つくば市が民間一括売却に向けて手続きを進めている同市大穂の旧総合運動公園用地(約46ヘクタール)について、同市は30日、「グッドマンジャパンつくば特定目的会社」(東京都渋谷区)と同日付けで売買契約を締結したと発表した。
土地所有者の市土地開発公社(理事長・飯野哲雄副市長)が約110億2900万円で一括売却する。売却にあたっては4社が応募し、評価点合計が最も高かったグッドマンが選定されていた(6月21日付)。全額が払い込まれた後、同用地は現状のまま、同法人に引き渡される。売買契約締結日から30日以内に全額払い込む契約になっている。
同特定目的会社は、外資系物流不動産会社「グッドマンジャパン」(東京都千代田区、グレゴリー・グッドマン社長)が、資産の流動化に関する法律に基づいて、特定資産を裏付けに有価証券を発行するなど資産の流動化に関わる業務を行うために設立した。
事業計画によると、約46ヘクタールのうち、道路予定地を除いた面積の5割をデータセンター、4割を物流施設、1割の約4.5ヘクタールを防災拠点施設とする。計画では、北側の高エネルギー加速器研究機構との間の道路に沿って、物流拠点を2棟建設し、データセンターを東側に4棟、西側に3棟の計7棟建設する。
防災拠点施設は住宅地に近い南側に整備し、防災備蓄倉庫、ヘリポート、救護施設、災害時がれき置き場などを設置する。駐車場は計200台を整備し、災害時は車中避難場所とする。ほかに、カフェや物販などのアメニティ施設、ドッグラン、フットサルコート、菜園、野外シアター、ジョギングコースなどを整備する。さらに防災備蓄倉庫やアメニティ施設などの上に大屋根を掛け、芝生広場とする計画。防災拠点施設については、今回の売買契約とは別に、市と特定目的会社との間で防災協定を締結するという。
今後の手続きは、現在、同用地は第2種住居地域や第2種文教地区になっていることから、来年4月の都市計画変更を目指し、用途地域を準工業地域に変更し、第2種文教地区から除外する手続きをする。現在茂っている樹木は、用地の引き渡しが済めば伐採はできるという。ただし伐根は市の開発許可が必要になる。
その後のデータセンターや物流施設の建設工事は、工区ごとに実施される。都市計画変更後の2023年4月ごろから3年以内を目標に一部施設が供用開始となる予定。その後も工区ごとに工事が順次実施される。
売却代金約110億円は、市が貸し付けた約68億円(用地購入費と利子)については市が市土地開発公社から返還してもらう。残り約42億円は市土地開発公社の所有になるが、使途については今後、検討するという。
一方、同用地をめぐっては市民団体「つくば市長リコール住民投票の会」(酒井泉代表)が市長リコール請求の署名集めを実施し断念した経緯がある(8月16日付)ほか、裁判でも争われている(7月13日付)。今回の売買契約締結に対し酒井泉さんは「今、大学が選択と集中で疲弊しているが、大学の枠を超えて新しい研究施設をつくらないと日本の科学技術の未来はない。そのためにあの土地は絶対必要。これからもやれることはやる」と話している。(鈴木宏子)