国の重要文化財として指定するよう答申があったつくば市北条、旧矢中家住宅(6月23日付)が24日、一般公開され、通常の公開日の5倍の約150人が見学に訪れた。新聞報道などで指定を知り、ボランティアによるガイドツアーに参加して熱心に説明を聞いたり、建物内を見て回る様子が見られた。
ボランティアで同住宅を管理し、定期的に一般公開しているNPO法人矢中の杜”の守り人の井上美菜子理事長や中村泰子事務局長、所有者の森洋さんなども集まった。
ガイドツアーは午前と午後の2回催された。共に二手に分かれ各10人ぐらいのグループになって、詳しい説明を聞きながら約1時間かけて住宅内を見て回った。本館(居住棟)の表玄関から入り、別館(迎賓棟)に移動。本館では居間、座敷、書斎などのほか、風呂や台所、女中部屋なども見て回った。居間や書斎などの各部屋には時代を意識させる調度品などがあり、参加者は、別館の最上級のふすま絵、ふんだんに設置された通気口など、細かなところまでこだわった豪華絢爛で実験的といわれる造りに興味深く見入った。
2011年の東日本大震災と12年の北条竜巻の二つの災害で受けた被害の説明もあり、窓が破壊された痕跡もあった。
地元の北条から見学に訪れた70代男性は「旧矢中家住宅がかつて空き家だった頃は小学生で、子供の遊び場だった。今回改めて地元の財産を知ることになった」と話した。
所有者の森さんは「購入した時は本当の価値が分からず途方にくれるようなことがあったが、多くの人の協力で、素晴らしい栄誉をいただけることになった。本当にうれしい。これを機にもっと来場者が増えるといい」と話した。
北条在住で同住宅の保存活動にも関わってきた北条街づくり振興会の坂入英幸会長(73)は「重要文化財の指定は大変喜ばしいことで、『地元ももっとがんばれよ』と言われた感じがした。これからも地域の財産として活用していき、北条地区振興に役立てたい」と語った。(榎田智司)