹」で第58回江戸川乱歩を受賞するなど、主にSFやミステリーを書く人気作家だ。
高野さんは「故郷土浦とその近郊の皆様にも注目していただき、本当にありがたい限り。私は必ずしも地元密着型作家とは言えず、いろんな世界、時には現実でない世界のことも書く。読者の皆様も私の小説を通じて、一緒にそういういろんな世界を巡ってほしい。今度の新刊『ビブリオフォリア・ラプソディ あるいは本と本の間の旅』はまさにそういう本で、こちらも『グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船』同様、読んでいただけるとうれしい」とコメントした。(榎田智司)