つくばみらい市紫峰ケ丘の商業施設「SEKISHO Mi・La・Pa(セキショウミラパ)」で11日開かれたもちつき会に、元横綱稀勢の里の二所ノ関親方と力士4人が登場、近隣の住民たちに特製のもち入りちゃんこ鍋が振る舞われた。
参加したのは近隣住民のほかMi・La・PaのLINE会員ら250組500人。先着100人対象で親方のサイン会と写真撮影会も行われ、交流を楽しんだ。
詰めかけた来場者の見守る中、蒸かしたもち米がうすに投入されると、まわし姿になった力士2人が交代で杵(きね)を振るい、次々ともちに仕上げていった。「もちつきは初めてだが楽しかった」「意外と大変だった」と担当した力士の花房(三段目)=と林龍(同)。この日用意されたもち米は、二所ノ関部屋のある阿見町荒川本郷の農家、大塚康夫さんが育てたマンゲツモチ90キロ。うすときねも大塚さんが提供した。
振る舞われた鍋は部屋自慢の鶏ガラ塩味。親方が15歳で角界入りしてから食べてきたさまざまなちゃんこの中で一番好きな味で、商品化もされており、理想に近付けるため何度も試作を繰り返したそうだ。「今日は豚肉と鶏肉に野菜など10種の具材を加え、オーソドックスに仕上げた。ニンニクを効かせることで旨みが増し、食欲もそそる」と、この日のちゃんこ番の足立(序二段)。
鍋はテイクアウトする人もいれば、その場で味わう人もいた。市内在住の橋口恭子さん(76)は「この味は自分では作れない。今日は寒いので特においしく感じる」との感想。岡崎誠さんの長男・日凪大さん(5)は「おいしい。おとうふが一番好き」と笑顔を見せた。
サイン会と写真撮影会には長蛇の列ができた。「親方と同じ牛久市出身だが、地元でもこういう催しはなかなかないので開催してくれてうれしい。コロナ禍で外へ出る機会が少なくなっていたが、久々に子どもと一緒に出かけることができた」と渡邉慎也さん(43)。「親方は相変わらず優しかった」と話すのは宮崎直人さん(43)。10年前、親方が大関だったときに出会ったことがあり、今日はそのときの写真を持参してサインしてもらったそうだ。
会場となったMi・La・Paは、セキショウグループのガソリンスタンド、カーディーラー、携帯電話ショップの3店舗による複合施設。地域の交流の場としても貢献したいと、折々にイベントを催している。今回のもちつき会は、親会社である関彰商事の関正夫会長が、二所ノ関親方の現役時代に「稀勢の里関郷土後援会」の会長を務めていた縁から実現した。
初の関取誕生へ精進
二所ノ関親方の話 部屋として初めてのもちつきで、力士にはいい経験になった。ファンの方々とふれ合うこのようなイベントは、コロナ禍以降かなり少なくなった。久しぶりに大勢の方に来ていただき、さまざまに声を掛けていただけてありがたい。今年は2月に尾車部屋と合併し、6月には阿見町に新施設が完成するなど、いろいろなことがあった年。力士もそれぞれ順調に成長し、番付を上げてきた。来年も稽古に精進し、さらに上を目指すとともに、念願である初の関取誕生も実現させたい。