不登校の子どもたちのフリースクールを運営する認定NPO法人リヴォルヴ学校教育研究所(つくば市二の宮、小野村哲理事長)が21日、同市館野、小野川交流センターでトークイベントを開く。地域ぐるみで子どもたちの学びと育ちを支えるために何が大切かを考える「校内サードプレイス(フリースクール)の可能性」がテーマ。
校内フリースクールは、教室に行けない子どもたちが、学校内の別の場所で学んだり過ごしたりする居場所で、つくば市は今年度、全公立中学校と不登校児童が多い6つの小学校に校内フリースクールを設置する。24年度は市内すべての小中学校に整備する方針だ。学習指導要領などに縛られず、子どもたちが主体的に学びに参加することをサポートする立場をとっている。
市の校内フリースクールに今年度から常駐の教員からの申し出で、教員6人が参加し4月下旬、むすびつくばライズ学園で見学説明会が開催された。参加した教員からは「子どもたちにどのように向き合っていけばいいのか、自分たち自身が相談できる場が大切」「同じ立場の先生たちと情報交換できてよかった」などの感想が寄せられたことが、トークイベント開催のきっかけになった。
イベントではゲストトークとして、神奈川県の県立高校2カ所に居場所カフェをつくった横浜市のNPO法人パノラマの石井正宏理事長が「校内居場所カフェの成果と課題」と題して話す。石井さんは14年12月、田奈高校の図書館に「ぴっかりカフェ」、17年6月に大和東高校の多目的ホールに「ボーダーカフェ」をオープンさせた。それぞれ週1日、無料でドリンクを提供し、昼休みや放課後に地域のボランティアが協力して運営している。いずれも毎回平均100人近い生徒が利用し、高校中退、進路未決定を防ぐ効果も期待されている。
続いてパネルディスカッションでは、20年からつくば市茎崎中で始まった別室登校にスタッフを派遣していた認定NPOのLearning For All(ラーニング・フォー・オール、東京都新宿区、李炯植代表)つくばエリアマネージャーの安次富亮伍さん、水戸市を中心に、LD(学習障害)など特性のある子どもたちの環境を整える活動などに取り組むボランティア団体、じゃぁまいいかねっと(池田幸也代表)運営委員で保護者の今井理恵さんらが加わって、「校内サードプレイス(フリースクール)の可能性」をテーマに話す。
小野村理事長は「これまで不登校の主な要因として、子どもたちの無気力や不安が要因だと言われていた。しかしこれらは結果であって、むしろ何が子どもたちを不安にし、気力を奪っているのかをきちんと考えてこなかったことが、問題だったのではないか」と話し、「校内居場所カフェ実践者の話に耳を傾け、子どもたちの学びと育ちを支えるためには何が大切か、一緒に考えたい」とトークイベントへの参加を呼び掛ける。
つくば市の不登校児童生徒数は増加傾向にあり、21度末は小学校 243 人、中学校 349 人の計592人となっている。不登校児童生徒の増加を背景に学校とは別の第三の居場所(サードプレイス)のニーズが高まり、子どもが安心して過ごせて悩みを相談できる居場所をつくる動きが全国の学校に広がっている。(橋立多美)
◆トークイベントは5月21日(日)午後3時から、小野川交流センター(つくば市館野)。来場して参加する方法とYoutube配信視聴があり、来場参加は定員30人、参加費600円(税込み)。申し込みはこちら。問い合わせは電話029-856-8143同研究所。