世界最大級のボタン、シャクヤクの庭園、「つくば牡丹園」(つくば市若栗、関浩一園長)が9日開園する。同園では、里山の自然の中に、ボタンとシャクヤクが800種6万株植栽されている。4月には大ぶりの花を咲かせるボタン、5月にはエレガントなシャクヤクを観賞できる。会期は5月22日まで。
今年は例年より開花が1週間から10日程度遅れている。ボタンの見頃は20日ごろから4月いっぱい。シャクヤクの見頃はゴールデンウイーク後半から閉園まで。大型連休中は、花の数は少ないものの両方の花が楽しめるとのことだ。
起伏のある6万平方メートルの園内は、ウェルカムエリア、ファームエリア、水辺エリアなど7つのエリアからなる。今年は園内で大人も子どもも参加できるスタンプラリーが開催され、それぞれのエリアでスタンプを探しながら園全体を周遊できる。
新型コロナで、一昨年には2~3000人にまで落ち込んだ入場者数は、昨年1万7000人にまで回復。今年は2万人程度との予想だ。コロナ禍は続いているが、いばらきアマビエちゃんに登録し、昨年同様の感染症対策を続けた上でオープンする。来園者には広々とした屋外施設で「密」を避け、自然に回帰してもらいたいという。
園内では、ピオニーガーデンテラスでサザコーヒー(ひたちなか市)や、抹茶、うどん、そばなどが提供される。ゴールデンウイークと5月の土日にはファームエリアにジューススタンドのベルファームつくば(つくば市下岩崎)が出店する。関園長(61)によると、園内へのピクニックマットや弁当の持ち込みも可能。園内は全て農薬不使用・酵素農法で管理されているので、安心して思い切り自然に触れてほしい、としている。
ボタンは木、シャクヤクは草の花
いずれもボタン属ボタン科に属するというボタン(牡丹)とシャクヤク(芍薬)。ボタンは木の花で、太い幹が分かれて花を咲かせるが、シャクヤクは草の花で、1本の細い幹に1つの花を咲かせる。花が楽しめるのはボタンが3~4日、シャクヤクは約1週間だ。花の品種ごとに咲く時期が異なるため、会期中、訪れるごとに違った花との一期一会が楽しめる。
それらの中から、関園長に一種類、紹介してもらった。同園オリジナルの貴重なボタン「トリビュート」は、オレンジがかったアプリコット色の花びらが目を引く(冒頭の写真)。上を向いて咲くオレンジ色で大輪のボタンは世界で唯一という。4 月中下旬が見頃だ。
法学部出身という関園長は、濃い赤色の八重で大輪のボタン「芳紀」に⼀⽬惚れしたことから、サラリーマンから転身し、花づくり、土づくりの道に入った。土職人を名乗りながらも研究に取り組み、この春には東京農⼯⼤学⼤学院で博⼠課程を修了した。⼤学院で学んだ知識と現場での実践経験、その両⽅を持っているのが自身の強みであり、今後はこれらを若い⼈たちに伝えていくことが⾃分の使命だと考えているという。(門脇七緒)
◆開園期間は4月9日から5月22日まで。開園時間は午前9時から午後5時。入園料は大人1000円、中学生以下無料。シーズンパス1800円。ペット入園可。問い合わせはつくば牡丹園(電話029-876-3660)。