医療相談アプリを提供するリーバー(つくば市、伊藤俊⼀郎社長)は31日までに、筑波大学(つくば市、永田恭介学長)、京都大学(京都市、湊長博学長)、福島大学(福島市、三浦浩喜学長)、福島県立医科大学(福島市、竹之下誠一学長)の4大学と健康観察アプリ「LEBER(リーバー)」を活用した感染症クラスターの早期検知などをめざす共同研究に着手した。
研究は、主に教育現場における集団感染を早期に検知し、積極的検査につなげるアラートシステム「感染症AIサーベイランスシステム」の開発を目的としている。アプリ利用者の体温・体調管理データなどを解析するうえで、適切なAIの計算方法(アルゴリズム)を構築して、「リーバー」に組み込む研究だ。これにより、より早期のPCRや抗原検査に繋げての感染症クラスター予防や、アプリ内健康予報を通じてユーザーに的確な行動を促す仕組みを構築をめざす。
「リーバー」は24時間365日スマホで医師に相談ができる医療相談アプリ。学校向けには健康観察アプリ「LEBER for School」があり、児童・生徒の体温・体調データを収集している。全国約1300校に導入されており、つくば市では小中学校全校に普及し、保護者の9割に使われている。
コロナ禍の現在、教育現場ではPCR検査などで1クラス2人以上の陽性反応者が出ると学級閉鎖、クラスターとなる。これら感染症の早期検知のため、「リーバー」によって収集した発熱などのデータを解析する。解析のツールとなるのが感染症数理モデルで、流行データ分析やシナリオ分析を行い政策判断の核ともなる。今回、いち早く数理モデルを活用した感染予測研究に取り組んでいる京都大学医学研究科環境衛生学分野、西浦博教授の参画を得た。
さらにAI技術構築では筑波大学人工知能研究室、鈴木健嗣教授、教育現場でのサービス設計の検討と改善では福島大学教育推進機構、前川直哉准教授ら、4大学の研究者がそれぞれの役割分担を持って共同研究に加わった。
リーバー社によれば、研究は集団感染に警戒と検査を促す「アラート」を発するタイミング、その文言などにも及ぶという。2022年度の単年度事業で、成果は論文等にまとめる一方、アプリへの実装を目指すということだ。(相澤冬樹)