東海第2原子力発電所(東海村)の再稼働反対と廃炉を訴える各地の市民団体の連合体「東海第2原発いらない首都圏ネットワーク」が11日、つくば、土浦両市など県内6カ所を含む全国45カ所で一斉に街頭宣伝活動を行った。全国各地での統一行動は、同ネットワークが発足後初めて。
このうちつくば市では、脱原発を掲げる市民有志らで組織する同ネットワークつくば実行委員会の会員ら約20人が、同市吾妻のつくばセンター広場周辺で「声をあげよう 東海第2原発はいらない」「いのちこそ宝 原発は即廃炉に」の2種類の横断幕を掲げる「サイレントスタンディング」を行い、同原発運転差し止めを認めた今年3月の水戸地裁判決を解説したパンフレットを通行中の市民らに配布した。
当初はシール投票などのイベントも予定していたが「コロナ禍でもあり、できるだけ人と接触しない、サイレントでのスタンディングを」と今回の形式となった。
実行委員会の阿部眞庭代表(73)は「原発が再稼働するということは、何か事故が起きれば(原発)30キロ圏内だけでなく、つくばにも被害が及ぶ」と訴えた。福島第1原発事故での住民の被害状況を念頭に「東海第2で事故があれば、私たちも(福島の)二の舞になる。自分たちや子どもたち、孫たちにそんな思いをさせたくない」と述べた。
しかし、直接請求署名を8万6703筆(法定必要数の1.78倍)を集めて昨年6月の県議会に提出された「東海第2原子力発電所の再稼働の賛否を問う県民投票条例」案は賛成5、反対53で否決された。運転差し止めを認めた今年3月の水戸地裁判決に対しても、同原発を運営する日本原電が東京高裁に控訴して係争中と、脱原発を訴える声が広まりにくい現状にある。
原発再稼働問題については、賛成・反対派双方が同じ考えの人々だけで固まり、多くの人々に問題が共有されにくい現状を踏まえ、阿部代表は「無関心な人たちをどうやって『政治が自分たちの日常に深く関わっている』を知ってもらうことが必要」と無関心層に原発問題を含め政治に関心を持ってもらう必要性を説いた。(崎山勝功)