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市民会館の開館で水戸の魅力が倍増《令和楽学ラボ》24

【コラム・川上美智子】7月2日、水戸市民会館が開館した。東日本大震災により、旧市民会館が被災し、2年7カ月をかけて水戸のど真ん中に建て替えられた。設計は建築家の伊東豊雄氏で、彼の設計の特徴である国内産の杉材を使ったやぐら広場など木造部分が主体となる日本らしさを盛り込んだ現代建築である。

県内唯一のデパートである京成百貨店と磯崎新が設計した水戸芸術館の間の一等地を区画整理して、3つの建物がそれぞれ道路を挟み一体化した形で配置され、辺りの風景は一新した。

県南では、つくば市の人口増加率が全国一と報じられ、若い世代の人口流入が顕著であるが、県都の水戸市は、歴史や文化、千波湖などの自然に恵まれ、買い物などの利便性も高く、とても住みやすいまちである。毎日、水戸と職場のあるつくばを往復して感じるのであるが、どんどん外に広がりまとまりなく膨張するつくばに対し、水戸は集約型のコンパクト・シティーへと発展し続けていて、子どもにも、高齢者にもやさしいまちだということである。

そういうまちの中心に今回、市民会館が建てられたことで、町の魅力が倍増したと思う。特に感心するのは利用料金が驚くほど安いことである。その理由は、市民に手軽に使ってもらえる市民会館でありたいというポリシーが根底にあるからだ。

県内最大の大ホール、500名ほど入る中ホールなどは大人気で、コンサートや公演など土日は来年3月まで空きがない状況である。中でも圧巻なのは、3階まで2000席が設置された大ホールで、舞台空間も驚くほど大きく、オーケストラビットの設置が可能で、音響反射板が水戸の梅を模したカラフルな洒落(しゃれ)たデザインで目を奪われる。

楽器をそろえた音楽室、調理室、工作室、茶室、展示室のほか、誰でも自由に使えるラウンジなど、中学生や高校生が勉強できるスペースも其処此処(そこここ)にある。調理室でお料理を教えたいとか、工作室で陶芸教室が出来るのではないかと夢が広がる。

市民をまちの真ん中に連れ出すことで、市民会館が文化交流やにぎわいの核となり、北関東第一の質の高い文化拠点になること間違いなしである。当初の理念を忘れず、市民中心の市民会館として発展することを期待する。

都市公園の面積は世界第2

水戸の魅力のもう一つは、都市公園の面積がボストンに次ぎ、世界第2位であるという点である。水戸駅からそう遠くない千波湖や逆川周辺に広大な自然が広がり、それらを利用した多くのイベントが年間を通じ行われている。早朝や夜間の千波湖はランニングや散歩する人で大にぎわいである。

毎月配布される水戸の広報誌には様々な市民参加型のイベントが紹介されていて、大会やフェスタなどが目白押しである。また、文化、教養、スポーツの欄には、無料の講座、学習会、映画上映会などの情報がしっかり掲載されている。このような仕掛けを市や団体が活発に行っており、小さな子どもから高齢者まで日々楽しみ、生活できる環境がつくられているのである。

研究機関が集積する科学都市つくばの発展も素晴らしいが、私にとって住み続けたいまちは、やはり水戸である。(みらいのもり保育園長、茨城キリスト教大学名誉教授)

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