筑波銀行(本店・土浦市、生田雅彦頭取)は10日、2024年3月期決算を発表した。最終的な利益である1年間の純利益は、前年比1億円(4.7%)増の21億9500万円(連結)で、増収増益となった。貸出金利息や営業経費など本業の利益が前年に比べ12億円増加したのに対し、配当金や外貨調達コスト、貸し倒れ引当金などの影響が同比11億円マイナスとなった。
生田頭取は「増収増益と言いながら、大口の貸し倒れ引当金の計上があり、当期純利益については当初の業績予想を下回った。しかし本業の収益については十分に改善が図られ、中味はひじょうによくなっている」とした。
一方、地域経済の状況については「今まで長期に及んだコロナ禍の影響があり、現在は原材料高、エネルギー高、人件費増加があり、今後、中小企業を始めとして企業業績に悪い影響が懸念される」とし、「苦しんでいる会社は細かいところも含めると増えている。コロナ明けの今、現在の状況で、これから金利も上がるという中で、地元企業に対してはアゲンストの風(向かい風)が吹いてくる。そうなってくると、耐えられる企業体力があるところは耐えられるし、小規模零細で耐えにくいところは支援をしていかないと倒れてしまう。我々の役割として、本業支援や資金支援、最終的には廃業支援も含めてやっていかなくてはいけない」と話した。
決算の概要は、売り上げに当たる経常収益は、株式売却益や貸出金利息などが増え、前年比10.7%増の410億9200万円になった。
経常費用は、評価損の拡大が懸念される外国債券の売却や外貨調達コストの上昇、大口取引先の貸出金が回収できなくなった場合に備える貸倒引当金の計上などから前年比9.3%増の386億2500万円になった。
預金、預かり資産、貸出金残高(単体)はいずれも過去最高となり、預金残高は。個人、法人、地方自治体などからの預金がいずれも増加し、前年比643億円増の2兆5773億円になった。投資信託や生命保険などの預かり資産残高は前年比492億円増え3410億円となった。貸出金残高は中小企業への貸出やTX沿線を中心とした住宅ローンなどが増加し前年比860億円増の2兆372億円になった。
金融再生法に基づく開示債権額(単体)は、経営改善支援中の取引先企業のランクダウンがあり、要管理債権が前年度の2倍近い157億円に増加するなどし、債権額は前年比79億円増の537億円になった。その結果、不良債権残高の割合を示す開示債権比率は同0.29ポイント上昇し、2.58%となった。
健全性の指標となる、リスク資産に対し資本金などの自己資本がどれだけあるかを示す自己資本比率(連結)は、当期純利益21億9500万円の計上などにより自己資本が増加したなどから、前年比0.14ポイント上昇し、9.13%となった。