【鈴木宏子】霞ケ浦・土浦港のヨットハーバー、ラクスマリーナ(同市川口)が新たに、障害者カヌー競技の普及・強化拠点になる。2020年の東京パラリンピックに向け選出を育成している競技団体「日本障害者カヌー協会」(東京都港区、吉田義朗会長)が22日、同マリーナに拠点となる艇庫(ていこ)を初めて開設する。
今後、東京大会出場を目指す選手の練習拠点となるほか、競技用カヌーを使った体験会などが開催され、障害者カヌーの普及や選手の発掘、指導者育成の拠点になるという。
艇庫は競技用カヌーなどを保管する倉庫で、面積35㎡のユニットハウス。全長5mを超えるカヤック競技用と7m超のヴァー競技用の計2隻などが保管される予定だ。車いすでも利用できる多目的トイレなども艇庫内に新設される。
パラリンピックカヌー競技は2016年のリオデジャネイロ大会で初めて、左右を交互に漕いで進むカヤックが正式種目となった。20年の東京大会では片側を漕ぐヴァ―が新たに正式種目に加わる。競技用カヌーは現在まだ国内に10数隻しかなく、そのうち2隻が同マリーナに保管され、活用されるという。
選手の練習拠点としては、都内に住む2018年のカヤック日本代表、小山真選手(36)が今後、ラクスマリーナを拠点に練習する予定だという。
体験会は同協会が主催し、広く参加者を募って競技用カヌーの実物を見てもらったり、実際に乗ってもらったりする。競技用カヌーをだれでも体験できる国内で唯一の場所になるという。体験会を通して未来の選手を発掘したい考えだ。地域の障害者スポーツ指導員とも連携したいとしている。
同協会によると、車いすでの利用が難しいマリーナが多い中、同マリーナには多目的トイレがあり、桟橋まで車いすで行けるなど環境が整っていること、土浦駅から近いことなどから選ばれたという。同マリーナは2005年から、障害者も、健常者も、初心者も、だれでも水上スポーツを楽しめるイベント「誰でも楽しもう霞ケ浦」を開催し、水上スポーツのバリアフリー化のノウハウを蓄積してきたことが背景にある。
同協会事務局の上岡央子さんは「障害者カヌーの競技人口はまだまだ少ないので、豊かな自然を楽しみながら、初めて人にもカヌーを体験してもらい、障害者カヌーを知ってもらいたい」と話している。
◆体験会「パラマウントチャレンジカヌーin霞ケ浦」は5月6日午前9時30分~午後3時まで、土浦市川口2-13-6、ラクスマリーナで開催。午前中はパドルの漕ぎ方の練習、午後は湖上でミニ運動会やリレー競技などを体験する。参加費2500円。問い合わせは℡03-6229-5440(日本障害者カヌー協会)。
