土浦市を流れる一級河川、桜川で、県が河道掘削(かどうくっさく)工事を行っている。川の真ん中の中州に重機が乗り込み、堆積した土砂を取り除いているもので、幅数メートル、延長450メートルの中州は7月半ばまでに川から姿を消すことになる。
工事が行われているのは、土浦の花火競技大会会場から100メートルほど下流の同市下高津地先の桜川。県土浦土木事務所によれば、同市内の桜川で中州を取り除く工事は前例がないという。
県による国補広域河川改修事業は、同市蓮河原町から佐野子地先にかけての桜川延長4.5キロで行われている。2022ー23年度は下高津から上高津にかけての2つの工区に分け事業化された。第1工区が下高津の中州の河道掘削。工期は7月までで、取り除く土量は1万6000立方メートルと計画されている。
21年度に桜川の河口から国道6号に架かる桜川橋までの測量調査を実施し、流下能力が不足している下高津の中州とその周辺の堆積土砂の掘削を行うことになった。現状の流下水量は毎秒850立方メートル程度で、これを1000立方メートルに拡大する。
中州に重機が入ってきたのは3月下旬で、ちょうど桜川堤のソメイヨシノが満開となった時期。中州で稼働するバックホウなどの重機をどうやって渡河させたのか花見客の目を引いた。
土木事務所によれば、左岸(立田町側)の河川敷に設けた現場事務所から、割栗石を使用して仮設道路を造成し中州につなげた。当初計画は、大型土のうを積んだ仮設道路としていたが、施工業者の提案により、施工性と安全性の観点から割栗石を採用したという。

掘削した土砂の搬出先については、圏央道工事を進めている常総国道事務所(土浦市)と協議中。割栗石は工事完了後、撤去する。2工区合わせての事業費は約2億7000万円。
桜川について、県は今後も土砂の堆積状況を把握するとともに流下を阻害する高水敷の雑木伐採などを行い、洪水時の治水安全度の確保に努めていくとしている。(相澤冬樹)